「鱧と水仙」第64号・藪の会
才能&意欲溢れる同人誌。
作品も文章も充実。
「良いおばあさん」15首(山中もとひ)より4首紹介します。
はす向かいのソファの乳児に気に入られ良いおばあさんになる喫茶店
誰もみな無為ならずとは本当か朽木を食べる蜚蠊(ごきぶり)もある
冷え込めば列の前なる短コート去年の糸くずひらひらとする
迷っている戸惑っている考えない傍から見ればわたしはわたし
「鱧と水仙」第64号・藪の会
才能&意欲溢れる同人誌。
作品も文章も充実。
「良いおばあさん」15首(山中もとひ)より4首紹介します。
はす向かいのソファの乳児に気に入られ良いおばあさんになる喫茶店
誰もみな無為ならずとは本当か朽木を食べる蜚蠊(ごきぶり)もある
冷え込めば列の前なる短コート去年の糸くずひらひらとする
迷っている戸惑っている考えない傍から見ればわたしはわたし
「短歌往来」3月号(ながらみ書房・2/20発売)
「子規庵に行くだけです」13首を発表しています。
5首だけ紹介します。
苦虫のようなる総理大臣が「楽しい日本」と言い出す始末
吉原の迎えを待っている男ではなく子規庵に行くだけです
待たせるも待つもまっぴら一画目を袈裟に斬り捨て侍となる
三艇を消して三艇残すだけデータはスマホが教えてくれる のに
へこむわれに「レンタルおじさんに向いてるよ」だしぬけに言うなんたる妹
「帆」39号 佐藤よしみ個人誌
一首目の
取っておいた月見うどんの満月が不意に破れぬ 不意は切なし
がとても好きです。「月見うどんの満月」という喩が良いですよね。
卵だけではなく何か不条理なものも感じられるのです。
と、歌友からLINEがあって佐藤さんにLINE転送しましたよ。
個人誌の良いところは結社誌や同人誌よりも
うたや文章を読んでもらえる可能性があるところ。
ボクの孤人誌「晴詠」は写真だけ見てもらってるようですけど。
では佐藤さんの「さくら散る」よりボクの好きなうたを紹介します。
ほどほどの寂しさなればうみかぜをほどほど浴びてまた歩みだす
不機嫌は伝染をする起き抜けの言葉は選びコーヒーを飲む
友の手に渡らなかったいちまいの葉書ちぎれば桜花のごとし
1首目は佐藤さんお住まいの横須賀の海が思われる。
2首目は孤独なボクにだってイヤなほど経験がある。
人間は一人が良い。失う哀しみを知らなくていいからね。
3首目はハガキをちぎるイメージが実感できる。
『恋の短歌コレクション1000』
見事に第二版発売となりました。
よろしくお願いします。
再版の時に表紙を変えるってナシなのかしら。
違う表紙が良いなーと思ったりして。
2/9(日)晴 肉の日か。
近所の競艇場に顔を出そうかと思い立ち
向かったのですがどの駐車場も満車。
混みますと堤外駐車場も開放されるのですが
コチラも満車。こんなこと初めてだぁ。
ボートレースブームなのかしら。
で、諦めまして仕方なく工場にやってきますと
職人がマイカーを洗っていた。終わったらオレのも頼むわ~と
言うと「高いよ!」なんてつまらないバカを言い合いました。
で、ポストを覗くと『恋の短歌…』が届いていたわけです。
飯塚書店さんには工場に送って・・といってありますのでね。
第二版とはおめでたいことです。みなさまのお陰です。
おしまい。
「夏暦(かれき)」59号 王 紅花
「急がねば急がねば」王 紅花より、3首紹介します。
野や山に草木虫魚獣らひたすら生きて「時」来れば死ぬ
夕庭に涼みてをればかたはらの木に鴉来て邪魔だと騒ぐ
背後から呼ばるる気のしてはああさうだつたといつも思ひて
昨年6月に軽井沢で行なわれた「第三回 松平修文絵画展」には
15日間で1200人余りの来場者があったそうだ。
今後『松平修文全歌集』、王紅花の第六歌集『緑色の人』の
出版が予定されているという。
精力的な活動にエールを贈りたい。
私はもう15年、本格的な歌集を編んでいない。
恩田英明個人雑誌「アルファ」34号
「山下待ち九十八番地」恩田英明より、2首紹介します。
風を背に大桟橋に唯今はジョッキ掲げて夜景の一人
引き網にひかるるごとく山を越え森抜けくれば虹ひびく滝
恩田連載の「山崎方代の風景33」のうたに注目した。
