スルツカヤ、コーエンというショートプログラムで荒川の上を行く2人が転んだので、大きなミスのなかった荒川が優勝したのも不思議ではなかった。 村主は、最高の演技をすれば一発逆転もあるかも、と思っていたが、そこまでの出来ではなかったのは滑走後の本人の表情でわかった。
昨年の日本の代表選考の試合を見ても、レベルはすごく高かった。その中で、荒川、村主、安藤といったそれぞれ良い個性と実力を備えた3人がメダル争いの加わるのだから、オリンピックの中で一番注目を集めたのも無理はない。 しかし、昨年、グランドファイナルで優勝したミキティーや、NHK杯で優勝した15歳の浅田真央がメディアに持ち上げられる陰で、ベテランの荒川は地味な存在だった。 しかし、五輪が近づくにつれ、そのキャリアや安定感、完成度の高さでメダルに一番近い存在として、メディアや国民に認識されたように思う。
昨夜のNHK特集で、荒川選手の五輪までの軌跡と優勝できた秘密を解き明かしていた。 前回のソルトレーク五輪で、審査員への圧力による不正が発覚し、技術点の採点が、主観的なものから客観的な方法に変更されたこと。 ジャンプ、スピン、ステップなどのそれぞれの技に厳密なポイント制がとられることになったことで、演技の内容を一から組みなおす必要が生じたそうだ。
荒川はジャンプの大技はない分、スピンの姿勢変化を4回、エッジの変更などでレベル4の最高ポイントを獲得するための練習を積んだりした。 「本来なら形のきれいなスピンや得意技のイナバウアーの姿勢をできるだけ長く見せたい。でも新しい採点法では、それができない。」とインタビューでも答えていた。 最後のスピンをレベル4にするためにエッジを2回かえるよう指導する長年教わったロシアの女性コーチと五輪直前に袂をわかち、男性コーチの下で、Y字滑走の途中で手をスケートから離す技でレベル4の技を補完した決断。 曲目を2004年の世界選手権チャンピオンだった時のプッチーニの「トゥーランドット」に土壇場で変更し、こだわり続けたイナバウアーを加えたこと。 こうした決断は、キャリアがもたらす自分のスケートを知り尽くした判断力と、五輪の舞台を自己の集大成と決めた覚悟がもたらしたものだろう。
フリーの最終組では、女王スルツカヤの連続ジャンプが2回もシングルに抜けてしまうという(有りえない)ことが起こったり、コーエンがプレッシャーで2度も転倒する一方で、ヘッドフォーンをかけて雑音をシャットアウトし、とにかく自分の演技に集中した荒川静香は、最も集中して自分の滑りができたのだろう。 外国人選手に勝る堂々とした体格で、他の選手がリンク上を飛び跳ねている中で、逆に銀板を支配しているかのような演技は、確かに女王の風格を感じさせた。
ところでミキティーは、これからどうなるのか。 今回の安藤は見ていて痛々しかった。 過度のプレッシャーの中で、自分のスケートは何なのかわからなくなったのか。4回転を飛ぶことにすべての存在意義があるかのように、転んでも転んでもトライする姿を見るのはツライ。 練習で10回飛んで1回しか成功しない技が本番で成功するとは普通には考えにくいのに。 フリーの演技は、朝早くて見そびれたが、4回転を転んだあともメロメロだったようだ。 多分4回転ジャンプとは、それほどに難しい技なのだろう。 要求される高さ、回転のスピード。 失敗した跳躍をTVで見ても、その回転のスピードと高さが飛び抜けた技であることはわかる。ミキティーには、高い素質があることは関係者が認めている。 事前のアメリカでのキャンプでは、不安で毎日泣いていたという彼女。 是非、次回のオリンピックでは、笑顔一杯で滑って、荒川のように表彰台の一番上に立ってほしい。
昨年の日本の代表選考の試合を見ても、レベルはすごく高かった。その中で、荒川、村主、安藤といったそれぞれ良い個性と実力を備えた3人がメダル争いの加わるのだから、オリンピックの中で一番注目を集めたのも無理はない。 しかし、昨年、グランドファイナルで優勝したミキティーや、NHK杯で優勝した15歳の浅田真央がメディアに持ち上げられる陰で、ベテランの荒川は地味な存在だった。 しかし、五輪が近づくにつれ、そのキャリアや安定感、完成度の高さでメダルに一番近い存在として、メディアや国民に認識されたように思う。
昨夜のNHK特集で、荒川選手の五輪までの軌跡と優勝できた秘密を解き明かしていた。 前回のソルトレーク五輪で、審査員への圧力による不正が発覚し、技術点の採点が、主観的なものから客観的な方法に変更されたこと。 ジャンプ、スピン、ステップなどのそれぞれの技に厳密なポイント制がとられることになったことで、演技の内容を一から組みなおす必要が生じたそうだ。
荒川はジャンプの大技はない分、スピンの姿勢変化を4回、エッジの変更などでレベル4の最高ポイントを獲得するための練習を積んだりした。 「本来なら形のきれいなスピンや得意技のイナバウアーの姿勢をできるだけ長く見せたい。でも新しい採点法では、それができない。」とインタビューでも答えていた。 最後のスピンをレベル4にするためにエッジを2回かえるよう指導する長年教わったロシアの女性コーチと五輪直前に袂をわかち、男性コーチの下で、Y字滑走の途中で手をスケートから離す技でレベル4の技を補完した決断。 曲目を2004年の世界選手権チャンピオンだった時のプッチーニの「トゥーランドット」に土壇場で変更し、こだわり続けたイナバウアーを加えたこと。 こうした決断は、キャリアがもたらす自分のスケートを知り尽くした判断力と、五輪の舞台を自己の集大成と決めた覚悟がもたらしたものだろう。
フリーの最終組では、女王スルツカヤの連続ジャンプが2回もシングルに抜けてしまうという(有りえない)ことが起こったり、コーエンがプレッシャーで2度も転倒する一方で、ヘッドフォーンをかけて雑音をシャットアウトし、とにかく自分の演技に集中した荒川静香は、最も集中して自分の滑りができたのだろう。 外国人選手に勝る堂々とした体格で、他の選手がリンク上を飛び跳ねている中で、逆に銀板を支配しているかのような演技は、確かに女王の風格を感じさせた。
ところでミキティーは、これからどうなるのか。 今回の安藤は見ていて痛々しかった。 過度のプレッシャーの中で、自分のスケートは何なのかわからなくなったのか。4回転を飛ぶことにすべての存在意義があるかのように、転んでも転んでもトライする姿を見るのはツライ。 練習で10回飛んで1回しか成功しない技が本番で成功するとは普通には考えにくいのに。 フリーの演技は、朝早くて見そびれたが、4回転を転んだあともメロメロだったようだ。 多分4回転ジャンプとは、それほどに難しい技なのだろう。 要求される高さ、回転のスピード。 失敗した跳躍をTVで見ても、その回転のスピードと高さが飛び抜けた技であることはわかる。ミキティーには、高い素質があることは関係者が認めている。 事前のアメリカでのキャンプでは、不安で毎日泣いていたという彼女。 是非、次回のオリンピックでは、笑顔一杯で滑って、荒川のように表彰台の一番上に立ってほしい。