夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

いつでも、どこでも

2015年01月14日 | 音楽



弦楽器の中でもスティール・ギターはかなり難しい部類に入る。
どんな楽器も弾く人の個性が現れるが、これほど人間性が露わになる楽器も珍しい。

多くは金属製の「バー」を左手に持ち弦の上をスライドさせる。
右手には金属製のピックをつけてピッキングする。

大きくアンプリファイドする「スティール・ギター」とアコースティックの「ハワイアン・ギター」に大別される。
アコースティックの中には音を大きくする必要からジョン・ドペラによって考案された「ナショナル」や「ドブロ」などリゾネーター・ギターもある。

「スティール・ギター」はギターの弦をバー状のものをスライドさせて弾く奏法を指し、ボトルネックなどギターを抱えて弾くスライド・ギター奏法と区分する。

なぜ難しいかというと弦上をバーでスライドさせてビヨーンとやるのは容易だが、音が定まらず収拾がつかなくなるからだ。
フレットがあって弦を抑えれば正確な音が出るギターと違って、押さえる力によって音程が変わる上に見る角度によっても微調整が必要だ。
またチューニングが固定されているハワイアン・スティールの場合、バーの角度を変えて和音を変えることが多くこれも厄介だ。

それでもやってみたくなるのは魅力があるからだろう。

ジェリー・バード(Gerald Lester Byrd 1920~2005)は、ハワイアンスティールギターに興味があったらしい。
しかしカントリーでペダル・スティール・ギターを弾く仕事が多かった。
1970年代にハワイに移り住みハワイ音楽を演奏したのは、もともとやりたかったことを実践したようだ。

なめらかなピッキングと流麗なコードワークと言ってしまえばそれまでだが、ネイティブ・ハワイアンを巻き込んで何の違和感もないのは彼の音楽性に幅があることと、何より彼がハワイ音楽を愛していることだろう。

銀座タクトで白石さんに「Kewalo Chimes」をリクエストしたことが懐かしい。






Jerry Byrd & Friends -Beautiful Kahana


Jerry Byrd & Friends - Sand


Jerry Byrd & Friends - Anytime, Anywhere

Jerry Byrd & Friends - My Little Chickadee


Jerry Byrd & Friends - Kewalo Chimes

俺のジャズ喫茶

2015年01月13日 | 音楽


写真家「中平穂積」さんからCDアルバム発売のご案内をいただいた。

中平さんは大物ジャズアーチストの写真家として有名だが、新宿「DUG」のオーナーとしてもファンに慕われている。

和歌山から写真を勉強するために上京した中平さんは好きなジャズを聴きに当時の「ジャズ喫茶」に入った。
いやジャズを楽しむために東京の大学を選んで上京したというのが真実だったのかもしれない。

当時の「ジャズ喫茶」は、一杯の珈琲を前にして大きな音量でかかるジャズを聴く特別な世界だった。
そこではほかのお客さんの邪魔にならないようにと「無言」を強いられ、タバコの煙が朦朦と上がる。

「モノを食べるな」「話をするな」とあまりの制約にうんざりした中平さんは、「それなら自分で自由にできる店を作ろう」と「DIG」「DUG」を開業された。

以前の場所にあった新宿「DUG」は、「DUGサンド」や「DUGサラダ」など美味しいおつまみとカクテルやウィスキーを楽しめるアットホームな空間だった。
入口に古い蓄音機が待ち受け、壁にはマイルスの自筆油絵と中平さんの作品が並ぶ。
武蔵野美大の建築家の設計による店内は落ち着ける大人の空間だった。

常連さんの多くはオーナー中平さんにお会いするのが楽しみであり、目的だったようだ。
ミュージシャン、建築家、写真家、ジャズファンなどなどあらゆる常連さんが顔なじみという社交スポットでもあった。

「俺のジャズ喫茶」と題されたCDは、そんな中平さんがチョイスした名曲を集めたアルバム。

更にこの6月に発売される「アルバート・マンゲルスドルフ・カルテット」と「バリー・ハリス・トリオ」の2枚は、いづれも新宿「DUG」で行われたライブ音源を基に制作されたCDアルバム。

6月7日から6月15日には「JAZZ GIANTS 1961-2013 中平穂積写真展」と題された写真展が新宿紀伊国屋本店で開催される。
こちらは11:00~19:00で入場無料。

