令和六年度「彩短歌会作品集」 代表 平林静代
平林静代さんが出詠者数22名の会員を率いる彩短歌会の作品集。
毎月歌会が開催されているという。そして年間作品集発行にも
多くの会員が協力されているという。
平林静代「一筋の橋」より紹介する。
ケイタイを見る誰彼に「ほら」と教へたし車窓にすつくと立つ雪の富士山(ふじ)
粉雪(こゆき)降る思へるごとく粉雪降る 苦しきむかしの恋呼び寄せて
令和六年度「彩短歌会作品集」 代表 平林静代
平林静代さんが出詠者数22名の会員を率いる彩短歌会の作品集。
毎月歌会が開催されているという。そして年間作品集発行にも
多くの会員が協力されているという。
平林静代「一筋の橋」より紹介する。
ケイタイを見る誰彼に「ほら」と教へたし車窓にすつくと立つ雪の富士山(ふじ)
粉雪(こゆき)降る思へるごとく粉雪降る 苦しきむかしの恋呼び寄せて
『短歌渉猟 和文脈を追いかけて』今井恵子
2024/10/10 短歌研究社
現代短歌の論客今井恵子さんの評論集。
「短歌研究」に連載された評論をまとめたものであるそうだ。
2008年の第26回短歌現代評論賞受賞者である。
私はこの時に「まひる野の今井恵子」という人を認識したのだった。
まだ、第一章 宮中歌会始 を読み終ったところ。
歌会始には興味津々の私なのである。
ここで、巻末の「事項素引」を眺めると「あゝ上野駅」から始まる。
ルール違反かも知れないが素引から該当する文章を読むのも面白いかも。
ついでに知人が取り上げられていないか?と「人名素引」も眺める。
と、わが名があるではないか!小文の引用であったが、
読まれることがあるんだな・・と嬉しく有難いことであった。
秋の夜長に最適の読み物である。
「帆」37号 2024.10
2024/10/27 不定期刊 300円
発行人 佐藤よしみ
「かわたれ」より紹介します。
進みゆく時計と遅れゆく時計正刻なき家(や)は正論もなし
君が待つ改札口へ真っ直ぐにただ真っ直ぐにゆきし日のこと
穏やかな風に木犀漂えり告げられなかった恋はやさしく
ひとりぼっちよりも二人はさびしくて陽の匂いする布団に眠る
もてあまし時に行く手を阻まれてなおも激しき風雨を好む
エッセイは連載「琉歌(うた)の見える場所(26)」。
喜納昌吉&チャンプルーズのヒット曲「ハイサイおじさん」の背景の
重い物語が綴られている。
喜納昌吉といえば「花~すべての人の心に花を」も思い出される。
最晩年の田端義夫が歌っていたのを知っている。
佐藤よしみの魂の籠る個人誌「帆」である。
『形容詞・形容動詞の短歌コレクション1000』税別1300円。
(日本短歌総研/飯塚書店)が完成しました。
短歌アンソロジーとしてどうぞお楽しみください。
8/21(水) 快晴
酷暑絶賛続行中。
今日は午後から納品と現場修理で群馬方面へ出かけます。
積み荷をチェックしたところシートは掛けてありますが
本体を養生ビニールで覆っていない!
最近の天気は変わりやすいのにバカでしょうか?
余計な手間がかかりますが持っていくのは私です。
すぐに「全体をビニールで巻けよ」と言いました。
天気予報見たんだけどな・・と積み込んだ責任者が
ぼやいている・・。雷雨や暴風雨にならなきゃ、
それでいいけれど、万が一そうなったらどうすんの?
想像力の欠如。最初から養生ビニールを巻いておけば
数百円もしない。ところがやり直すとなれば人件費だけで
数千円になるよ。ほんとバカなの?
はい!また愚痴ってしまいました!
12:00には出発しないと間に合わねーのに。
何にも考えていないんだな。
もう、おしまい。
『形容詞・形容動詞の短歌コレクション1000』
2024/9/5発売予定 ¥1430(税込)日本短歌総研著 発行:飯塚書店
懸案だった新刊の発売が決まりました。
アマゾンなどで予約受付中です。
古典から現在までの短歌アンソロジーです。
どうぞよろしくお願いします。
「短歌往来」8月号 ながらみ書房
現在発売中です。
表紙の画像他と「海と山のうた」の特集評論及び25首抄を担当しました。
早速、尊敬する歌人さんからメールを頂戴し
このような主題の諸説とは正に、一線も二線も画する展開、まさに出色です。
個々の博識もさることながら、構成というより「遷移の卓抜」に感服しました。
それにつけても、背景の広さ、読み込みの深さは尋常じゃねえ!!!
と、ほめ過ぎのお言葉を頂きました。
ありがたし!
