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夏の盛りを過ぎても、、。

2011-08-18 | 雑感, ブログ

 

政治に目を向ければ、週刊誌の独占インタビューでまだまだ続投の意欲を見せていた菅首相は、ついに今月中の退陣を表明したが、民主党後継党首選は、週刊誌の見出しのごとく、どの顔ぶれを見てもパッとしない。 力量、経験で納得できるリーダーがいない。 大連立の声も高まっているが、解散・総選挙に未練があり求心力のない自民や公明が乗ってくるのかどうか。 政治には残念だが、しばらく期待できそうにない。

 

欧米の経済情勢も、ママならないようだ。 アメリカは未だに金融システムと企業のバランスシートが痛んだままで、経済回復、雇用情勢ともに厳しく、国債の格下げでドルも下がり続けている。 EUもギリシアやPIGSの財政危機が深刻で不安定だ。  円は独歩高を続け、輸出企業は益々海外シフトを強める。 だが現地現物主義で言えば、海外調達、生産比率が増えるのは致し方ない流れではある。

 

震災からの復興は、仮設住宅はかなり建ったが、国と地方の連携が取れていないのか、各自治相の復興プランが固まらない。 予算がつかないと、地方自治体も動けない有様だ。 津波で被害を受けた街はほとんどが沿岸部で河川の小さいな堆積地にある。 そこを放棄するなら、山を削って住宅を建てるしかないが、その土地がない。 支援金も全壊家屋でわずか300万円ほど。 それでは新しい家は建てられず、とりあえず「全壊」住宅の2階に住む人が少なからずいる。 一方、漁業なしには生活できない人達は、既に港の再興を始めている。

 

原発事故の放射能の影響で、肉や野菜、肥料が出荷できない地域は飛躍的に広がった。これに米の汚染が9月から判明してくれば、その影響は関東北部にも広がる。 累積放射線量の高い福島県内の子供たちは、2学期を迎え、5%以上が県外に引越しをしているとテレビでもやっていた。 3月11日~15日の間に大量に放出された放射能の影響は、今後子供たちの甲状腺がんなどの形で、5年、10年後に出てくることがチェルノブイリの例でわかっている。 30キロ以内の人達は、除染が進まない限り、何十年も故郷に戻れないだろう。 

 

未だに8万人の人が避難生活を送っているこの事故を前に、電力供給事情から原発擁護の言論を吐くメディアや行政、学者はいったいどういう頭をしているのか。 東北や関東北部ではいまだに震度4レベルの余震が続き、東海や敦賀、中央構造線上の伊方や玄海などどれをとっても、「原発震災」を引き起こす可能性があるというのに。 原発と沖縄の基地については、「あいまな私、あいまいな日本」では最早あり得ないと、大江健三郎が言い、「原発をすべて廃棄すること、それを市民の闘争で実現すること。 それ以外日本の再生はありえない」と柄谷行人は呼びかける(「大震災のなかで」 内橋克人編、岩波新書)

 

原子力に頼らずとも、電力は十分に供給可能ということはもはや明らかだ。 広瀬隆の言うように、シェールガスやメタンハイドレードなどのガス資源が次々に発掘されており、自然エネルギーの開発とあわせて、一次エネルギーの多様化を図っていくしかない。 とっくの昔に破綻した核燃料サイクルや原発にぶら下がってきた行政、企業、政治家の権力構造を打ち壊すしかない。 ドイツやイタリアにできることがなぜ、日本で出来ないことがあろうか。

 

この数ヶ月、地震や原発関連の本以外はあまり読まなかった。 

 

「大地動乱の時代」 石橋克彦 岩波新書

阪神大震災の前に、この本は上梓されている。 日本が本格的な地震活動期に入ったことを、プレートの動きを図解しながら、わかりやすく解説している。 

 

「関東大震災」 吉村昭   新潮文庫

この大正関東地震のドキュメントを読むと、首都圏に住むのが本当に空恐ろしくなる。 70年周期で起こるという小田原地震を引き金にした関東地震が起こると、1923年とは比較にならないほど人口の密集した東京では、いかに周到に準備をしたとしても、はるかに甚大な被害になることは間違いない。 東京、横浜、千葉の沿岸部を中心に1000万人以上が必要とする物資や救援のレベルは桁違いになるだろう。

 

「原子炉時元爆弾」 広瀬隆  ダイヤモンド社

広瀬隆についてはもう解説はいらない。この本は、東海地震による浜岡原発の危険を主に述べたものだが、「原発震災」の恐怖をまさに予言していた。 想定外ではなく、想定されていたのだ。 2010年夏の刊行。  

 

「原発の闇を暴く」 広瀬隆、赤石昇二郎 集英社新書

7月刊行。 2ヶ月以上経ってメルトダウンを発表した東電、政府。 安全だとメディアで発言してきた学者たちを名指して糾弾している。 筆者らはこうした「原子力ムラ」の住人を刑事告訴した。

 

「原発はなぜ危険か」 田中三彦 岩波新書

元バプコック日立で原子炉の設計にかかわっていた筆者が、福島原発4号機の圧力容器のゆがみを修理した事例や、各原発で起こっていた故障や設計上の問題、老朽化の危険性などに警鐘を鳴らしたもの。 1990年刊行。

 

「福島原発の真実」 佐藤栄佐久 平凡社新書

元福島県知事の著者が、福島原発でのMOX燃料の使用に反対したがために、スキャンダルをでっち上げられたという。 2006年に退職に追い込まれ、起訴された。 何が何でもプルトニウムを燃やそうとする「原子力ムラ」勢力と原発地元自治体の首長の抗争が生々しく描かれる。

 

「チェルノブイリ診療期」 菅谷昭 新潮文庫

信州大医学部準教授の職をなげうって、1996年から2001年まで、ベラルーシの首都ミンスクで甲状腺がんや腫瘍の外科治療に当たった著者は、その後松本市長に就任。 チェルノブイリ事故の10年後に最も増えた子供の甲状腺がんの手術を何百件も手がけた。 甲状腺を摘出し、首に大きな手術痕を受け、一生ヨウ素剤を飲み続けなければならない、いたいけな子供たちの様子が胸を締め付ける。

 

この他、反原発を40年以上の研究生活で貫いた京大の熊取6人衆の一人、小出裕章先生の本も色々出ている。 小出先生は、現在メルトダウンがメルトスルーにいたって、地下水との水蒸気爆発を起すことを一番危惧している。 東電も地下水遮蔽壁の建設に着手したとのことだが、かかる時間と費用は膨大だという。 まだ他にも読みたい本は色々あるので、少しずつ進めていきたい。

 

 

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