新宿「DUG」でカクテルをいただくのも良し、写真展で中平さんにお会いするのもまた良し。
中平さんのお人柄に触れて明日からの時間を充実させては如何だろうか。

「俺のジャズ喫茶」
少年の心を持って永遠の青春を生き続けるオーナーの作品と想像している。

<2014.6.6.投稿記事>


新宿DUG

1990 Dug Jazz Coffee House (Original Dug, Bubble Shinjuku) 901122g

Brian Nova Trio at The Triple Door-Shadow of Your Smile

Brian Nova Trio Live at The Triple Door - Jingles



俺のリクエスト帳 ~ジャズ喫茶名物マスターが選ぶこだわりの名曲集~ 新宿DIG・DUG篇俺のリクエスト帳 ~ジャズ喫茶名物マスターが選ぶこだわりの名曲集~ 新宿DIG・DUG篇価格:¥ 3,024(税込)発売日:2014-04-22
ライヴ・アット・ダグ 完全版 LIVE AT DUG Complete Edition価格:¥ 3,456(税込)発売日:2014-06-25
ラスト・ライブ・アット・ダグラスト・ライブ・アット・ダグ価格:¥ 3,024(税込)発売日:2007-02-27
ライブ・アット・ダグ(紙ジャケット仕様)ライブ・アット・ダグ(紙ジャケット仕様)価格:¥ 2,469(税込)発売日:2006-12-20

ジャスト・ジャム・バンド

2015年01月12日 | 音楽



ハワイアン・エアラインズのイベント「Pau Hana Friday」
珍しく「ウォシュ・タブ・ベース」を使ったグループが出ている。

古くは70年代「マカハ・サンズ・オブ・ニイハウ」のアルバムに「ウォシュ・タブ・ベース」が登場している。
「Jug Band」で使われるこの楽器、金だらいをひっくり返してセンターに穴を空けベース弦を1本張る、
ネック代わりの棒の先に弦を止めて張力とネックを押さえることで音程を変える。
もちろん正確な音程はとれないが、それがまた牧歌的で良い。

ガットギターをナチュラル・チューニングでコード弾きしてお構いなし。
ピックアップこそついているようだが、普段着の楽器で何も困らない。
そういった風情がまたハワイらしくていい。

そういえば「Takamine」のギターは紛れもなく日本製なのだが、向こうの人たちは「Take a mine」とでも発音するのか、
日本製とは思っていないようだ。

一時期ライ・クーダーが使用した大ぶりのモデルが話題になった。
「K-ヤイリ」同様ピックアップの高性能が評判を呼んだこととリーズナブルな価格が受け入れられるのだろう。

ジャズの影響やら奏法の多様化といった時代の流れと逆行するような「温故知新」とでも言うべきか、素朴な味わいの中に民族音楽の楽しみが見つけられると嬉しい。

そういえば沖縄音楽の三線の起源を調べていたら、ルーツはベトナムや中国であるらしい。
「三味線」「三線」という発音は中国の楽器の名前「サンシェン」に由来するようだ。
インドニシキヘビの皮を張った楽器が両国にあるようで大きさも各種ある。

ポリネシア人の祖先は「台湾」から船出したという説を読んで、沖縄や中国、日本と言ったアジア諸国との関連を改めて認識した。
学術的なことはわからないが、ハワイ語の文法や構文が、中国のそれとの類似性を指摘する書を見たりすると台湾出立説も理にかなう。

ポリネシアの人たちが明るいようであるが少しばかり気難しいところもあるのではないかと、
我々アジア人との共通項を無理栗探そうとしてみたりする。

沖縄、ハワイ、どちらも豊かな音楽が流れる島国だ。

<2014.7.19.初稿>



Hawaiian Airlines' Pau Hana Fridays - Just Jam Band


Hawaiian Airlines' Pau Hana Fridays - Just Jam Band


Hawaiian Airlines' Pau Hana Fridays - Just Jam Band

三線の魅力

2015年01月11日 | 音楽



沖縄の音楽が心地よいのは、アジアから海を渡ったポリネシアの民族移動の歴史に関係が深いと思う。
ルーツを同じくする民族の音楽は互いに心地よく聴こえる。

ベトナムや中国などアジア諸国と交流した琉球に「三線」と言う楽器が生まれ、いつまでも歌い継がれてゆく。
三味線と比べるとやや小振り、サステインが短く一音一音がはっきりしていて胴の響きが独特だ。

以前静岡名産のわさび漬けの小さな木樽にスプルースを貼って「缶から三線」を作った。
ヘッドはギターと同じ要領で加工し、手元にあった材でネックを作りフレットボードは確かマホガニー系の薄板を貼った。
糸巻きは庭木の剪定した材を削って、弦と駒だけは本物を入手してと、、なんと三線に近い音が出るではないか。

