デトロイトショーの初日の感想は、といえば結果的にビッグ3のショーになっているといえそうだ。日本勢は、日産、三菱、スズキが不参加、ホンダはプレスブリーフィングを取りやめ、新型ハイブリッドのインサイトは3台展示するのみ。トヨタは、レクサスの小型HV車と新型プリウスをお披露目するが、日本からトップは来ていない。
これに反して、プレスデー初日のトップであるGMは、「Here to stay」「40mpg」「up」といったプラカードを持った数百人の従業員が歓声を上げならが守る花道を、シボレーボルトやキャデラックSRXといった新車を次々にパレードさせてステージに上げるという演出を行った。リック ワゴナー会長、トロイ クラーク北米事業部社長、そして73歳になっても全く衰えを見せないCar Guyであるボブ ラッツ副会長が、次々に演壇に上り、次の100年に向けてGMが復活するとアピールした。今回のショーのフォーカスは、EVやプラグインハイブリッドなどのバッテリーとモーターを搭載した電気駆動車だ。シボレーボルトと同じ1.4Lのエンジンに16kWHのモーターを搭載したキャデラックConverj(コンバージ)という2ドアクーペも発表。「Voltech」という名前を与えられたこの電気駆動システムに採用されるリチウムイオンバッテリーをミシガンで製造すると本日、さらに発表するらしい。電気だけで40マイル走り、エンジンはバッテリー充電にしか使わないシボレーボルトが、2010年末に量産することができても、すぐに会社の業績を飛躍的に回復するわけにはいかないだろうが、トヨタプリウスが会社のイメージを劇的に変えたごとく、EPAで100MPGの燃費を達成するというEVのボルトが、他社に先駆けて成功裏に発売されれば、GMの復活の烽火となるのは間違いない。
今回、フォードやクライスラーを含めて、電気自動車一色であるのは、単に株式市場や政府を意識しただけでなく、プリウスを受け入れてハイブリッドに大きな興味を示しているアメリカ消費者が、EVの時代の到来を予感しているためだといえるかもしれない。
GMはしかし、キャデラックとシボレー、ビュイックの3ブランドに注力するようであり、ハマーやサターンやポンティアック、サーブといったブランドはフロアに平置き展示されるのみで、この最も重要なショー冒頭のプレスブリーフィングでは、一切紹介されなかった。これらのブランドがもしなくなれば、GMのシェアは現在の22%から15%程度に下がるだろう。伊藤忠USAの元会長で、GMとトヨタのNUMMIなど架け橋的な役割を勤めたチャイ氏が某新聞のインタビューで語っていたが、BIG3の実力はシェア30%がいいところだという見立てが、現実味を帯びて感じられる。
フォードも、EVやフュージョンのHV,新型トーラスなど、将来モデルと近々の新型車を取り混ぜて発表した。直噴過給エンジンでダウンサイジングを進めるとか、EVを大手サプライヤーMAGNAと協同開発するとか、話題は色々提供しているが、HVやEVでは、トヨタ、ホンダ、そしてGMの後塵を拝している感はいなめず、内燃エンジンも直噴ターボ化や6速ミッションの採用などは、VW・アウディなどに較べれば数年遅れている。しかし、Fシリーズが北米カーオブザイヤーを受賞したり、アメリカ人の根底に根強いトラックやSUVに強く、欧州フォードというしっかりした乗用車開発センターを持ち、現在の財務状況も他の二社に較べて心配ないところを見ると、乗り切っていくだろうと見られているようだ。
クライスラーは、新車と言えるものの発表はほとんどなく、お家芸のミニバンやジープ、ドッジのスポーツカーのEVコンセプトを発表し、2010年にはフリートベースでEVの生産に入るというが、その実現性は「?」である。今年を乗り切る製品に目新しいものがなく、業界関係者の間でも、株主のサーべラスは早く手をひきたいと思っており、独立した会社としての存続は極めて厳しい、との見方が支配的のようだ。もし合併や事業の売却に入っても、ジープブランドは売れるかもしれないが、他は厳しいというのが知り合いの自動車編集者(アメリカ人)の予測である。
