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株安は止まるか? 解散は、大統領選挙のいくえは?

2008-10-26 | 国際政治、時事
金融安定化のために各国政府が講じた対応策が信用不安の連鎖を一応食い止めることはできたが、貸し手の少なくなった金融市場での株や債権の換金化や、企業業績の悪化の予想から、売りの圧力がまだ強いのが株価下落の要因だと識者は分析している。 週末のTV番組は、「100年に一度の危機」というグリーンスパンの発言で大げさに騒ぎ立てているが、今後、金融麻痺による危機的な状況がこれ以上加速することはないのではないだろうか。 しばらく損失確定の出来ない金融機関は当面、守りの経営に徹せざるを得ないだろうが、時価会計の凍結などの処置により、金融市場の回復を待つ時間が与えられるはずである。 

また、たとえ信用保証会社やリーマンのような倒産が今後あったとしても、デリバティブによる実質的な損害はそれほどでもないらしい。世界で600兆ドルといわれるCDSやデリバティブのような取引は、もともとその資産評価の方法がおかしいという指摘がある。 例えばA社の1000万ドルの貸付に対して、B社が1%の金利でその額のCDSを売っても、B社のバランスシートには資産1000万ドルと計上されるらしい。実際の取引は10万ドルに過ぎないのにである。 ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマンが、10月29日号のNewsweekのインタビューで「デリバティブを買ったということは、タイタニックの乗客からタイタニック号の保険を買ったようなもの」と言っているが、要するにリスクを広い範囲にばら撒いただけで、ちっともリスクヘッジにはなっていなかったということらしい。

今後焦点は、最大のマーケットであるアメリカや、欧州経済のエンジンである独仏、成長著しかった中国、インド、ロシアといった国々で実体経済の動向で、それらがどこまで悪化するかが、深刻な世界同時不況に陥るかどうかの分かれ目になるのだろう。ソニーやホンダの業績下方修正に見られるごとく、輸出に支えられて好業績を上げてきた日本の製造業も、円高と市場減速のダブルパンチで、収益の大幅な減少を見る期間が1年以上続くと思われる。


アメリカ大統領選

渦中のアメリカの大統領選は、11月4日に迫っているが、ここに来て、オバマの勝利がほぼ90%以上確実になったといってよさそうだ。マケインは、9月のリーマン倒産に始まる金融危機を当初、アメリカのファンファメンタルズは強固だ、と言って失点した。 経済の悪いときは、外交のプロより「変化」を主導する新人が強いのは、クリントンvs.ブッシュ父の92年の選挙でも証明済みだが、ウォール街の救済をしたのだから、メインストリートの庶民の破綻も救われるはずだという期待が、民主党のオバマへの支持に繋がっている。 

また、ペイリン副大統領候補の適性にも大きな疑問符が投げかけられている。アラスカはロシアに近いから自分の外交経験に寄与している、といったピントはずれの発言に加え、さらにアラスカ州知事時代に、妹の婿だった警察官を圧力をかけて更迭した件や、NYの高級デパートで15万ドルもの服飾を購入した費用を党に払わせたなど、倫理的な面でも首を傾げる行動が明るみになっている。 最新の報道でも、マケイン陣営のブレインとの対立が表面化している。 オハイオ、ペンシルベニア、ヴァージニアといった共和党が勝つと見られていた州でもオバマの優勢が伝えられており、接戦のフロリダなども制すれば、予想以上の大差でオバマが勝利するのではないかと思う。

(因みに、人気番組Saturday night live に、ペイリンが生出演しているが、エスキモーやムースの着グルミが出てきてアラスカ出身のペイリンを揶揄した替え歌が歌われ、本人もその振りに合わせて体を揺らせている滑稽な映像が、You Tubeで100万回以上視聴されている。 まあ、SNLならではの愛嬌と見る向きもあるけれども。 また、9月のCBSのスターキャスターKatie Couricとの独占インタビューは、ペイリン候補の政治的能力に大きな疑問符を投げかける意味で決定的な役割を果たしてしまったようで、このインタビューでは、質問するKatieの冷酷なまでの射るような視線に、ぺイリン候補は怖気づいた雌鹿のように、要領を得ない回答に終始している。)


日本の解散、総選挙

麻生首相は、少しでも長く総理をやっていたいらしい。今週末、各メディアが実施している世論調査が月曜に出るようだが、自民の支持率は更に落ち込むことが予想されているようだ。年内解散総選挙のデットラインは31日だそうだが、今の情勢では、解散しても勝てる見込みがなく、このまま給油法案の参院での否決を経て、12月の通常国会に流れていく様相を呈している。緊急経済対策とはいうが、日本は特に金融危機であるわけでもなく、一年限りの定額減税など今提示されている対策では、すぐに話題はつきてしまう。また昨年と同じ、ねじれ国会に苛まれ停滞する政権運営になるとすれば、国民はうんざりだろう。求心力のなくなった自民党内の解散圧力も高まりそうにもなく、一か八かで解散に打って出るという可能性は低くなりつつあるようだ。 国民は、民主党に信を置いているかといえば、そうでもないのだが、現状はもう結構という気持ちではないだろうか。

いずれにしても、アメリカで新政権誕生によって起こる変革の波が、日本にも押し寄せるという気がする。
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