夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

花はどこへ行った

2015年01月23日 | 音楽


いつまでもお元気かと思っていた「Pete Seeger」昨年他界されたようだ。
合掌。
名曲「花はどこへ行った」の作者として、いつまでも心に残る。

作曲家の親のもとニューヨークで生まれたピート少年はウクレレに魅かれ、人の輪の中心になって歌ったという。
彼の作った曲をハワイ由来の「キング・ストン・トリオ」が歌ってヒットした。

私が聴いたのは「レノン・シスターズ」盤だった。
シングル盤のB面が「天使のハンマー」これも彼の作品だ。

戦前のアメリカで進歩主義的な活動をして95歳の長寿を全うしたのは素晴らしい。
昨年1月の彼の死も知らなかったが、奥様が日系人だったことも改めて知った。

ボブ・ディラン、ピーター・ポール&マリー、ジョン・バエズといったモダン・フォークの旗手たちの歌が毎日ラジオから流れた時代があった。
第二次大戦は終わったもののイデオロギー闘争なのか、経済政策目的なのかよく分からない戦争が行われていた。

母校でも「べ平連(ベトナムに平和を運動)」なる活動をする高校生がいたり、反戦歌を歌ったりする時代だった。

戦争や自国を美化する芸術活動は好きではない。
音楽は、恋を表現するものであって欲しいと願いたい。

しかし「花はどこへ行った」もジョン・レノンの「イマジン」も楽曲として素晴らしい。
メロディラインの美しさとともにその歌詞も永遠に歌い継がれていくだろう。

ボブ・ディランがエレキ・ギターを持って登場したライブで彼が激怒したという話も懐かしい。
怒ったピートが電源を斧で切ろうとしたという件は、高校時代を思い出す。

軽音楽部の部室の小さなスタジオ・スペースで放課後練習していたエレキバンド「The Blue Max」の面々。
定時制クラスがあったこともあり教頭先生が「もう止めろ」と注意する。
少々注意されたってエレキの魅力にはかなわないF君、Y君、T君とF君たち、いつまでも音は続く。

すると突然「プシューッ」とばかりに電気が切れる。
真っ暗闇の中、渋々帰り支度を始める彼ら。
そう、エレキバンドから電気の供給を取り上げればロックはできないのである。

そんなエレキバンドにも属していたFくんが、いまだに「PP&M」バンドを続けていることが素晴らしい。

もはや映像で見ることしかできないピート・シーガーの演奏。
聴衆に語りかけるようなパフォーマンスと返ってくる歌声の音圧が空間を彩る。

メッセージソングというのは一方的な発信だけでは片手落ちということかしら。






Pete Seeger 94th Birthday

Joan Baez - Where have All The Flowers Gone

Pete Seeger & Donovan - Colours

Buffy Sainte-Marie & Pete Seeger - Cindy

ARLO GUTHRIE & PETE SEEGER WITH THE GUTHRIE FAMILY AT CARNEGIE HALL NYC 30 Nov 2013

弾き語りの妙

2015年01月22日 | 音楽


男は本音を隠したがり、わざわざ王道を外れて苦労を重ねる。
女性は正論を受け入れ、そのまま突き進んで怯まない、そして可愛がられる。

レス・ポール・トリオのウッドベースを弾いている女性を確認したら「Nicki Parrott」だった。
確かオーストラリアの新人発掘番組のロックンロールデュオでウッドベースを弾いていた彼女だ。

若くしてウッドベースにはまった彼女はニュージーランドに渡って勉強して、なおレイ・ブラウンやジョン・クレイトンに師事したという。
道理でベースのピッキングが素晴らしく弾きながら歌を歌う、レス・ポール・トリオにいて違和感がない。

「Jazz」の作法を学ぶのは容易ではない。
クラシック音楽のセオリを学ぶプロセスと同じく単調で複雑な世界を垣間見てなお攻撃的なリズム・トレーニングを重ねる。

音楽を突き詰めて行けば、結局ジャンルは関係ないところまで行き着くのだろう。


ベースを弾きながらボーカルを試みるのは少々難しい。
ビートルズのポール・マッカートニーが「All My Loving」を弾きながら歌ったのを見て、当時感動したファンは多かったろう。

ほとんど「4Beat」に近いベース・ラインを弾きながら、全く異なるメロディを口ずさむのは、頭が混乱する。
頭の中をベースを弾く部分と歌を歌う部分とに二つに切り分けて、なお両手と口の動きを全く別にすれば良い、、、のが理屈だが。

たったそれだけのことなのに、メロディとベース・ラインをごっちゃになってしまうのが初心の常。
目をつむっていてもベースが弾けるくらい訓練を重ねれば、客席の女性に眼が行くように余裕が出てくる。
そこではじめて両方の作業に神経が行き届くようになるわけだ。

