花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

錦木(にしきぎ)を生ける│大和未生流の稽古

2019-06-08 | アート・文化
大和未生流、水無月の研究会が先日、奈良市内で開催された。研究会の冒頭に慶事があり、この令和元年春の栄誉に浴された須山御家元に、門下生一同が心より御祝いを申し上げた。
 今月の主題は流派の伝統ある基本型の立姿三本生けであった。花材は緑葉が瑞々しい錦木である。うち揃って取り組んだ後に御講評を賜って散会となり、帰宅後に大切に包んで持って帰った錦木を生け直した。同じ花材を用いても、改めて生け直すとまた風姿が変わる。生けた後も花の前を通るたびに立止り思案している。



いまだ畿内は梅雨入りに至らないが、気候はすでに盛夏に劣らない。この時期のいけばなは色数を少なくして、むしろ緑一色のいけばなが清々しく思える。いずれ庭師さんに取り払われるであろう庭に伸び放題の竹や、今盛りの下野草(しもつけそう)を余った錦木に様々に取り合わせてみた。
 照葉の錦木は葉の色合いが微妙に異なり役枝に変化をつけやすい。しかし錦木に限らず、紅葉した葉は生けた後から萎んだり脱落することがある。一方、芽吹きを過ぎた時期の錦木は丈夫な緑葉であるが、葉を残し過ぎれば深い緑が重複して暑苦しい風体になる。今更ながら、同じ花材であっても紅葉と緑葉では異なる取り組み方が必要と痛感した。