「新・国富論」とか「平成維新」とか80年代の先生の著作は、切れ味抜群で国家政策や経済を分析し、わかり易い処方箋の提示で、大ベストセラーだった。 その後、企業コンサルタントとしての著作である「企業参謀」などを読み、そのアイデアの非凡さに感心させられた。 自らが造語した「サイレンとマジョリティー」の友軍として、都知事選に出馬して敗れたのはもう10年以上前だろうか。 それからは政治からは足を洗い、「アタッカーズビジネススクール」など教育にも力を入れていた。
今回の本の主張自体は、著者が「破れ太鼓のように20年前から繰り返し同じことを主張している」と言っているように、必ずしもすべてが新しくはない。 ただ、小泉改革は「壊した」だけで、未来のための真の改革は何もなされていないため、著者の処方箋は基本的には今でも(今こそ)必要だ。 確かに抜本的な改革はなにも進んでいないし、著者の提案である道州制の導入や新しい税制、農業の保護の撤廃や規制緩和による生活者のコストの低減など、ドラスティックな改革がなければ日本は長期低迷に到ることは必至というのは多くの人が感じている。
面白いのは、著者が日本はすでに年収600万以下のロウアーミドルが8割以上を占めるM字型階層社会に突入しており、その変化による新しい市場が生まれており、そのことを理解した企業の物やサービスが売れていると変化を肯定していることだ。 値段は安いがセンスはいい「なんちゃって自由が丘」タイプの商品がヒットする世の企業戦略の有りかたを説き、個人が豊かに生きるためのライフスタイルの転換なども提案している。 「持ち家信仰」や「都市部のマイカー」「教育投資」は考えなおしたほうがいい、という提案は全部やってしまった自分としては複雑な気持ちだ。
図やグラフを多用したわかり易い論旨は相変わらず健在で、竹中総務大臣が、階層分化は起こっているかとTVで聞かれて,「統計は2002年までしかまだないので、小泉政権になってジニ係数が上がっているのかはわからない」といった曖昧な答えをするのとは大違いである。 大前先生の主張は明快だ。物価はもっと下がるべきだ、国民貯蓄を生かすべく金利はもっと上がってしかるべきだ、行政サービスのアウトソーシングによる大幅な公務員削減など、昔からの言説を繰り返している部分も多いが、いまだに意味のある主張だ。 日本の政治、行政制度を抜本的に変えないと国がもたないというのは、多くの人が共感するだろう。
大前先生のような人が、政治の舞台に上がれば真の改革が進むのではないか、とちょっと期待したくなる。 ご本人にその気がまだあるのかは知らないが、ブレーンして民主党と自民の改革派と組んでくれたら面白いかと思うのだが。
今回の本の主張自体は、著者が「破れ太鼓のように20年前から繰り返し同じことを主張している」と言っているように、必ずしもすべてが新しくはない。 ただ、小泉改革は「壊した」だけで、未来のための真の改革は何もなされていないため、著者の処方箋は基本的には今でも(今こそ)必要だ。 確かに抜本的な改革はなにも進んでいないし、著者の提案である道州制の導入や新しい税制、農業の保護の撤廃や規制緩和による生活者のコストの低減など、ドラスティックな改革がなければ日本は長期低迷に到ることは必至というのは多くの人が感じている。
面白いのは、著者が日本はすでに年収600万以下のロウアーミドルが8割以上を占めるM字型階層社会に突入しており、その変化による新しい市場が生まれており、そのことを理解した企業の物やサービスが売れていると変化を肯定していることだ。 値段は安いがセンスはいい「なんちゃって自由が丘」タイプの商品がヒットする世の企業戦略の有りかたを説き、個人が豊かに生きるためのライフスタイルの転換なども提案している。 「持ち家信仰」や「都市部のマイカー」「教育投資」は考えなおしたほうがいい、という提案は全部やってしまった自分としては複雑な気持ちだ。
図やグラフを多用したわかり易い論旨は相変わらず健在で、竹中総務大臣が、階層分化は起こっているかとTVで聞かれて,「統計は2002年までしかまだないので、小泉政権になってジニ係数が上がっているのかはわからない」といった曖昧な答えをするのとは大違いである。 大前先生の主張は明快だ。物価はもっと下がるべきだ、国民貯蓄を生かすべく金利はもっと上がってしかるべきだ、行政サービスのアウトソーシングによる大幅な公務員削減など、昔からの言説を繰り返している部分も多いが、いまだに意味のある主張だ。 日本の政治、行政制度を抜本的に変えないと国がもたないというのは、多くの人が共感するだろう。
大前先生のような人が、政治の舞台に上がれば真の改革が進むのではないか、とちょっと期待したくなる。 ご本人にその気がまだあるのかは知らないが、ブレーンして民主党と自民の改革派と組んでくれたら面白いかと思うのだが。