ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『ある過去の行方』を観て

2015年08月28日 | 2010年代映画(外国)
ここの所、映画館から足が遠のいている。
外は雨。で、レンタル店に行ってDVDを借りてきた。
イランの監督、アスガー・ファルハディの『ある過去の行方』(2013年)。
同監督の『別離』(2011年)に衝撃を受け、次作もと思いながらつい見過してしまった作品である。

パリの空港で、再会を微笑み合う男と女。
しかし、イラン人のアーマドが4年ぶりに妻マリーと再会した理由は、離婚の手続きをするためであった。
アーマドはマリーにホテルの予約を頼んでおいたが、彼女はしていなかった。
帰路の車中で妻は、最近、長女のリュシーが夜になってもなかなか帰らず、家に寄り付かなくなって来たことを言う。
二人が家に着くと、男の子と女の子が外れた自転車のチェーンを直しそうとしている。
それを、直してやるアーマド・・・・

この作品は、本当は少しもあらすじを話さない方がいい。
日常会話から徐々に内容の筋立てがわかりだし、その人間関係もわかるようになってくる。
夫婦の微妙な間柄。夫と子供たちとの実の関係。結婚しようとしている男サミールと妻との関係。夫とサミールの立場。
そして、長女がサミールを嫌う理由。

この長女リュシーがサミールを嫌う本当の理由が最大のポイントとなって、その事実が少しずつ露わになり、真実に近づいていく。
しかし、真実と思ったことが二転三転し、話はスリリングにどんどん展開する。
そして、家族とは何か。人と人との関係、愛することとは何か。が重く鋭く突き刺さる。

本来は、もっと書き進めたいが、となると筋となる内容を書かなければならないので省略する。

これは第一級の作品である。
今後のファルハディの作品は見逃せないと思うし、それ以前の作品も是非観なければならないと思った。
考えさせられる、満足感の残る良い作品であった、というのが私の感想である。

コメント (2)
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