花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

残花を生ける│大和未生流の稽古

2015-09-22 | アート・文化


華道大和未生流の第二十七回いけばな展の終了後、遠路、流派のお仲間が家まで車で送って下さった。華展で使った分と予備を含む四本の青竹を、お蔭様で無事に持って帰ることが出来たのである。会場に伺えなかった家族の為に、華展で生けた花(冒頭写真)を自宅の玄関に再現した。その後数日経過すると、花器を満たす水に活性剤を加えたにもかかわらず、竹や菊の葉が少しずつ色褪せて来た。先の「竹を生ける」で述べた通りに青竹内腔への注水を毎日続けているのだが、本体への吸い上げが落ちてきたと見えて、内腔に溜まっている水も殆ど減らない。そこで改めて良さそうな所を選んで切り揃えてから、庭の隅の秋海棠を添え花として合わせ、新しい形に生け直した。

残花を生けるのは、台所や冷蔵庫に残った食材を用いて一品を作りだす過程に似ている。潤沢な食材を揃えて準備万端で料理するよりも、自分の乏しい創造力がはるかにかき立てられる。有り合わせで適当に作るなどという意識は毛頭ない。何かが足りなかったり、どれかが使えなかったりする状況の中、新たな組み合わせをひねり出して仕上げてゆく作業である。さあ生けて見せよと挑戦状を突きつけられた様でもあり、総身が引き締まるとともに結構面白い。

また花の気持ちになれば、前期と後期、各々三日間の短い華やぎの舞台が終われば、はい、さようならとばかりに捨てられる運命では、余りにも哀れではないか。再利用の青竹は勿論、やや盛りを過ぎていた秋海棠もともになお暫し、その凛とした名残の姿を見せて欲しい。そして、お疲れ様でした、私に花の身を託してくれて本当に有難うと、幕引きの時には声をかけてあげたい。






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