ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『君を想い、バスに乗る』を観て

2022年06月28日 | 2020年代映画(外国)
『君を想い、バスに乗る』(ギリーズ・マッキノン監督、2021年)を観て来た。

最愛の妻を亡くしたばかりのトム・ハーパーはローカルバスのフリーパスを利用してイギリス縦断の壮大な旅に出ることを決意する。
行く先々で様々な人と出会い、トラブルに巻き込まれながらも、妻と交わしたある“約束”を胸に時間・年齢・運命に抗い旅を続けるトム・・・
(オフィシャルサイトより)

オフィシャルサイトほか映画紹介サイトでは、なぜトムが決心しこのような旅をするのか、その目的を先に知らしてしまっている。
作品では、その最終目的をラスト近くまで明かしていないのに無神経なことをするなぁと思い、その部分はカット。

妻を亡くした90歳のトム・ハーパーは50年暮らしたスコットランド最北端の村ジョン・オ・グローツから、
イギリス最南端の岬ランズ・エンドを目指して1300キロの旅に出る。
その旅はバスの乗り継ぎであって、その間いろいろとトラブルに巻き込まれる。
それでもこの老人は、最終目的を秘めながら、一つの鞄を必死に庇いながら旅を進める。
その旅道は、イギリス最南端の地から最北端への地へ来た逆道順の想い出を数々忍ばせる。
若かりし頃のフラッシュバック。
そのようにして、老人トムと妻の過去の断片が垣間見えてくる。

なぜ、トムは体調が良くないのに、頑なまでに最終目的の地にたどり着こうとしたのか。
観ていて、その想いにラストでは胸に熱いものが込み上げてきた。
主演のトム役ティモシー・スポ―ルが、地味であっても深く印象に残る。
そして思うことは、このような素晴らしい作品はたくさんの人々に観てほしいということ。
ただ残念なのは、日本語題名の気恥ずかしさ。これでは若者向きの作品かと錯覚する。
コメント
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