しかし「Jazz」の作法を身につけただけでは、お仲間に入れてもらえない現実もあるのがこの世界。

次に待ち構えているのは音楽を共有するという高度な話になってくる。
そこそこ上手く弾ければそれで良いというマニアもいる反面、瞬時に音楽のポイントを察知して自身を表現できるようになればしめたもの。

経験してきた音楽ジャンルが異なる者同士とセッションするとき、「相互乗り入れできるか否か」は重要なポイントだ。
うわべだけ理解したつもりの方とのセッションはスリリングさに欠けてしまい、次回がなくなってしまう。

社交辞令を真に受け、その気になってそのバンドで歌ってしまう人もいる。
耳の良い人たちは瞬時に状況判断しているのだが、ご本人はまるで気づかない。
世の中とはそうしたことが平気で行われて許されることが案外多い。

昨今の雪山事故やテロ報道を見ていると「(危険区域へ好んで出かけた)人への人道上の配慮」も大事だが、国民マジョリティが税負担している「国として筋を通すこと」のほうが重要だと思う。


我が国の「真の戦争放棄」とは、見せかけのヒューマニズムではなく犠牲を払ってでも国の規範を守ってゆく断固たる信念の実現ではないか。


Nicki Parrott & Les Paul Trio - You'd Be So Nice To Come Home To - 7.16.12

Les Paul's Trio featuring Nicki Parrott - Autumn Leaves - IridiumLive! 9.17.2012

BoDeans' Sam Llanas with Les Paul's Trio - Tennessee Waltz / Blue Moon - IridiumLive! 9.17.2012


Beyond The Sea/La Mer

マルセル・ビアンキとポール・モーリア

2015年01月20日 | ギター・レッスン



ギタリストは、好んで弾く定番メニュを持っている。
それは大方インストものでご挨拶代わり、指慣らしといった調子でさらりと弾くのがいい。

スライドギターを弾く人のメニュには「Sleep Walk」が入っているだろう。
もともとスティールギターで弾かれた曲で、スティール奏者はもちろんトライするのだが、曲調はスライドギターに分があるかもしれない。

ロマンチックなオーケストラサウンドで一世を風靡したフランスのポール・モーリアが、マルセル・ビアンキとレコーディングした演奏が素晴らしい。

マルセル・ビアンキはフランスのジプシー・スイング・ジャズのギタリストだ。
が、ハワイ音楽マニアからはフランスのスティール・ギタリストとして知られ、フランス発ハワイものアルバムを手がけている。
ポール・モーリアはビアンキのオーケストラでピアノを弾いていたことがあり、世に出てから恩師に報いるべくレコーディングを敢行したようだ。

ポール・モーリアは当時のオーケストラサウンドに新しいアレンジを加えた。
どちらかというと脇役だったドラムスやベースを前面に出したアレンジを行い、
リズムを基本にしたトラックをベースに、弦楽器や管楽器が縦横無尽に鳴り響く。
聴いただけで「ポール・モーリア・サウンド」だとわかるようなアレンジと演奏を持ち込んだ。

コンサートではバイオリンなどにピックアップをつけてアンプリファイドする当時としては革新的なことをやっていたようだ。
そんな「ポール・モーリア・グランド・オーケストラ」をバックにビアンキのスティール・ギターが解き放たれた鳥のごとく響きわたる。

どういうチューニングで弾いているのかわからないが、ハワイアンスティールとはまるで異質な壮大な音場空間が好きだ。
その昔世話になったポール・モーリアがビアンキと音楽で会話しているようなそんなレコーディングが素晴らしい。

「Sleep Walk」は、1950年代「サントとジョニー」のファリーナ兄弟の作品として有名な曲。
ギターやスティールギターの演奏ものとして取り上げられるスタンダードとして定着しているが、歌詞があってオリジナルが発売された同じ年に「Betsy Brye」という女性がボーカルものを出している。

コンポーザーのサントとジョニーの演奏が、今聴いても新しいことに驚く。
完成度が高いからこそいつまでも多くのミュージシャンが取り上げるのだろう。

嗚呼、Yさんと演奏をしたくなってきた。




marcel bianchi - la rosita - steel guitar - 1958

Gypsy Swing - Marcel Bianchi

PAUL MAURIAT & M. BIANCHI - ONCE UPON A TIME IN THE WEST


Sleep Walk


Les Paul - Sleepwalk

The Ventures - Sleep Walk

Santo & Johnny "Sleep Walk"

