前回の『流れる』(成瀬己喜男監督、1956年)の栗島すみ子を見て、人気当時の作品をと『淑女は何を忘れたか』(小津安二郎監督、1937年)を観てみた。
東京の、麹町のしゃれた佇まい。
医師で大学教授の小宮とその妻時子。
そこへ大阪から姪の節子がやってきた。
助手の岡田が、小宮が依頼した本を家まで届けにきた。
時子は、お喋り友達から頼まれていた家庭教師の口を、岡田が丁度いいと思い紹介する。
小宮が休みの日、時子は、小宮を無理やりゴルフに出かけさせようとし、自分は自分で出かけてしまう。
気が進まない小宮は、岡田のアパートを訪ね、ゴルフバックを預けて、一人行き付けのバーに行く。
そこへ、どうした偶然か節子がやってきて、小宮と飲むうち、“芸妓が見たい”と言い出す。
小宮は、料亭で散々酔っ払ってしまった節子を、呼び出した岡田に送らせて、自分は彼のアパートに泊まる。
夜中の1時過ぎに帰ってきた節子を、気をもんで心配していた時子は叱責し・・・
節子は今風の現代っ子。
時子が「お嫁前の子に万一あったら」といくら心配していようが、酔いながらケロッと寝てしまう。
翌日、ゴルフから帰ってきた小宮は、実はアリバイ工作のために手紙を妻宛てに出していて、困ってしまう。
天気もよく晴れていてと書いたら、その日はザンザンの雨降りになってしまって。
そんな恐妻家の時子に頭が上がらない夫。
時子が栗島すみ子で、夫は斎藤達雄。
斎藤達雄は戦前の小津作品でよく見るが、やはり何と言っても『生れてはみたけれど』(1932年)が印象深い人。
片や栗島すみ子は、この作品が最後と引退を決意する。
この二人の息がピッタリ合っていて、雰囲気が真面目であればあるほど、そのおかしさに笑いが止まらない。
そして、そんな小宮を若い節子が、「旦那はもっと威厳を持たなあかん」と叱咤激励する。
それに対して小宮は、「奥さんには花を持たせないかんよ。旦那様を押さえていると思っているのがいい気持ちなんだから。つまり逆手だね」
と処世術を教える。
そうして、節子が大阪に帰った後の夜、
「節ちゃんが帰って、急に寂しくなったな」と言う小宮に、時子は「コーヒーでも入れましょうか」と、色気を滲み出す。
めでたしめでたしの、心がホンワリするいい作品でした。
東京の、麹町のしゃれた佇まい。
医師で大学教授の小宮とその妻時子。
そこへ大阪から姪の節子がやってきた。
助手の岡田が、小宮が依頼した本を家まで届けにきた。
時子は、お喋り友達から頼まれていた家庭教師の口を、岡田が丁度いいと思い紹介する。
小宮が休みの日、時子は、小宮を無理やりゴルフに出かけさせようとし、自分は自分で出かけてしまう。
気が進まない小宮は、岡田のアパートを訪ね、ゴルフバックを預けて、一人行き付けのバーに行く。
そこへ、どうした偶然か節子がやってきて、小宮と飲むうち、“芸妓が見たい”と言い出す。
小宮は、料亭で散々酔っ払ってしまった節子を、呼び出した岡田に送らせて、自分は彼のアパートに泊まる。
夜中の1時過ぎに帰ってきた節子を、気をもんで心配していた時子は叱責し・・・
節子は今風の現代っ子。
時子が「お嫁前の子に万一あったら」といくら心配していようが、酔いながらケロッと寝てしまう。
翌日、ゴルフから帰ってきた小宮は、実はアリバイ工作のために手紙を妻宛てに出していて、困ってしまう。
天気もよく晴れていてと書いたら、その日はザンザンの雨降りになってしまって。
そんな恐妻家の時子に頭が上がらない夫。
時子が栗島すみ子で、夫は斎藤達雄。
斎藤達雄は戦前の小津作品でよく見るが、やはり何と言っても『生れてはみたけれど』(1932年)が印象深い人。
片や栗島すみ子は、この作品が最後と引退を決意する。
この二人の息がピッタリ合っていて、雰囲気が真面目であればあるほど、そのおかしさに笑いが止まらない。
そして、そんな小宮を若い節子が、「旦那はもっと威厳を持たなあかん」と叱咤激励する。
それに対して小宮は、「奥さんには花を持たせないかんよ。旦那様を押さえていると思っているのがいい気持ちなんだから。つまり逆手だね」
と処世術を教える。
そうして、節子が大阪に帰った後の夜、
「節ちゃんが帰って、急に寂しくなったな」と言う小宮に、時子は「コーヒーでも入れましょうか」と、色気を滲み出す。
めでたしめでたしの、心がホンワリするいい作品でした。