コレを書くために資料を集めた甲斐がありました。
この特集もボクが歌人として生きた証になりましたよ。
「からの」第66号 2024-06 編集/発行 遠山景一
短歌雑誌「からの」が届く。
遠山景一さんには、昨年12月の「歌人玉城徹の文学活動展」でお世話になった。
「からの」第66号 <編集ふりかえり>で、
「今年は玉城徹生誕百年」と書いておられる。
私は遠山さんについて、ほぼ何も存じ上げないのだが
玉城徹の身近で短歌活動をされていたであろうことはわかる。
その幸運をまた羨ましく思う。
足を止め白さざんくわの散る花にあかるむ土のおもてながむる 遠山景一「爾後」
春になる峯のしらゆきあるがままに息づかしもよ朝あけにけり
山里は木草うるはし田をやめし人らが胸のいぶせきころか
七人に暮してをりし家に今三人して住む他人行儀に 小林サダ子「何処の何方ぞ」
カーテンを開けば川面静かなり水のべ求め来る鳥のあり 大谷みゑ子「花花よ」
嶺の崎に見渡す街を杖に指しその変貌を子には伝へつ 津田光子「しのぶ山」
未だぱらぱらっと拝見したまでだが目に留まった作品を紹介した。
第3回 埼玉の歌人たち―短歌に込めた想い―
埼玉県の大宮図書館で開催されるとのこと。
7/10(水)晴 納豆の日ですって。
昨日は18:30から超結社短歌研究会「十月会」例会があり
17:00に工場を抜けて行ってきた。
三枝むつみ氏による春日真木子さんのお話。
レジュメに抽かれた作品から紹介します。
妻なりし過去もつ肢体に新しき浴衣を存分に絡ませて歩む
虹消えてふたたびひろき空のもとありありとわれのうしなひしもの
杖すでに用なくかへす傘立てにすとんと棒にかへりゆきたり
燃えよとぞ狂へとぞいまくれなゐの薔薇が米寿の胸元へくる
春日真木子の作品は読んだことがある程度。
特に私が短歌を始めたころにはすでに歌壇の中心にいらして
今も現役でいらっしゃる。今年98歳。すごいことです。
短歌とは抽出するとみるみるうちに眼前に立ち上がってくるもの。
今日の画像は昨日いただいた講演会の案内チラシ。
「おお、埼玉のスター歌人ばかりじゃないか!」と呟く。
ボクは元気で時間があれば聴きに行きたいものです。
おしまい。
『冬雷二〇二三作品年鑑・合同歌集』
2024年7月23日印刷発行 編集発行人大山敏夫
冬雷短歌会の作品年鑑が発行された。今年は7年目。
毎年書いているが、本当に頭が下がる約500頁の大冊である。
あとがきによると参加者は103名。会員の自選40首とエッセイが載る。
本年をもって企画終了の予定だそうだ。
この作品年鑑は、会員各位の生きた記録である。
拾い読みしながら目にとまった作品を一部紹介する。
御岳山ケーブルで登る展望台スカイツリーの光るが見える 伊澤直子「ゆるゆると」
わがバイクを試乗せる夫暴走し木々薙ぎ倒しシャツを破りぬ 井上槇子「気候変動」
ツバクラメ道行く我に低く飛ぶ去年は気づかぬビル駐車場 小田原禮子「紫のタオルハンカチ」
上野駅公園口に人を待ち一人帰りしとほき日のこと 小林芳枝「うどんを煮込む」
数行の中の言葉を練り直す包丁の刃を研ぎゆくやうに 桜井美保子「サーベルの展示室」
会員の皆さんは全国各地にいらっしゃるのだなぁと思いつつ頁を捲った。
待合せの時間に早く着きすぎて聖橋渡り少し歩みぬ 大山敏夫「逆走車」
うぐひすのおほらかに鳴き卒塔婆を風が鳴らして誰もゐぬ墓地
*昨年のいまごろの当ブログの記事で「二〇二二」なのに
「二〇二三」と誤記していたことに気づく。失礼しました。
今年発行の作品集が「二〇二三」です。
「帆」37号 2024.6
2024/6/23 不定期刊 300円
発行人 佐藤よしみ
「五月野」より紹介します。
陽だまりのような記憶の片隅に牙むくけものの眼が光りおり
洪水ののち廃村となりし地にオオゴマダラか空低く舞う
宵まつり浴衣のさばきぎこちなき少女湯あみの石鹼匂う
串刺しの鮎じわじわと炙られてわが身に及ぶ刑のごとしも
朝焼けの空の奇しさ伝わらぬままの思いがふいに膨らむ
滑り込みセーフのような生き方をかさねて今日の朝日を浴びぬ
私好みのうたが揃う。
エッセイは連載「琉歌(うた)の見える場所(26)」。
つらつらと読む。
