やまと には かの いかるが の おほてら に
みほとけ たち の まちて いまさむ
自註鹿鳴集・観仏三昧 會津八一
第82回日本めまい平衡医学会•学術講演会の隙間を縫って「會津八一記念館」と「旧齋藤家別邸」に伺った。新潟市古町が御生誕地である會津八一先生の記念館では特別展、棟方志功生誕120年《會津八一と棟方志功 ―知性と感性―》が開催中であった。二十二歳年が離れた希代の両巨匠の御親交は昭和十年に遡り、終生続いたことを館内表示と図録を拝読して知った。巻頭のポスターに掲載された画は記念館所蔵双幅の内の普賢菩薩像で、棟方志功画伯の板画、秋艸道人先生の書からなる。
次いで訪れた新潟の豪商、齋藤喜十郎家が風趣を尽くした別邸では、回遊式庭園を一望できる二階座敷で薄茶を一服頂いた。晩秋であるが楓樹の紅葉には未だ早く、緑豊かな砂防の松樹が池泉に影を落とす庭園をそぞろ歩きしていたら、何やら遠雷が轟き始めた。その後、別邸を辞して間もなく一天俄かにかき曇り土砂降りの雷雨となり、地理不案内の新潟市内を濡れ鼠で右往左往。ようやくの事で連絡がついた迎えのタクシーに拾って頂き、這々の体でホテルに帰った。北方文化博物館にも当初伺う予定であったが、今回はどうも御縁がないらしい。学会会場に出戻った後はまた大人しく殊勝に講演を拝聴した。