欧州勢は、ベンツが新型Eクラスを近くのホテルで前日に発表したが、ショーにも持ち込まず(BIG3への配慮だろうとドイツ在住のジャーナリストの弁)、BMWは新型Z4(メタルハードトップになって少し大きくなった)、アウディはS4や次期A8のプロトタイプといった相変わらずのハイパワー路線、VWは量産を意識した全長4mをきるTDIエンジン搭載のミッドシップオープンを出していた。いずれもEVのような未来の話しでなく、今年や来年に実際に登場するものがメインで、地に足のついた形である。
今回は、海外メディアの数は少し少ないようだが、アメリカでは自動車関係だけでなく、より広範なメディアが取材にきているもようで、地元紙によればその数は6000人。自動車産業のアメリカ経済における比重の大きさを再認識させるような活発な報道がなされており、BIG3もそれに応えようと懸命になっていると感じられる。100年に渡って、アメリカ経済の基幹部を支えてきた自動車産業が、長年にわたって各地の地元経済や大学、地域社会に深く根を下ろしている点では、歴史の浅い日本車メーカーの及ぶところではない。 日米で30年以上に渡って自動車を取材してきた友人の米人ジャーナリストは、トヨタにとってGMに代わるNO.1になることは、全く違う環境と責任を意味すると言っていたが、一挙にアメリカの自動車産業が崩壊し、日本車がそれに取って代わるということは、当面あり得ないし、誰も望んではいないことは確かである。オバマ政権のもと、企業の復活への全力投球と政府支援で、アメリカの自動車メーカーや部品産業、ディーラーが軟着陸を果たし、日本車をはじめとする世界との競争で、新たな地平を築いていく姿が、意外に早く見えてくるかもしれない。
これに反して、プレスデー初日のトップであるGMは、「Here to stay」「40mpg」「up」といったプラカードを持った数百人の従業員が歓声を上げならが守る花道を、シボレーボルトやキャデラックSRXといった新車を次々にパレードさせてステージに上げるという演出を行った。リック ワゴナー会長、トロイ クラーク北米事業部社長、そして73歳になっても全く衰えを見せないCar Guyであるボブ ラッツ副会長が、次々に演壇に上り、次の100年に向けてGMが復活するとアピールした。今回のショーのフォーカスは、EVやプラグインハイブリッドなどのバッテリーとモーターを搭載した電気駆動車だ。シボレーボルトと同じ1.4Lのエンジンに16kWHのモーターを搭載したキャデラックConverj(コンバージ)という2ドアクーペも発表。「Voltech」という名前を与えられたこの電気駆動システムに採用されるリチウムイオンバッテリーをミシガンで製造すると本日、さらに発表するらしい。電気だけで40マイル走り、エンジンはバッテリー充電にしか使わないシボレーボルトが、2010年末に量産することができても、すぐに会社の業績を飛躍的に回復するわけにはいかないだろうが、トヨタプリウスが会社のイメージを劇的に変えたごとく、EPAで100MPGの燃費を達成するというEVのボルトが、他社に先駆けて成功裏に発売されれば、GMの復活の烽火となるのは間違いない。
今回、フォードやクライスラーを含めて、電気自動車一色であるのは、単に株式市場や政府を意識しただけでなく、プリウスを受け入れてハイブリッドに大きな興味を示しているアメリカ消費者が、EVの時代の到来を予感しているためだといえるかもしれない。
GMはしかし、キャデラックとシボレー、ビュイックの3ブランドに注力するようであり、ハマーやサターンやポンティアック、サーブといったブランドはフロアに平置き展示されるのみで、この最も重要なショー冒頭のプレスブリーフィングでは、一切紹介されなかった。これらのブランドがもしなくなれば、GMのシェアは現在の22%から15%程度に下がるだろう。伊藤忠USAの元会長で、GMとトヨタのNUMMIなど架け橋的な役割を勤めたチャイ氏が某新聞のインタビューで語っていたが、BIG3の実力はシェア30%がいいところだという見立てが、現実味を帯びて感じられる。
