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消費税増税の与党決定について

2011-12-31 | 政治、経済

昨日で今年最後のエントリーのつもりだったが、30日に消費税などに関して政府与党決定があったので最後に言わずにおれなくなった。大体、国民もメディアもお休みに入るこの師走の時期にこうした決定をすること事態が異様ではないか。元来十分に時間をかけて、開かれた議論をすべきテーマだ。 

 

野田首相自身が、不退転の決意で望むというこの消費税増税に果たして国民の支持はあるだろうか。これまでの世論調査では半数近くが容認派のようだが、ほとんどの世帯で所得税やその他の負担をあわせると可処分所得の数パーセントから10%近いアップとなると、そう簡単には行かないだろう。衆院の80人定員削減や公務員給与改革などの行革とセットだと言ってはいるが、それらの法案が来年の通常国会で通らなくても、消費税だけは上げるという姿勢が透けて見える。

 

そもそも消費税を10%に上げても税収は13兆円程度増えるに過ぎず、90兆円を超える歳出に対して税収が42兆円しかなく新規国債発行額44兆円という現状をどうやって均衡させていくのかという全体のビジョンは示されていない。 歳入を倍にできないなら、歳出を半分にするしかないことは小学生にもわかる。というかそれくらいわかりやすい形で示すのが政治の責任であるはずだ。 増税にも限度があるし、経済が1~2%しか成長しない現状では、年金給付や医療費を削減し、公務員制度改革など大胆な歳出カットが不可避であることは誰が考えてもわかる。 たとえば、どうやったら60兆円の予算が組めるのか(現状では組めない)、シュミレーションして示してはどうなのか。その際、年金や国債、外為などの膨大な特別会計を含めてひとつの財布で議論しないと意味がない。そうした全体の議論は難しいから、とりあえず取りやすい消費税を上げることを「自らの政治家としての総決算」という首相は責任放棄に近い。一方で、八つ場ダムや整備新幹線、東京外環道などの凍結した公共事業は復活し、エコカー補助金はばら撒くというのだから、どこが財政再建なのかわけがわからない。

 

メディアにいる友人は、野田政権は結局消費税法案を通せないのでは、と観測を語っていたが、与党内でも離党者が出て小沢グループが増税反対を明確にしているなかで、この法案が通らない可能性も十分にある。 2年前に民主党が約束し国民が期待した行政改革は全く不履行に終わろうとしている。 2012年、もし解散総選挙になったとしても、どこも過半数はとれないだろう。そうした中で、既存のシステムの温存が続き、改革は遅れ病気は悪化する。 今は円高だが、国の借金の総額が1500兆円の国民の貯蓄を上回り始めたとき、日本の国債が下落し、高金利、円安が口を開けて待っている。それが5年先か10年先かははっきりわからないから、こうして何もしない日々がいたずらに過ぎる。

 

行政機構が肥大し、自己保存の法則が働いて思い切った行革ができないときには、本当に力があるリーダーが、断固たる改革を実行するしかないのだろうが、そうした人材は今の国会議員にはいそうにない。 クリントン元大統領にでもやってもらったら、という冗談を本気にしたくなる。 

 

日本に到来している高齢化社会を考えると、社会保障と税の一体改革は必要だろう。問題は、増税の話ばかりで、行革や歳出の削減が置き去りにされていることなのだ。 病状をわかりやすく説明し、つらい処方箋を患者に理解させ、同意を得て根気よく治療にあたる医師が今の日本には必要なはずだ。

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