goo

小泉総理の靖国参拝

2006-08-15 | 政治、経済
「心ならずも先の戦争で犠牲になった方々に哀悼の気持ちを込めて」「二度と戦争を起こしてはならないという誓いを持って」、参拝したと毅然とした口調でマイクに応える首相。 中韓からの批判には、相変わらずそれは内政干渉であり、首脳会談を拒んでいるのは先方であると突っぱね、A級戦犯合祀については、特定に人を対象に祈っているのではないとまたしもすり替えて直答を避ける。 私は間違っていない、信条は曲げない、といういつもの小泉スタイルであった。 

靖国が戦前の皇国史観や、軍国主義教育と分かちがたく結びつき、日本国民の中にもそこに戦没者が一様に国によって祭られることに反対ししている人がいることに背を向け、中韓が(たとえ政治的思惑が絡むにしても)反対し首脳会談も実現しない外交上の問題を圧してでも、なぜ靖国参拝に拘るのか筆者には理解できない。

こうした小泉総理の政治や外交姿勢を見るにつけ、この国に賢者はいないのか、という気がしてくる。 例えば、引退してもなお時局に向けて長老として重みのある発言をしている中曽根元総理は13日付け日経新聞の「日本を磨く」のコラムに優れた意見を述べている。 問答形式であるが、幾つか引用する。

Q,日本はどんな原理、原則で他国と付き合うべきでしょうか。
A,平和や福祉、環境などを国策とする独自性を持った国家として世界に対峙していくべきだ。

Q,日本が守るべき国益とは何でしょうか。
A,(領土、領海に関する)主権を守ることが中心だ。 また、日本が築き上げてきた経済的な豊かさや京都議定書を守ることも大切だ。

Q, 日本は、戦後、米国と軌を一つにして行動してきました
A, 日本は、非核三原則、特に反核的な国民意識を堅持している限り、日米同盟を永続していかなければならない。 日米安保条約の本質は、日本が核兵器を持たず、米国によって防衛される点にある。 

Q,経済の相互依存が深まるアジアとの関係はどうあるべきでしょうか。
A,日韓中とASEAN13カ国のよる共同体建設の理想をうたうことが適切だ。(中略) 小泉首相はアジア外交に失敗し、行き詰まり状況にある。 (中略)靖国問題はこれに触れる。すみやかに日中韓首脳の定期会談を開けるようにすることが日本外交の当面の目標で、次期内閣の大きな仕事になる。

Q,政治、官僚による今の統治機構は時代の要請に応えられますか?
A, 日本は情報戦略体制が欠落している。 情報はみんな米国からもらっている。だから日本外交が米国への順応外交といわれる。 特に小泉首相はそれが顕著だ。内閣に情報戦略局のような独立した機構を確立すべきだ。

このように、
①日本にとって理想とする国家像や理念は、平和、福祉、環境である。
②日本の非核原則と平和主義という国民意識がある限り、アメリカによって防衛されるという点にある。これが、安全保障の要諦である。
③アジアではアメリカとの関係とは別に周辺国と建設てきな関係を築かないといけない、
④日本は情報をアメリカに頼りすぎであり、独自の情報収集力を高めないといけない

今の国民の意識と日本の置かれた状況を踏まえた明晰な指摘ではないだろうか。
今の2世、3世の政治家の言動からは、このような知恵や判断力、理念が感じられない。 われわれの目指すべき国家とは、日本人の旧来の美徳の復古を促すような「美しい国」というよりは、個人としても国家としても「自立し」、国際性と柔軟性に富んだ発言や行動で、平和で調和的かつ持続的発展が可能な地球社会の実現に向けたリーダーシップを発揮する国ではないだろうか。

goo | コメント ( 1 ) | トラックバック ( 0 )
 
コメント
 
 
 
民主的に選ばれた総理大臣 (ヨシ)
2006-08-15 21:41:05
まあ情けない人を首相に持ったものだと思いますが、それも先の総選挙で自民党を大勝させ、結果的に小泉政権を支持した多数の国民の意思なのですから、私はますます日本から脱出したくなりました。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。