フォードも、EVやフュージョンのHV,新型トーラスなど、将来モデルと近々の新型車を取り混ぜて発表した。直噴過給エンジンでダウンサイジングを進めるとか、EVを大手サプライヤーMAGNAと協同開発するとか、話題は色々提供しているが、HVやEVでは、トヨタ、ホンダ、そしてGMの後塵を拝している感はいなめず、内燃エンジンも直噴ターボ化や6速ミッションの採用などは、VW・アウディなどに較べれば数年遅れている。しかし、Fシリーズが北米カーオブザイヤーを受賞したり、アメリカ人の根底に根強いトラックやSUVに強く、欧州フォードというしっかりした乗用車開発センターを持ち、現在の財務状況も他の二社に較べて心配ないところを見ると、乗り切っていくだろうと見られているようだ。
クライスラーは、新車と言えるものの発表はほとんどなく、お家芸のミニバンやジープ、ドッジのスポーツカーのEVコンセプトを発表し、2010年にはフリートベースでEVの生産に入るというが、その実現性は「?」である。今年を乗り切る製品に目新しいものがなく、業界関係者の間でも、株主のサーべラスは早く手をひきたいと思っており、独立した会社としての存続は極めて厳しい、との見方が支配的のようだ。もし合併や事業の売却に入っても、ジープブランドは売れるかもしれないが、他は厳しいというのが知り合いの自動車編集者(アメリカ人)の予測である。
欧州勢は、ベンツが新型Eクラスを近くのホテルで前日に発表したが、ショーにも持ち込まず(BIG3への配慮だろうとドイツ在住のジャーナリストの弁)、BMWは新型Z4(メタルハードトップになって少し大きくなった)、アウディはS4や次期A8のプロトタイプといった相変わらずのハイパワー路線、VWは量産を意識した全長4mをきるTDIエンジン搭載のミッドシップオープンを出していた。いずれもEVのような未来の話しでなく、今年や来年に実際に登場するものがメインで、地に足のついた形である。
今回は、海外メディアの数は少し少ないようだが、アメリカでは自動車関係だけでなく、より広範なメディアが取材にきているもようで、地元紙によればその数は6000人。自動車産業のアメリカ経済における比重の大きさを再認識させるような活発な報道がなされており、BIG3もそれに応えようと懸命になっていると感じられる。100年に渡って、アメリカ経済の基幹部を支えてきた自動車産業が、長年にわたって各地の地元経済や大学、地域社会に深く根を下ろしている点では、歴史の浅い日本車メーカーの及ぶところではない。 日米で30年以上に渡って自動車を取材してきた友人の米人ジャーナリストは、トヨタにとってGMに代わるNO.1になることは、全く違う環境と責任を意味すると言っていたが、一挙にアメリカの自動車産業が崩壊し、日本車がそれに取って代わるということは、当面あり得ないし、誰も望んではいないことは確かである。オバマ政権のもと、企業の復活への全力投球と政府支援で、アメリカの自動車メーカーや部品産業、ディーラーが軟着陸を果たし、日本車をはじめとする世界との競争で、新たな地平を築いていく姿が、意外に早く見えてくるかもしれない。
デトロイトショーは、米メディアの間では、例年よりは質素だったが自動車の街が健在で、GMもフォードも頑張りを見せたというポジティブな評価のようです。GMブースについては、生き残るブランドであるキャディラック、シボレー、ビュイック、GMCと、売られるか廃止になりそうなブランド‐サーブ、ポンティアック、サターン、ハマーが通路に隔てて配置されていたと、あるメディアが報道していました。サターンについては、「すぐに切り捨てる(Jettison)するわけではない」とGMの販売マーケティングトップのマーク・ラネーブ氏の発言が引用されていました。
GMが15日に2009年のUS市場規模を1050万台の悪化シナリオに修正したと発表しました。これは政府から残りの融資を引き出すためのアクションと思われます。