詩歌探究社「蓮」は短歌を中心とした文学を探究してゆきます。
誰しもが眼が潰れることは不仕合せだと思うであろうが自分は盲目になってからそう云う感情を味わったことがない寧ろ反対に此の世が極楽浄土にでもなったように思われお師匠様と唯二人生きながら蓮の台の上に住んでいるような心地がした
(谷崎潤一郎『春琴抄』)
・・・私がこんな災難に遭った以上お前も盲目になって欲しいと云う意であった・・・
・・・嗚呼此れが本当にお師匠様の住んでいらっしゃる世界なのだ此れで漸うお師匠様と同じ世界に住むことが出来たと思った・・・
(谷崎潤一郎『春琴抄』)