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小沢の最後の戦い。民主党代表戦

2010-09-04 | 政治、経済
管総理が、参院選に惨敗してその政権は求心力を失い、国政は停滞してしまっている。
唐突に消費税増税を打ち出した管氏には、残念ながらこの国の変革のヴィジョンを描き出す力量が不足しているのか。 年金や医療などの社会福祉を安定させていくというのは、市民派宰相としてはわかるし、財政再建は急務ではあるが、今の税金の無駄遣いや霞ヶ関改革をやらない限り、増税に国民は納得しない。 また、円高への対応の鈍さや普天間問題へのアイデアのなさを見ても、経済や外交がわかっていないというのは、これからの日本の舵取りを任せるには役不足の感が否めない。菅氏がたとえ勝ったとしても、民主党を二分した今回の選挙で党内の基盤は脆弱であり、国会では野党に足をとられてほとんど仕事ができないのでないか。

その点、小沢氏のほうがまだ期待が持てる部分がある。氏のこれまでの政治暦は、常に自民党的な派閥中心、密室行動のイメージが強く、直接国民に言葉で語りかけるステーツマンシップのなさが決定的に前時代的だと思われてきた。しかし、今や小沢氏も腹をくくったようで、今回はTVに精力的に出演し、これまでにないほど発言している。 依然として、他人とのコミュニケーションの下手さ、要は討論になっているとは思えないが、自身の金と政治の問題で、強制起訴される怖れがあるなかで、最後の勝負に出たという感じはする。 疑問は残るが、少なくともいわゆる小沢の「豪腕」が神話なのか本物なのか、その政治力が確かなものならば、何事かを変えていく可能性への期待がある。 

小沢氏は中央集権から地方主権に大きく舵を切ることは明確にしているし、それは肥大した行政機構を縮小し、地方に「自立と責任」を与える必要な大改革だから、ぜひとも実現してほしい。一方、日米安保や経済の認識に関しては不安もある。 米中の2大強国の狭間で、日本は日米安保を基盤に中国への牽制力を維持するのが、安全保障としては正しいアプローチと思うが、沖縄の米海兵隊は必要ないと発言し、日米中の「正三角形」の距離感を唱える小沢氏の真意を知りたい。

また、経済も「基本的な成長は内需で」と言うが、それは80年代に逆戻りしている感がある。中国やアジアの成長を積極的に「アジアの内需」としてとらえなければ、日本の企業は成長はできないし、今後は多分生き残れない。 ユーシンという自動車部品会社は、グローバル戦略を進められる社長を公募して話題になったし、今朝の新聞では日立も新卒は全員海外駐在要因として育てるとある。 いまや日本の家電メーカー6社が寄り集まっても利益で太刀打ちできない韓国サムスンは、TOEIC900点以上ないと入社できないという。

日本の景気が悪い、中小企業がつぶれるといっても、いまや世界に出て行かなければ、人口が減少して経済のパイが縮小していく日本国内だけでビジネスをしていては未来は開けない、という世界の現実があり、そこでは欧米や中国、韓国などが凌ぎを削っている。日本人も「景気をよくしてくれ」、と政府に期待するのはそろそろやめるべきだ。 政府にできるのは、リーマンショックの後を見ても、効果の疑わしい定額給付金や、需要の先食いのエコポイントなどの対策であり、また金融緩和も今回の円高局面をみてもほとんど効果がない。 家電や自動車の業績の回復も在庫の調整の終了による生産の回復と、輸出の増加に牽引されたもので、政府のエコポイントやエコカー減税の効果が主因ではない。 ミルトン・フリードマンが50年以上前に「資本と自由」で言っているが、「政府の支出が増えたら、民間は消費をその分抑制するので、ケインズのいう「消費乗数効果」は実は非常に小さい」という例ではないか。景気回復や経済成長は、民間(企業)が自分たちで努力して新しい技術や価値を創造して、需要と市場を開拓することでしか、本質的には達成できない。地方では今頃麻生政権時代の緊急経済対策の予算が執行される、といったペースなのだ。

政府には、社会福祉、教育、グローバル時代に沿った規制緩和や世界標準化、NAFTAやEUROに匹敵するようなアジア自由経済圏の確立に努力してもらえばいい。 そして政治家が刹那的な支持率と選挙ばかりを気にして短期政権で何もできないような体質を改善するためにも、選挙の回数を減らし、また最近のねじれを解消するためにも参院はもうなくてもいいのではないか。 地方にも議員が多すぎる。もっと税金を有効に使ってもらいたいものだ。

基本的には、肥大化した今の行政は小さくすべきだ。社会保障も少子高齢化が進む日本の身の丈にあったレベルに落ち着かざるを得ないだろうが、それをきちんと国民に説明する。 行政機構の簡素化と税制の抜本的な改革をする。そのあたりを小沢内閣にできれば期待したいものだが、はたしてどうだろうか。

いずれにしても、小沢一郎という日本の政界に20年間取り付いてきた亡霊の正体を明らかにしない限り、政界再編も世代交代も起こらない。「小沢フリー」が売りのみんなの党の渡辺嘉美も「今は風は小沢から吹いている」と言っている。そういう意味で、92年に自民党が戦後初めて下野し、細川内閣が誕生しあえなく潰えたとき以来の総決算のときが来たといえるのではないか。 

世論は相変わらず小沢アレルギーが強く菅氏支持が大勢のようだが、国会議員票は小沢氏がややリードしているようだ。 いずれにしても激戦であることに変わりはない。 この国にこれ以上の政治停滞している余裕はない以上、「無策な市民派宰相より、豪腕の悪党を」と週刊誌で書いていた佐藤優と同じ心境である。

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