ポケットの中で映画を温めて

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『1917 命をかけた伝令』を観て

2020年02月17日 | 2010年代映画(外国)
『1917 命をかけた伝令』(サム・メンデス監督、2019年)を観てきた。

1917年4月6日、イギリス兵である第8連隊に所属するスコフィールドとブレイクは、ある重要なメッセージを届ける任務をエリンモア将軍から与えられる。

マッケンジー大佐率いるデヴォンシャー連隊第2大隊は退却したドイツ軍を追っていたのだが、
航空写真によって、要塞化された陣地をドイツ軍が築き、待ち構えていることが判明。
退却に見せかけた用意周到な罠だった。

このままでは、マッケンジー大佐と1600人の友軍は、ドイツ軍の未曽有の規模の砲兵隊によって全滅してしまう。
なんとしてもこの事実をマッケンジー大佐に伝え、翌朝に予定されている戦線突破を止めなければならない。
あらゆる通信手段はドイツ軍によって遮断され、もはやスコフィールドとブレイクの伝令が最後の頼みの綱だった・・・
(パンフレットより一部修正抜粋)

二人はエクーストという町の南東2キロの、ルロワジルの森に向かって出発する。
途中、占領ドイツ軍が築いた塹壕やドイツ占領下の町を越えて行かなければならない。
その行く手は、状況次第でいつ襲撃に遭うかわからない。

その二人の姿を、全編ワンカットの映像として見せる。
だからカメラは常に二人、途中からは一人の動きと共にある。
それを観客は、伝令兵と同じ目線で状況把握することになり、一時も緊張することをやめさせて貰えない。
それは、大袈裟に言えばジェットコースターに乗っている実体験のような錯覚に陥る。
そのような状況とセットで、その先がわからない映像美に驚嘆する。
そして、私が求めるドラマドラマしていなくて映像で見せる、本来の映画らしい作品に出会ったことに感激する。

もっとも、謳い文句である全編ワンカットは、宣伝であって本来あり得ない。
翌朝までの話を実上映時間2時間で映すとなると辻褄が合わなくなってくる。
だから、場面移動をそんなにしていないはずでも、そこは観客が時間経過を勝手に想像しなければならない。
それともうひとこと敢えて言えば、場所設定にエクーストという町名が出てくるが、それだけでは地理把握が出来ずリアリティに欠けるな、と感じる。
と言うようなことも、いちいちあらを探さなければ気にもならないレベルであると信じる。

ともあれ、撮影監督のロジャー・ディーキンス。
今まで撮影監督なんて意識したことがなかったけれど、この人が撮った作品をチェックしてみると成る程と感心する。
だから、アカデミー賞の撮影賞、視覚効果賞は当然の結果だと思う。

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