今週の水曜日、午前診では支障なく動いていた電子カルテシステムであったが、午後診療に際し受付PCからサーバーPCにリンク不能となった。既に待合室には患者さんが沢山お待ちである。再起動しても院内LAN接続不可の事態は改善しない。こうなればサーバーPCで受付入力して午後診療を行うと試みたが、レーザープリンター、インクジェットプリンターともに動作せず、領収書や院外処方箋が印刷できないことに気付いた。断腸の思いで午後診療中止を決断し、折角来院して下さった患者さんには平謝りで事情を御説明し、日を改めて診療させて頂く旨を申し述べて御詫びをした。
為す術なく茫然としていたが、ふと受付PC横のHUBが全く点灯していないことが目に映り、原因部位が此処だと初めて理解した。何か手立てはないかと棚にしまっておいた問題機器の空箱を開けたら、何時入手したかも覚えていない別社製のひと回り小さなHUBが納まっている。これに駄目元でLANケーブルを順番に繋いでみると、陸の孤島であった受付PCが目出度くネットワークに再認識された。プリンター連中も壊れたHUBにぶら下がっていた為に印刷不可であったことが解り、この後は機嫌よく動き出した。回復しましたので診療を始めさせて頂きますと、駐車場でお帰り支度をなさっていた患者さんをお詫びとともに呼び戻し、既に帰宅された方宅にも診療開始の御連絡を差し上げた。
逆上した頭が冷えてきた頃にゆっくりと考えたら、まずは壊れたHUBを外し、受付PCおよびプリンターの一機を直接に壁のLANポートに接続さえすれば慌てることはなかったのである。仕事柄、緊急時の心構えは多少なりともある筈なのにまだまだ修行不足とみえる。トラブルが発生しなければそれに越したことはない。しかし何も起こらぬ保障は何処にもない。日頃色々な緊急事態を想定して、その際に取るべき行動をお浚いしておくことが肝要と今更ながら反省した。
これまでに公私ともにHDが飛んだことがあり、器械はいつか壊れるものと頭では理解しているつもりである。されど診療業務開始の時点で突然、今回の様なトラブルが起きると、元来肝っ玉が小さいのでひたすら焦る。それにつけても存在をすっかり忘れ去っていた小さなHUBには大いに助けられた。急場をしのいだ翌日にはすみやかに、何時も何かとお世話になっている泉代表が伝送速度が速い新規のHUBを接続して下さり、一件はようやく無事に落着した。小さなHUBは再び空箱の中に帰ったのであるが、この後二度と出番がなくとも安全管理における守り神として、どうぞ新参者のHUBが元気に働いている姿を其処から静かに見守っていて欲しいと思っているのである。