冬休みも残りわずか。
クリスマスにお正月と、楽しい年末年始を過ごしてきた子どもたちですが、冬休みのお楽しみといえばイエティくらぶのキャンプです!
今シーズンのいぶり校冬休みキャンプは『わくわく冬のけものキャンプ』。
雪遊びもけもの、食べるご飯にもけもの、朝の体操もけもの…な1泊2日を過ごしました。
そんなけものキャンプの全貌をお届けいたします。
2014年1月11日(土)天気:晴れ
キーンとしばれた土曜日の朝。大きな荷物を抱え、ほっぺや鼻の先っちょをほんのり赤くした子どもたちが苫小牧駅に集合です。
1年生から6年生まで24人。苫小牧・登別・室蘭・札幌から子どもたちが集まりました。
この日から1泊2日けものキャンプのスタートです。
苫小牧駅からJRに乗って目指すは安平町早来。
「あ!電車がきたー!!」とすでにみんな興奮状態です。
車窓から見送ってくれた保護者のみなさんに行ってきま~す!
学校の友だち同士もはじめましての子もあっという間に仲良くなって賑々しく電車の旅は続きます。
早来駅に降り立つと、今度は歩いて宿泊場所を目指します。
その道中、まちのスーパーでおやつを買いました。
お財布の中には1,000円の軍資金。しかし、これはお風呂代や帰りに買うおみやげ代も合わせてのお金です。
上手に100円分のおやつを買うことができたかな?
おやつを手に再び歩き始めるけものキャンプご一行。
途中、雪の上に何か不思議な模様を発見しました。
「これも足跡かな?」と興味津々です。
さすが、みんな良い目を持っています。これからの時間が楽しみだ!
宿泊場所であるしらかば合宿所に到着しました。
たくさん歩いたのでお腹もペコペコ。遊びに出かける前にみんなでお昼ご飯です。
腹ごしらえが済んだら、身支度を整えけもの雪遊びに出発!
みんなで遊ぶものはみんなで手分けをして運びます。
活動場所はときわ公園。安平町のスポーツセンター、通称、せいこドーム(早来出身の元オリンピックスピードスケート選手・橋本聖子さんにちなんで)の前にある案内板で現在地と遊び場所を確認します。
まずはみんなの体と心をほぐすための準備運動から。
スノーフラッグ対決です。雪の中を子どもたちが一斉に走り出します。
大人v.s.子どもたち。
スタッフは大人の本気を見せました。
次は雪中ドラえもん探し。
スタッフが隠した雪の中に隠したドラえもんのぬいぐるみを探しに行きます。
でも、ただ探すのではありません。なんといってもけものキャンプですから、けものらしく探します。
ということで、見つけるべくドラえもんたちの匂いを確認。くんくん。よく覚えて…
いざ、探索隊出発!覚えた匂いを頼りに斜面をかけていきます。
「見つけたー!」とあちこちで発見の声が上がります。
しかし、残念ながら発見の決め手は匂いではなく足跡だったみたいです。
雪の上にはこうして足跡が残るので、生き物たちの動きも良く見えるんですね。
ドラえもんも無事、救出されたところで雪遊びスタートしました。
斜面は格好の尻すべりコースです。
ここでもけものキャンプらしくけものっぽい滑り方を研究して~と申しつけると、腹ばいで滑り降りてくる子が。
何のけものか尋ねると「これはペンギンすべりだー!」とのことでした。
しばれる中、雪玉はなかなかできませんが、バケツを使えば固まるから不思議。
定番・そり遊びもやっぱり楽しいものです。
そりすべり競争も。よーい、どん!といっせいにスタート。
たくさん遊んでのどが乾いたら甘いレモンティーや麦茶で一休みです。
雪の甲羅をまとったカメを発見!
こちらは足跡たんけん隊。
この可愛い足跡は誰のモノでしょう??
これはリスさんの足跡のようです。
足跡をたどって真似をしてみます。リスのジャンプ力のすごさを体感しました。
むむ、これはなんだ??