甲州の柿はなさけが深くして女のようにあかくて渋い 山崎方代
いま、編集中の『比喩のうた』に私が推薦した作品。
だが、なんとなく「まずいのでは?」と臆病になったのだ。
で、たしか、取り下げてしまった。
妙な世の中になったものだ。
令和六年度「彩短歌会作品集」 代表 平林静代
平林静代さんが出詠者数22名の会員を率いる彩短歌会の作品集。
毎月歌会が開催されているという。そして年間作品集発行にも
多くの会員が協力されているという。
平林静代「一筋の橋」より紹介する。
ケイタイを見る誰彼に「ほら」と教へたし車窓にすつくと立つ雪の富士山(ふじ)
粉雪(こゆき)降る思へるごとく粉雪降る 苦しきむかしの恋呼び寄せて
『短歌渉猟 和文脈を追いかけて』今井恵子
2024/10/10 短歌研究社
現代短歌の論客今井恵子さんの評論集。
「短歌研究」に連載された評論をまとめたものであるそうだ。
2008年の第26回短歌現代評論賞受賞者である。
私はこの時に「まひる野の今井恵子」という人を認識したのだった。
まだ、第一章 宮中歌会始 を読み終ったところ。
歌会始には興味津々の私なのである。
ここで、巻末の「事項素引」を眺めると「あゝ上野駅」から始まる。
ルール違反かも知れないが素引から該当する文章を読むのも面白いかも。
ついでに知人が取り上げられていないか?と「人名素引」も眺める。
と、わが名があるではないか!小文の引用であったが、
読まれることがあるんだな・・と嬉しく有難いことであった。
秋の夜長に最適の読み物である。
「帆」37号 2024.10
2024/10/27 不定期刊 300円
発行人 佐藤よしみ
「かわたれ」より紹介します。
進みゆく時計と遅れゆく時計正刻なき家(や)は正論もなし
君が待つ改札口へ真っ直ぐにただ真っ直ぐにゆきし日のこと
穏やかな風に木犀漂えり告げられなかった恋はやさしく
ひとりぼっちよりも二人はさびしくて陽の匂いする布団に眠る
もてあまし時に行く手を阻まれてなおも激しき風雨を好む
エッセイは連載「琉歌(うた)の見える場所(26)」。
喜納昌吉&チャンプルーズのヒット曲「ハイサイおじさん」の背景の
重い物語が綴られている。
喜納昌吉といえば「花~すべての人の心に花を」も思い出される。
最晩年の田端義夫が歌っていたのを知っている。
佐藤よしみの魂の籠る個人誌「帆」である。
『形容詞・形容動詞の短歌コレクション1000』税別1300円。
(日本短歌総研/飯塚書店)が完成しました。
短歌アンソロジーとしてどうぞお楽しみください。
8/21(水) 快晴
酷暑絶賛続行中。
今日は午後から納品と現場修理で群馬方面へ出かけます。
積み荷をチェックしたところシートは掛けてありますが
本体を養生ビニールで覆っていない!
最近の天気は変わりやすいのにバカでしょうか?
余計な手間がかかりますが持っていくのは私です。
すぐに「全体をビニールで巻けよ」と言いました。
天気予報見たんだけどな・・と積み込んだ責任者が
ぼやいている・・。雷雨や暴風雨にならなきゃ、
それでいいけれど、万が一そうなったらどうすんの?
想像力の欠如。最初から養生ビニールを巻いておけば
数百円もしない。ところがやり直すとなれば人件費だけで
数千円になるよ。ほんとバカなの?
はい!また愚痴ってしまいました!
12:00には出発しないと間に合わねーのに。
何にも考えていないんだな。
もう、おしまい。
『形容詞・形容動詞の短歌コレクション1000』
2024/9/5発売予定 ¥1430(税込)日本短歌総研著 発行:飯塚書店
懸案だった新刊の発売が決まりました。
アマゾンなどで予約受付中です。
古典から現在までの短歌アンソロジーです。
どうぞよろしくお願いします。
「短歌往来」8月号 ながらみ書房
現在発売中です。
表紙の画像他と「海と山のうた」の特集評論及び25首抄を担当しました。
早速、尊敬する歌人さんからメールを頂戴し
このような主題の諸説とは正に、一線も二線も画する展開、まさに出色です。
個々の博識もさることながら、構成というより「遷移の卓抜」に感服しました。
それにつけても、背景の広さ、読み込みの深さは尋常じゃねえ!!!
