夢江南 一 李煜
千萬恨 千万の恨み
恨極在天涯 恨みの極まるは天の涯にあり
山月不知心裏事 山にかかる月は知らず心の裏(うち)の事
水風空落眼前花 水もふく風に空しく落つ眼の前りの花
揺曳碧雲斜 揺曳として碧雲斜めなり
夢江南 二
梳洗罷 梳洗(そせん)罷(おわ)り
獨倚望江樓 独り望江の樓に倚る
過盡千帆皆不是 過ぎ尽くす千帆皆是れならず
斜暉脈脈水悠悠 斜めの暉(ひ)ざしは脈脈たり 水は悠悠たり
腸斷白蘋洲 腸は断つ白蘋の洲
村上哲見注:中国詩人全集「李煜」, 岩波書店, 1990
*李煜(りいく):五代十国時代の南唐最後の君主、詩人皇帝、南唐後主。亡国の後、北宋の地で三年間の軟禁生活を送る。馬銭子から成る牽機薬で最期を迎えたとされる(王銍著「黙記」上巻に記載)。
*馬銭子:馬銭(マチン)は学名Strychnos nux-vomica.L.、マチン科マチン属の常緑高木で、猛毒性のstrychnineを含む代表的植物である。成熟果実の種子を基原とする生薬が馬銭子で、性寒・味苦・有大毒、帰経は肝・脾経、効能は通絡止痛、散結消腫である。
*馬銭子:馬銭(マチン)は学名Strychnos nux-vomica.L.、マチン科マチン属の常緑高木で、猛毒性のstrychnineを含む代表的植物である。成熟果実の種子を基原とする生薬が馬銭子で、性寒・味苦・有大毒、帰経は肝・脾経、効能は通絡止痛、散結消腫である。