鳥やリスが食べたあとでしょうか。キタコブシの実がポロポロと落ちていました。
頭上にはゴジュウカラの姿が。
お次の足跡はこちら。
こちらはウサギさんですね。
ちょっと真似してみましょ。
姿形は見えなくても、身の回りにいる生き物を感じることができました。
日が陰りぴゅーっと冷たい風が吹いてきました。
次のプログラムに向けて、しらかば合宿所へ戻ります。
戻り来て、あったかい部屋に入ってほっと一息。
みんなでおやつタイムです。
おやつを食べてパワー回復。
今回のけものキャンプのメインの一つである『けものインタビュー』が始まりました。
安平町で狩猟(ハンター)をしている蛯名徹さんをお招きし、動物の足跡早見表を見たり、シカやクマを捕るときなどのお話をうかがいました。
まずは、この地域に住む生き物の毛皮が登場。
エゾシカ、ユキウサギ、アライグマ、タヌキ、キツネ。
「触ってみても良いよ」の一言にみんな毛皮のもとへ。
野生の生き物はもちろん、これらの動物の毛なんて動物園に行ったって触るなんてことはできません。
タヌキやキツネの毛は意外と固いぞ。
ウサギの毛はふわふわやわらかいなぁ。
子どもたちにはウサギの毛皮が人気でした。
次に出てきたのはシカを捕るときに使う罠。
シカがトコトコ歩いてきて、
足が木の板の上に乗り、
グッと力が入ると、罠がバチーン!と跳ね、
ワイヤーロープが足を捉えるという仕組みです。
この罠を仕掛けるのにも資格が必要だそうです。
仕かけの実演のために持ってきていただいたシカの足。
シカの足の裏なんて触ったことなんかないもんね。捕って間もないので意外とやわらかいです。
今度は罠ではなく鉄砲のお話。
実際に使う銃弾を見せてもらいました。
打つ前の弾は先がとがっていますが、シカに当たった弾は先がつぶれています。
最後は子どもたちからの質問タイム。
「どうしてシカやクマを捕るんですか?」
「鉄砲の弾は何の金属でできているんですか?」
「鉄砲はどこの国製ですか?」
など、興味津々で蛯名さんに質問をしていました。
約1時間のお話でしたが、子どもたちも真剣に話を聞いたり、実際に触れてみたりとたくさんの学びがあったように感じます。
けものインタビューが終わると、次は安平町の温泉・鶴の湯さんでお風呂をいただき、晩ご飯です。
けものキャンプ、晩ご飯のメニューはシカ肉料理。
蛯名さんからいろんな部位のシカ肉を分けていただきました。
この日のメインディッシュは、ハッシュドビーフならぬハッシュドディア。
ごはんにかけていただきます!
みんなすごい勢いでお腹の中に収めていきます。
入っているお肉がシカ肉だと伝えると「シカ肉っておいしいね!」とムシャムシャ・モグモグ。
お腹も心も満たされました。
みんなで食べるご飯ってなんであんなに美味しいんでしょうね。
片付けの合間にシカになってみる子を発見。
シカになった気分はどうかな?
さて、晩ご飯が終わったら本日の最後は遊び会議。
翌日はけものにまつわる3つのプログラムが用意されています。
各担当者のプレゼンを聞いて、自分がやりたい!と思うものを一つ選んで参加する選択プログラムです。
そちらの内容は…
①シカのお肉でレッツ・クッキング☆シカ肉料理研究会
②ハンター・蛯名さんと行くけものトレッキングツアー
③シカの角でアクセサリーをつくろう!シカ角工作体験
の3本です。プレゼンを聞き、しばし悩む子どもたち。各プログラムとも定員もありますので、少しばかり探り探りな様子もこれまた面白い。
ちなみに、定員を超える申し込みがあった場合は、じゃんけんで勝った人が参加の権利を勝ち取ります。
「シンキングタイム終了です!では、自分がやりたいと思うものに手を挙げてくださ~い」とスタッフから声がかかります。
さぁ、結果はどうなるか…
なんと!
各プログラム誰ひとり第一希望から外れることなく一発OK!!きれいに分かれました。すごい!!
子どもたちも大人たちもほっとしたところでこの日の活動は終了です。
翌日の朝の予定をみんなで確認して寝る準備をします。
2014年1月12日(日)天気:晴れ
朝6時。
「おはよー!朝ですよー!遊びに行くよー!」というスタッフの声に起こされる子どもたち。
昨日はたくさん遊んでたくさん勉強してたくさんご飯も食べたので、朝までぐっすりだった様子です。
起きて顔を洗い、寝袋をたたんだら、さぁ、外遊びに出かけますよ!
