ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

アキ・カウリスマキ・1~『コントラクト・キラー』

2022年06月16日 | 1990年代映画(外国)
『コントラクト・キラー』(アキ・カウリスマキ監督、1990年)を観た。

ロンドンで暮らす孤独なフランス人アンリは、長年務めた職場をあっさり解雇されてしまう。
絶望して自殺を図るもことごとく失敗した彼は、ギャングのアジトを訪れて自分自身の殺害を依頼する。

死を待つアンリだったが、パブで花売りのマーガレットに出会って恋に落ち、生きる希望を取り戻す。
しかし、殺し屋はすでに差し向けられていて・・・
(Wikipediaより)

人付き合いもしない内向的な孤独な男、アンリ。
これをジャン=ピエール・レオが演じる。
ジャン=ピエール・レオと言えば、フランソワ・トリュフォー監督の『大人は判ってくれない』(1959年)から始まって、
ジャン=リュック・ゴダール監督の作品などで馴染みの俳優。
その彼が無口ながら味わい深い演技をする。
もっともアキ・カウリスマキの作品自体、他の作品を観てもセリフが極端に少ない。

そんなアンリが人生に絶望して自殺しようとする。
しかし、そんなにうまくは死ねない。
だから、しょうがなく自分に対する契約殺人を依頼する。
しかしどっこい、日も経たず、バラ売りの女性マーガレットを見て一目ぼり。
さあ、困った、死ななきゃいけない自分が生に生きがいを見いだしてしまう。

とぼけた味わいが全体の雰囲気を作る中で、最後には生きる素晴らしさをほのぼのと肯定する、その作りの素晴らしさ。
だからその雰囲気に漂っていたい為に、二度DVDで観てしまい、本当にいい作品だなと手放しで余韻に浸った。

フィンランドのアキ・カウリスマキ作品は、『マッチ工場の少女』(1990年)が評判になった時、劇場に観に行った。
その独特な作風に“へぇ”と思ったが、次に観た『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』(1989年)には、凄いとのめり込んだ。
以来この監督作品には意識していたが、所詮、たくさんの見落としがあって、今回を機にもっと観ていこうと思っている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする