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第29回日本医学会総会2015関西が、本年4月に京都市で開催された。京都国際会館での開会式に参加するため2時間前に会場に到着したのだが、すでに受付エリアは参加者で溢れている。当日は皇太子殿下の御臨席があり、入館に際しては身体および手荷物の厳しいチェックが行われ、小雨が降っていたために持参した折り畳み傘も持ち込み不可であった。
長い列をなして大ホールへと進む。ようやくたどり着いた事前登録の一般席は、学生時代の階段教室よりもはるかに高くせり上がった最後方の座席である。最前列から中央の席まではテープで結界された招待席である。前方の壇上には、会長始め錚々たる重鎮の先生方が次々と着席してゆかれた。これが医学界のヒエラルキーである。
やがて皇太子殿下の御入場となり、上座に御着席になった。その後時間が経過しても、御首を少し左右にお向けになる以外は御身体が揺れない。壇上に御列席の先生方は、勿論威儀を正して座っておられるのだが、微妙に身体の向きをお変えになったり頭が動いたり、其処には歴然と差がある。
すでに他界した母方の祖父は若き頃、奈良県内で選抜された内の一人として、近衛騎兵のお勤めを奉じたことがある。その祖父が母に語った思い出であるが、昭和天皇が摂政宮でいらした頃、観兵式にお臨みになった時の話である。雨が降り出してしとど濡れる中、白馬の騎上の御姿は最後まで微動だになさらなかったという。さらに御退場の跡を見れば、馬の蹄の形に下の土が濡れてなかったそうである。馬もまた並の馬などではない。