ヘッドと「カラクーイ」と呼ばれる糸巻きの加工だけ厄介だ。
が、通しネックにすればボディはお菓子の空き缶だろうと、木箱だろうと大丈夫、そこそこ音が出ることがわかった。
市販されている「缶から三線」やキットを買えば数千円で手に入るし、発泡スチロールでできたものまであった。

そんな手軽さの一方で、当然のことながら奥深いものがある。

先般沖縄を旅したIさんが、ふらっと入った民謡酒場で「十九の春」の作者の方にお会いしたそうだ。

その方がなんとスラックキー・ギターを弾いていたので驚かれたという。
スラックキーのチューニングと三線の調子とは同じような奏法ジャンルといってよいのかもしれない。

演奏することを英語で「Play」と言うが、以前お世話になった日系ハワイアンの方が「あそぶ」と表現されていたことを思い出す。
そう、音楽は難しい顔をして弾いたり、得意になってひけらかしたりするものではなく、親しい人や家族と楽しむ「遊び」の一種なのだ。

「音楽を遊ぶ」にあたり、一緒にやって楽しい人たちを集めるのがミュージシャンの仕事であり、そうしたミュージシャンには楽しい人たちが集まってくる。

そう、ミュージシャンとは招き猫みたいなものだ。


<2014.9.22.初稿>



ukupic hawaii2013 - BEGIN 三線の花


ukupic hawaii2013 - BEGIN - 島人の宝 shimanchu Takara


ukupic hawaii2013 - BEGIN - おじい自慢のオリオンビール


十九の春inナビィーの恋


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ル・マンとロータリーエンジン

2015年01月10日 | 日記・エッセイ・コラム



ものづくりの地に生まれ育ったせいか、バイクや車の技術開発に関心がある。
2サイクルエンジンを積んだバイクと4サイクルエンジンのそれとの比較をしてみたりと。

マツダがロータリーエンジンの開発を始めた頃、開発の成功を祈ったファンは多かったろう。
確か本家ドイツのメーカーを凌駕するような開発と実用化への歴史が我が日本国、広島で行われてきた。

ピストン運動を回転運動に変えるレシプロエンジンに比べれば、直接ローターの回転を車軸に伝えるロータリー方式に分がある。
一方でピストンという筒の中で吸排気を行う単純な構造とは異なるややこしい回転を行うロータリーエンジンの開発には相当な試練があったに違いない。
だからこそ少年たちの夢をかきたてる。

単気筒エンジンのオートバイが闊歩するような時代にこうした新しい技術開発に目を向けるのは素晴らしいことだ。
戦後の復興期、本田をはじめ全国にオートバイメーカーが2百数十社林立したという。

自転車にエンジンを載せればバイクになるわけだから起業は容易だったかもしれない。
エンジンを作り、フレームを作り、タイヤをセットして、ブレーキと、、、、、確かに車に比べれば部品点数は少ない。

そして登場した「コスモスポーツ」のデザインがユニークだった。
まるでUFOが降りてきたようでもあるし、缶詰のようという評もあった。
しかしここにホンダの「S600」を超えようというエンジニアの気概を感じられた。

回転がスムーズであれば高出力が稼げ、ついにル・マンの耐久レースで優勝した。
一方で高度成長の翳りとともにスポーツカーの需要と燃費の問題が浮上してくる。

ロータリーエンジン開発の栄光の歴史は、甲子園出場、優勝と不出場、休部の歴史を繰り返しているようでもある。

エンジニアたちの「作りたい、やりたい」という熱意が世代を超えて伝わる。
赤穂浪士の四十七士と並べられたエンジニアたちは、主君の無念を晴らそうとするようでもあり、壮絶だ。
与えられた仕事が終わってからロータリーエンジン車の再発に向けた開発に参加する。

日本の企業文化とは、こうした経営数値で表せないところから始まる「起業の精神」で培われてきた。

本田宗一郎がスーパーカブ等の大ヒットで稼いだ収益を巨額の設備投資やレースに注ぎ込んだりする。
「俺は金を稼いでくるから管理は頼むぞ」とばかりに相棒の藤沢氏に委ねる関係。

コスモスポーツには乗ったことはないが、エンジニアたちの心意気に感ずる。

願わくばフェラーリやポルシェを超える日本らしい名車を開発してほしいものだ。





フ?ロシ?ェクトX「ルマンを制覇せよ」~ロータリーエンシ?ン 奇跡の逆転劇~

'91 24 heures du Mans MAZDA 787B Winning Run ル・マン優勝


20110520 雄姿再び マツダ787B

プロジェクトX「技術者魂 永遠(とわ)に」~新ロータリーエンジン・革命車に挑む~