エレキにしびれたあの頃

2015年01月17日 | 音楽


突如鳴り響いた携帯電話、思いがけぬ懐かしい友からのコールだ。
千住からというので「首都圏にいるのかいな」と思えば250㎞も離れた郷里のお店からだった。

そこに同級の友が三人、新年会を催しているらしい。
代わる代わる電話口に出た彼ら、羨ましくもあり、微笑ましくもあるその光景が目に浮かぶ。

三人のうち一人は同じクラスになったことのある確か文学の素養のあるA君。
ホームルームで小説だったか、何かを読んで聞かせてくれた思い出がある。

残る二人はフォークソングを一緒に演奏した軽音楽クラブの仲間だ。

思えばエレキギターの音を認識したのは小学生の頃。
イギリスのシャドウズのインストルメンタルナンバー「アパッチ」だった。

テープ式エコーとフェンダー・ストラトキャスターのトレモロアームを駆使したサウンドにしびれた。
後でわかった低音弦をピックで引っ掻いて出す効果音にも感心した。

クリフ・リチャードのバックバンドとして結成されるシャドウズのリードギタリストにはトニー・シェリダンが候補にあがっていたという。
時間に来なかった彼の代わりにハンク・マーヴィンが選ばれる偶然があった。

「アパッチ」のリリースは1960年、アメリカの西部劇映画「アパッチ」をモチーフにして英国のジェリー・ローダンが作曲した。

相前後してベンチャーズ、ビートルズが現れて日本国内は空前のエレキブームが起こる。
「GS (グループサウンズ)」と称して和製エレキバンドが田舎の隅々までできたものだ。

繊細な印象のあるシャドウズに比べるとわかりやすくて野太い感じのベンチャーズの方が日本ではポピュラーになった。

ハンク・マーヴィンの計算し尽くされたギターワークとメンバーのアシストは確かに英国的だ。
一方でノーキー・エドワーズのプレイはカントリー・タッチで、アメリカを想像させてくれる。

エレキ・ギターが流行った頃、ボブ・ディランやジョーン・バエズ、P.P&Mなどフォークブームが同時進行したのも面白い。
それまで目にしなかった金属弦を張った「フォーク・ギター」が垂涎の的になったのもこの頃だ。

同級F君は、O君とP.P&Mバンドを編成して、私にウッドベースを弾くよう昼休みにやってきた。
私は、Y君、 M君、 K君たちとハワイアンバンドを楽しんでいたが、フォークの洗礼も受けた。
O君はクラシックギターとフォークを、F君は、Y君とエレキバンドを掛け持ちしていた。

軽音楽花盛りのあの頃が懐かしい。





THE VENTURES - 45th Anniversary Live [4/9]


The Shadows - The Final Tour Live (2004)


Johnny Cash & June Carter Cash Farewell Concert NYC 1999

パヒヌイ・ブラザース

2015年01月15日 | 音楽



「ギャビィ」ファンならずとも「パヒヌイ・ブラザース」再結成を期待する向きは多いだろう。
ギャビィ・パヒヌイの子息、ブラ、シリル、マーチンに、ライ・クーダー、ジム・ケルトナー、デヴィッド・リンドレーが参加した傑作アルバムは歴史に残る。

その昔「ピーター・ムーン・バンド」表参道「KAY」でのライブ、シリルがスラック・キー・ギター、マーチンがベースで来日したことがあった。
ピーター率いる初期のサンデイ・マノア時代からの盟友シリルとリズム感抜群のマーチンの二人はベストチョイスだった。

ライブの合間に声をかけると控えめにマーチンが応えてくれた。

ワイマナロのギャビィの家を訪ねた時、この二人がともに住んでいた。
あいにく二人とも出かけていたが、気持ち良く招き入れてくれ、ギャビィの愛用したMartinギターを弾かせてもらい感動したものだ。

子供の頃からギャビィのセッションを聴いて育った子息たちが音楽の才に恵まれないわけがない。

シリル(日本人はどうしてそう発音するのかなあとご本人から言われたが、セロウと発音するらしい)の低音の声と正確無比なスラック・キー・ギター。
マーチン(こちらもマーテンとでも発音するのかしら)のソフトなボーカルとバックビートの効いたベースやギター。

どちらもギャビィの血を引いて素晴らしいミュージシャンだ。

二人ともセッションするお相手によってパフォーマンスに大きな差が開いてくるような気がする。

素敵な恋人と過ごす至福のひと時のように、無意識のうちにグルーヴが出ている、そんなミュージシャンとセッションしたい。

音楽をやることの幸せを感じられるような、そんなミュージシャンと。



Pahinui Brothers Come Go With Me


Pahinui Bros with Ry Cooder

Slack Key Martin Pahinui

"Pu'uanahulu", Sung By Martin Pahinui With George Kuo and Aaron Mahi, The Waialea Trio

"Ka Makani Ka'ili Aloha", Sung by Martin Pahinui With George Kuo, From The Waialea Trio

"Ka Moa'e", Sung By George Kuo Wtih Aaron Mahi and Martin Pahinui, The Waialea Trio

Hula Blues


Lani McIntyre - Hula Blues