風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

UFOの夏

2018年08月29日 | 「日記2018」

 

夏は
ぼくの夢をやわらかく砕く
失った欠片ばかりが
空を浮遊している
ひかりの交信は途絶えたまま
夜空の星はもう追わない
指にとまった
ナナホシテントウムシの
小さな星を数える

 

水のなかで息を継ぎながら
ひとの優しさも知った
プールでそっと触れた手は
水よりも冷たかった
背中で浮かんだままで
もうすぐ終わってしまうものがあることを
光る雲を追いながら考える
たぶん明日もまた
あの空から始まるのだろう

 


残暑お見舞いしてほしい

2018年08月16日 | 「日記2018」

 

いつまでも暑いですね
40度はおどろきでした
どこまで暑くなるんでしょうね
頭を使うと脳も発熱するそうですから
なるべくぼんやり過ごすことにしています
スマホもパソコンも熱がってます
もはや言葉で遊ぶのも無理かもしれません
とくに長いものや暗喩だらけの詩はスルーしたい
挫折や敗北の詩はマイルドにして
恋の詩はクールなものを
かき氷のような詩があれば溶けてみたい
川を流れて海に抱かれて
ただぼんやりと浮かんでいたい
背中を潮が流れていきます
空には雲が流れていきます
あれもこれも流れていきます
   「地球さま
   永いことお世話さまでした」という
婆さん蛙の短い挨拶を聞きながら
   「さやうなら」
と眠りに落ちてゆきます
夢の中まで蝉しぐれ
もう限界です
地球さま

      * * * * * * * * * * * * *

   草野心平の詩『婆さん蛙ミミミの挨拶』から一部引用しました。
   以下が、その全詩行です。短いです。

      地球さま。
      永いことお世話さまでした。

      さやうならで御座います。

      ありがとう御座いました。
      さやうならで御座います。

      さやうなら。

 

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あさがおの「あ」

2018年07月27日 | 「日記2018」

 

あさ
あさがおの花が咲いた
どれも「あ」と
大きな口をあいてるようだ
それぞれの口から
それぞれの「あ」がきこえてくる

あさだよっの「あ」
おはようの「あ」
あっまちがえたの「あ」
あついようの「あ」
あなたの「あ」
あも〜れの「あ」
あっぷるぱいぱいの「ぱ」
あほんだらの「あ」
あ~あの「あ」
あれの「あ」
あとはあしたの「あ」
あしゅら

ゆうがた
みじかく饒舌な一日をあさがおは
「ん」でとじる
あしたの「あ」のために

 

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つぶやきの梅雨

2018年06月09日 | 「日記2018」

 

けさ
ホトトギスの声を聞いた
テッペン カケタカ

そうか カケタカ
その空の欠けたところから
もうすぐ雨粒がこぼれてくるんだろうな


きょう6月の
雨がいっぱい降った

きっと地球が
いっぱい汚れていたんだろうな

 

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