と、ほめ過ぎのお言葉を頂きました。
ありがたし!
コレを書くために資料を集めた甲斐がありました。
この特集もボクが歌人として生きた証になりましたよ。
「からの」第66号 2024-06 編集/発行 遠山景一
短歌雑誌「からの」が届く。
遠山景一さんには、昨年12月の「歌人玉城徹の文学活動展」でお世話になった。
「からの」第66号 <編集ふりかえり>で、
「今年は玉城徹生誕百年」と書いておられる。
私は遠山さんについて、ほぼ何も存じ上げないのだが
玉城徹の身近で短歌活動をされていたであろうことはわかる。
その幸運をまた羨ましく思う。
足を止め白さざんくわの散る花にあかるむ土のおもてながむる 遠山景一「爾後」
春になる峯のしらゆきあるがままに息づかしもよ朝あけにけり
山里は木草うるはし田をやめし人らが胸のいぶせきころか
七人に暮してをりし家に今三人して住む他人行儀に 小林サダ子「何処の何方ぞ」
カーテンを開けば川面静かなり水のべ求め来る鳥のあり 大谷みゑ子「花花よ」
嶺の崎に見渡す街を杖に指しその変貌を子には伝へつ 津田光子「しのぶ山」
未だぱらぱらっと拝見したまでだが目に留まった作品を紹介した。
第3回 埼玉の歌人たち―短歌に込めた想い―
埼玉県の大宮図書館で開催されるとのこと。
7/10(水)晴 納豆の日ですって。
昨日は18:30から超結社短歌研究会「十月会」例会があり
17:00に工場を抜けて行ってきた。
三枝むつみ氏による春日真木子さんのお話。
レジュメに抽かれた作品から紹介します。
妻なりし過去もつ肢体に新しき浴衣を存分に絡ませて歩む
虹消えてふたたびひろき空のもとありありとわれのうしなひしもの
杖すでに用なくかへす傘立てにすとんと棒にかへりゆきたり
燃えよとぞ狂へとぞいまくれなゐの薔薇が米寿の胸元へくる
春日真木子の作品は読んだことがある程度。
特に私が短歌を始めたころにはすでに歌壇の中心にいらして
今も現役でいらっしゃる。今年98歳。すごいことです。
短歌とは抽出するとみるみるうちに眼前に立ち上がってくるもの。
今日の画像は昨日いただいた講演会の案内チラシ。
「おお、埼玉のスター歌人ばかりじゃないか!」と呟く。
ボクは元気で時間があれば聴きに行きたいものです。
おしまい。
『冬雷二〇二三作品年鑑・合同歌集』
2024年7月23日印刷発行 編集発行人大山敏夫
冬雷短歌会の作品年鑑が発行された。今年は7年目。
毎年書いているが、本当に頭が下がる約500頁の大冊である。
あとがきによると参加者は103名。会員の自選40首とエッセイが載る。
本年をもって企画終了の予定だそうだ。
この作品年鑑は、会員各位の生きた記録である。
拾い読みしながら目にとまった作品を一部紹介する。
御岳山ケーブルで登る展望台スカイツリーの光るが見える 伊澤直子「ゆるゆると」
わがバイクを試乗せる夫暴走し木々薙ぎ倒しシャツを破りぬ 井上槇子「気候変動」
ツバクラメ道行く我に低く飛ぶ去年は気づかぬビル駐車場 小田原禮子「紫のタオルハンカチ」
上野駅公園口に人を待ち一人帰りしとほき日のこと 小林芳枝「うどんを煮込む」
数行の中の言葉を練り直す包丁の刃を研ぎゆくやうに 桜井美保子「サーベルの展示室」
会員の皆さんは全国各地にいらっしゃるのだなぁと思いつつ頁を捲った。
待合せの時間に早く着きすぎて聖橋渡り少し歩みぬ 大山敏夫「逆走車」
うぐひすのおほらかに鳴き卒塔婆を風が鳴らして誰もゐぬ墓地
*昨年のいまごろの当ブログの記事で「二〇二二」なのに
「二〇二三」と誤記していたことに気づく。失礼しました。
今年発行の作品集が「二〇二三」です。