伊野波の祭祀である秘儀ムックジャーを見たいと念願しながらも
果たせていないとの一文があった。念願は果たすべきである。
と、思う私も果たせないことばかり。
佐藤よしみの魂の籠る個人誌「帆」である。
『土岐善麿の百首』 河路由佳
2024/6/8 税込1870円 ふらんす堂
ふらんす堂の歌人入門シリーズ⑩として刊行された。
河路由佳は歌人で日本語の研究者であり、土岐善麿の研究者。
私は善麿のいくつかの歌集を持っているに過ぎない読者。
特にローマ字歌集『NAKIWARAI』の作品全てを日本語表記に
してみようと試みたことがあったが、すぐに断念した経験を持つ。
それらを十分に読み込んでいるわけではないので土岐善麿の
あらすじを知るのには最適の入門書である。
私が短歌を始めたころ買ってみた商業誌の巻頭作品が善麿であった。
『オレンジ月夜』 河路由佳
2024/5/27 税込¥2.640円 港の人
河路由佳の意欲的な活動は目覚ましく、
先月には5冊目の歌集『オレンジ月夜』を刊行されている。
これもまた感想文を送るまでには十分に拝読できて
いないのだが目に留まった作品を紹介しておく。
不穏なる空に大きな鳥の飛ぶ形の青空ぽっかりとある
音もなくUFO降りてきたように朝からショベルカーが来ている
地震にはあらずわたしの骨格を揺らし実家に重機が刺さる
コロナ禍の徒歩通勤の路地裏はマスク外して大股でゆく
土岐善麿を詠んだ作品もある。
土岐湖友と名のりし善麿二十歳(はたち)にて儚き人への恋歌多し
善麿の「湖面荘」の跡訪ねれば広し 高級マンションの建つ
「舟」44号 2024.6 夏号 (表紙の2023.6は誤植でしょう)
代表編集人 依田仁美
現代短歌舟の会機関誌「舟」が発行された。
全146頁の充実した文芸誌。
巻頭の一文で依田仁美は<当会は「不教不受」を掲げる>と書く。
私は購読会員として「ハードボイルド」15首を発表している。
3首紹介する。こんなうた。
まだやっているのかロシアウクライナ戦争二年図面書きつつ
プリゴジンとナワリヌイが死んだことを知る程度なり熔接しつつ
実はこれニワトリの卵なんだよな茹で立て玉子の殻を剥きつつ
以前、当ブログで紹介した浅川洋の作品集『渚 NAGISA』の
評を依田仁美が書いている。これは浅川さんの財産になろう。
「花の室・21」30号 2024/4/30発行
編集・発行 塚田沙玲
塚田さん代表の同人誌。
同人の作品とエッセイ他評論も載っている。
淡々と地道に活動されている。
作品を一部紹介します。
勝山祐衣「リピート・リピート」より
貼り紙の求人が救に見えてみの虫だらけのノートをとじる
一日のおわりの光はねかえす眼鏡のふちに宿る自由よ
塚田沙玲「傷痕のごと」より
古代より有明の沢と言ひたりと銀のお髪の魔女棲むなだり
春の雪ふりつむころか山あいの詩人の庭に魔女の御髪に
「アルファ」33号 2024/5/8発行
編集・発行 恩田英明
恩田英明個人雑誌「アルファ」33号。
毎号、楽しみに読んでいるのが、連載「山崎方代の風景」。
今号は『迦葉』から
<五寸釘くぎ一本の打ちどころお慕い申してやまないのです>
が、取り上げられている。
恩田英明「玉蜀黍蕊」より紹介します。
いまの世に山越えに往く人もなし分去れに咲く白梅の花
ときは来ぬ桜はどつと散るべかり空に貼りつく桜はなびら
畑暮れて玉蜀黍蕊(ぎょくしょくきずい)夜の間は髪文字(かもじ)にならむと身じろぎはじむ
1首目の<分去れ>は「わか‐され」と読み道が「左右に分かれるところ。
分かれ道。 追分。」だそうで《群馬から長野にかけての方言》とのこと。
3首目の玉蜀黍蕊はとうもろこしのいわゆる髭。
「さて、」15号 2024/5/10発行 年二回刊
編集・発行 さて、 発行所 天草季紅方
全54頁の同人誌です。
表紙の雰囲気からして、独自路線を歩んでおられる。
同人誌や個人誌はボクの知る限りみなどれも似て非なる
独自・独特の雰囲気があります。
原田千万「越冬賦」より紹介します。
月光がしづかにつもりこの世からあの世へ向かふ橋が見えたり
わが死など語られることあらざらむ飛行機雲がほどかれてゆく
文章では天草季紅の連載「木本千代の歌 3 沈黙と表出」が読ませる。