イエティくらぶは外遊びが大好き。
こんなに朝早くから遊べる機会もそうそうないものです。
ちょっと眠い目をこすりつつ、スキーウェアに袖を通します。
外に出てみると、寝起きのぼんやりした感じも一気に覚める冬の空気。
この日もだいぶしばれていました。
それでも外に出てしまえば子どもたちは元気いっぱい。すぐに雪遊びを始めます。
近くの公園までちょっと移動。
どれくらい冷えているのかちょっと温度計を出してみるとこんな感じ。
こりゃ息を吸うと鼻の中が一瞬凍ってねっぱるわけです。
朝ということで、まずはスタッフ考案・シカ体操からスタート。
シカの一生を表現したイエティくらぶオリジナルのシカ体操です。
①シカ、誕生
②シカ、4つ脚で立ち上がる
③シカ、なぜか立ち上がり2足歩行
④シカ、エサを食む
⑤シカ、脚を大きく蹴り上げる
⑥シカ、罠にかかる
⑦シカ、旅立つ
…というなんともシュールな体操ですが、子どもたちには人気でした。
そのあと、チームに分かれて行ったのがけものリレーです。
ハイハイで目標物に向かって前進。折り返して次の人にバトンタッチしていきます。
よーい、スタート!!
朝の外遊びも楽しいものです。
が、そろそろ手足の先がしびれる寒さ。約20分一気に遊んで、一気に退散!
自分の息で曇ったメガネが凍ります。
濡らした雑巾をクルクルっとふりまわすとご覧のとおり。
寒いってすごく面白い。
戻ってくるとあったかい朝ごはんが待っていました。
冷えた体に美味しく優しいあったかうどんが沁みました。
朝ごはんのあと、選択プログラムまでは自由時間。
子どもたち同士声をかけあってトランプやウノなどのカードゲームを楽しんでいました。
さて、お待ちかねの選択プログラムに出発です。
みんな気合十分、良い顔をしています。
こちらシカ肉料理チームのみなさま。美味しいランチ、期待しています!
蛯名さんと行くハンターツアーご一行様。
シカ角工房の職人たち
それぞれに午前中いっぱい自分の好きなことに打ち込める時間となりました。
11時30分、各チームみんなが再びしらかば合宿所に戻り、それぞれにどんなことをしたかちょこっとふり返り。
そして、シカ肉料理チームからランチのメニューが発表されました。
シカ肉のロースト、シカ肉の燻製、ハスカップ鹿の子。
シカにまつわる料理がたっくさん!とっても美味しそう!!
お昼はオープンサンドだったので、野菜やチーズやシカ肉を挟んでサンドイッチにして食べる子が多かったです。
お味はいかが?
けもの大満喫のキャンプもそろそろ終わりの時間が近づいていました。
最後にみんなで2日間で何が楽しかったか、新しい発見はあったかなどをふり返りました。
帰りも来た時のように電車で苫小牧駅まで戻ります。
駅で電車を待つ間にお小遣いの残りを使っておみやげを購入。
みんなちゃんとおうちの人におみやげ渡せたかな?
子どもたちにもおみやげが。
シカ角工作チームが、参加者みんなにシカ角ストラップ制作キットをつくってくれました。
穴があけられた小さな角と紙やすり、皮ひも、ビーズが入っています。
帰りの電車の中はもうすっかりみんな仲良くなっていて、いつも遊んでいる友だちかのように和気あいあいとした雰囲気がそこにありました。
電車を降りると保護者のみなさんが待っていました。
さっきまで元気にやんちゃだった子もおうちの人の姿を見るとおうちでの子どもの顔に戻ります。
「楽しかった?」という問いかけに「うん!」と元気に答えているのが嬉しかったです。
気温が低く冬らしい寒さの中での活動でしたが、体調を崩す子もおらず、大きなケガや事故もなく活動を終えられたことにスタッフ一同ほっとしております。
ハンターの蛯名さんがおっしゃっていました。
「私たち猟師がシカやクマを捕るのは、農業をやっている人が畑に植えたものを野生動物が食べてしまって被害が出ているから。ただむやみになんでも捕るんじゃなく、暮らしの中に必要な分だけ捕っている」
野生の生き物と私たちの暮らしのつながり、身近な自然や姿形を直接、見る機会は少なくても、私たちの近くにはいろんな生き物が生きているんだということを少しでも感じてもらえていたらとても嬉しいです。
これから子どもたちが色々なことを勉強していく中で、今回の体験が活きた知識として残ってくれることを願っています。
今回のキャンプには様々なみなさまのご協力をいただきました。
ハンターの蛯名さん、安平町の役場職員の方々、ボランティアスタッフのみなさん、キャンプの運営をお手伝いいただいたみなさんのおかげで子どもたちにこうした体験を提供することができています。
そして、こうした体験活動にご理解をいただき、快くお子さまを送り出していただいた保護者のみなさま。
なにより、元気いっぱい楽しい2日間を過ごしてくれた子どもたちに心から感謝です。
ありがとうございました。
いぶり自然学校スタッフ・山田由美子(やまちゃん)上道和恵(うえちゃん)