ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『ベイビー・ブローカー』を観て

2022年06月24日 | 2020年代映画(外国)
今日封切られた是枝裕和監督の『ベイビー・ブローカー』(2022年)を観て来た。

釜山で古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョンと、〈赤ちゃんポスト〉がある施設で働く児童養護施設出身のドンス。
ある土砂降りの雨の晩、彼らは若い女ソヨンが〈赤ちゃんポスト〉に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。
彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。
しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。
「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。

一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジンと後輩のイ刑事は、是が非でも現行犯で逮捕しようと、静かに後を追っていくが・・・
(公式サイトより)

単純に言うと、訳あって「赤ちゃんポスト」に預けた赤ちゃんをくすねて養子縁組させ、その報酬を得ようとする男二人組の話。
ただしこのような物語を、是枝裕和はそう簡単なわかりきった内容にはしない。
その底辺にあるのは、是枝の家族の概念に対する形態か。
幼児売買で金儲けしようとするサンヒョンとドンス。
それと赤ちゃんを棄てたはずのソヨン。
この3人に養護施設の子ヘジンが加わり、赤ちゃんのウソンを中心とした疑似家族が形成されていく。

それを、私でも馴染みのソン・ガンホ、また刑事役のペ・ドゥナが絡み、出演する皆が自然体でありいつしか画面に引き込まれてしまう。

事情があり棄てられた赤ちゃんは、果たして本当に不幸のままなのか。
そうではなく、暖かく見守って育ててくれる人があれば、それは十分に価値のあるかけがえのないものではないか。
そのようにこの作品は言っているように思える。

是枝作品にしてはストーリー展開が中心の内容となっているが、そうであっても十分に満足でき楽しめる作品であった。


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