先日、スタッフのKさんが和紙に描いた絵が出来上がってきました。手すき和紙に顔彩で彩色を・・・。よくぞここまで色が出ましたね。
返ってくる言葉は決まっています。「何やて、手拭かいな、タオルやったら使うてるけど、知らんな」。これである。情けないことが徐々に常識になりつつある現代。
手拭は、江戸の昔から木綿の染布。タオルは輪奈(パイル)錦織物。全然別物です。
手拭を ひっぱり合って野がけ道
手拭で 旦那をはたく 雪の供
手拭を かむる女の 雨の帯
これらには、タオルにない「手ぬぐい」の風情が醸し出されています。
手拭は、江戸手拭と上方手拭が東西両横綱、それぞれ持ち味が異なっています。
江戸、すなわち東京手拭の図案の主流は何と言っても歌舞伎と浮世絵。
方や上方、京・大阪手拭と言われる手拭の図柄には主流筋はないみたいです。自由に手拭柄に取り入れてしまうからでしょうね。歌曲・民謡・漫画・風俗・名所旧跡をはじめ、やれ落慶、それ新築祝いと何でもござれです。
手拭の下絵の多くは、本職の画家ではなく、町の器用な人の手になるものがほとんどとか・・・。
こうした見方をすると、一幅の手拭にこめられた庶民の美を汲み取れて面白いですね。