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クライスラーとGMの行方は、

2009-04-26 | GMと米自動車危機
つまるところ、落とし所は破産法による処理により、債権者とUAWと従業員と納税者で痛みを分けるということになるだろう。アメリカは、金融システムの安定も住宅市場の回復にもまだ時間がかかりそうだし、早期に自動車販売が上向く可能性はないといっていい。デトロイト3社は、今後も操業を続けるだけで毎月何千億という現金を蕩尽していくことになる。この出血はもはや許されない。 政府は既にそのように読みきっていると思われる。

クライスラーの今後はどうなるのか。フィアットが一円も出資せずに提携するという虫の良い提案をしているが、破産処理の中で、今後クライスラーが存続するには小型車が必須だろうから、うまくやればフィアットはクライスラーを手にして北米での足がかりを得ることになる。 同社はオペルの買収も提案しているが、ドイツ政府はオペルをなくすわけにはいかないだろうし、他のドイツメーカーがオペルを買うとは思えないので、CEOのマルキオーネはもしかしたら、この博打に成功するかもしれない。なかなかのやり手である。

GMの将来も同様に厳しい。 Fritz Henderson 新CEOは、ハーバードビジネススクール出の素晴らしく頭のいい俊才だが、如何せん財務出身である。 GMのリストラを断行するには適任かもしれないが、その後の成長を見通した自動車産業へのビジョンがどれほどあるかといえば疑問が残る。シボレーとキャディラックとGMCにブランドを絞るというが、シボレーの乗用車はマリブーやコバルトなど中核ラインがすべてオペルベースである。 オペルをスピンオフして、今後どれだけシボレーが魅力的なクルマであり得るのか。 キャディラックもアメリカの高級車の象徴的存在として、この10年、製品とブランドイメージの革新に励み、なんとか命脈を保ってはいるが、レクサスやアキュラといった日本の高級ブランドや、欧州プレミアムブランドに比べて勢いがあるとはいえない。 サーブやハマーに加え、ユニークなブランドであったサターンも売りに出した功罪については、別途まとめてみたいが、GMが自らの再生の可能性を求めて繰り出したサターンが、四半世紀をへて、困窮した親から捨てられたことを残念に思う人は多い。

ブランドの減少で、GMのアメリカでのシェアは半減するだろう。 デトロイト3社を足して30%そこそこになるかもしれない。 今後、中国やブラジルといったBRICsでの基盤をどこまで維持し、成長できるかが鍵だろう。 しかし、オペルを含め小型車や燃費のよいパワートレインの開発基盤を失う痛手は大きい。 一挙に電気自動車の時代を見すえて、次世代のデファクトスタンダードを握ろうとしているかもしれないが、まだまだピュアEVの時代に到るには時間がかかりそうだ。




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