ねいちゃーねいちゃー 海老名市でコスタリカに行ってきたY氏の報告会がありました。Y氏とは前に「ミツバチの羽音と地球の回転」上映を一緒に取り組んだ仲でした。会社勤めをしながら、平和や環境に関心を持って取り組んでいる素晴らしい方です。
私はコスタリカについては前から関心がありましたので、聞いてきました。
Yさんは、写真をもとに話してくれました。まず国の概要を話してくれました。面積5万平方キロ(九州+四国ぐらい)、人口460万(神奈川の半分)北にニカラグア、南にパナマが接しており、かつては紛争地帯でした。町を歩くと、オフィスは朝が早く、8時から16時までの業務。残業はないので、8時間労働が普通とのことでした。
①刑務所
犯罪の原因は「与えられるべきものが与えられなかった」という考えに基づいているということでした。低い鉄条網のなかに、農園、運動場、自炊部屋、などがあり、かなり個人的な生活が保障されているとのこと。尊厳、教育、職業などの更正プログラムは民間ボランテイアも関わっているとのことでした。再犯率は20パーセントで、日本の40数パーセントと比べるとかなり低いことが分かります。
また、「愛の部屋」というものがあって、夫や妻のどちらかが入所している場合には、訪問した時は数時間個室が保障されているとのこと!なお、囚人にも日本にはない選挙権もあり、死刑は1889年に廃止されているということです。
②教育
義務教育は10年間。学校と地域の連携が進んでおり、移民などが多くなって親自身の教育のための「夜間中学」もある。道徳という授業はなく、個性を伸長させることに重点があり、小学校一年よりしっかり教えられるのは「人は誰でも平等」という考えだそうです。また、軍隊の予算は教育の方に振り分けるという考え方であるとも。それでも、移民などが多くなっており、貧困層が20パーセントぐらいあり、いじめ、不登校もあるということでした。「対話・寛容・解決=歩み寄り」の三点で対処しているそうです。
③医療
国公立病院の医療費は無料。私立病院もあるのでこちらは有料。前者は混んでいるとのことでした。また、どんな人でも受け入れているということでした。多くのボランテイアの人たちも活動しているようでした。
④裁判
日本と同じ三審制です。憲法判断は最高裁一審のみ。人権を侵害された人は誰でも訴訟でき、費用は無料とのことでした。訴訟は年間1万5千件です。
(註:訴訟数は日本は400万~500万件で、人口比を考えると日本の10分の1ぐらいでしょうか。)大統領がアメリカのイラク戦争に加担する判断をした時に訴訟を起こされ、大統領は判決で戦争支持は間違いと判決されたこともあったそうです。
⑤国会
4年に一回の選挙。連続再選禁止により、権力の一部の者への集中を避ける。議場はガラス張りで傍聴者からよく見える。57議席。選挙活動はなんと4か月でこの間、対話中心で日本のように大声でやらない。ただし支持者の集会はまつりのようににぎやか。このような長い期間に広く選挙の大切さや争点が分かり、投票率は80%以上。現大統領は女性。比例代表制。
また、「選挙最高裁判所」というのがあって、司法行政立法の三権と並ぶ4つ目の権限を持っている。選挙府という役所で、住民登録や選挙全般を仕切る。18歳以上に選挙権。事前に子ども選挙などの模擬選挙があり、この役所で集計発表までする。子どもの家から政治への関心を高める努力をしている。公開討論会開催や情報提供などをして、国民の関心を高める活動をして選挙日を迎える。投票用紙には立候補者の顔写真も付いていて間違わないようになっている。そのような中で、ほとんどの人が投票し、80%以上という結果になる。
⑥歴史
1949年 内戦後、平和憲法制定。
当時は、「兵士の数だけ教師を!」を合言葉にして、軍隊廃止。
1980年 中米戦争があり、83年には、巻き込まれないように、「積極的、永世、非武装中立」宣言。中南米での紛争も多いが、国是を守るために、国連の平和大学を設置したり、中米の人権裁判所を設置したりして積極的に活動。
要約すると以上のような内容でした。
コスタリカとともに日本も平和憲法を定めている世界の先進として、誇るべき国です。中米のコスタリカは「軍隊のない国」として知られていますが、これは軍備を持たないと憲法で決めて、そのとおり実施しているからです。わずかの数の警察はあるものの軍隊はないのです。イギリスで発行されている軍備年鑑などでも、「軍隊はない」となっています。
紛争が多く、それにアメリカの介入が加わり、困難の多い中南米にあって、このような国を作り上げてきていることに驚きます。
いろいろな面で日本とは単純には比較できませんが、学ぶべきことも多いと痛感しました。
Y氏の話からは次のようなことを考えました。
①医療や教育費についての考えと無料
軍事費を減らして、教育や福祉に多くの予算をまわす。そのことが結果的に国を豊かな安定したものにしていく。
②人権教育の徹底
小さいうちから、差別をなくし、人権の大切さを学ぶ機会に。そのことが学校や社会的ないじめ防止や寛容な社会の実現、憲法の大切さを広めることにもなる。
③比例代表という選挙制度および連続立候補禁止
今の日本の民意を反映しない小選挙区制では、少数の得票で多数議席を占め、独裁的な政治が実現し、危ない。
また、争点隠しなどで国民を欺くような選挙活動の制限を改善し、自由と啓発運動による選挙により、投票意欲を高め、投票率を高くする。
世襲制など、一部の者が何年にもわたって権力を握る仕組みを変えることが必要ですが、親子代々…というのが多いなあ。
④対話・寛容・歩み寄りの解決など民主主義的な雰囲気「対話や寛容、歩み寄り」などの不足から、秘密保護法などを制定し、できるだけ情報を隠すという世界の流れにも逆行する日本、ヘイトデモや、アンネの日記破損、はだしのゲンの本を閉架式にするなどの、自由を制限する社会の雰囲気が自主規制あるいは意図的になされるようになってきている。
これらのことは、本当は世界に誇る日本国憲法をその通り実行すれば解決していく問題なのですが・・・。
なにしろ日本国憲法には一番大事という「自由」「人権」「民主主義」が盛り込まれて、「平和」に徹すると世界に宣言しているのですから。
戦後60余年にわたって、日本は世界で戦いの血を流さないできました。また、武器を輸出することもせずにきました。いずれも九条の力です。
世界各国から日本がすばらしい国として認められてきたことです。
コスタリカの素晴らしいところに学びつつも、長い間、日本の戦後の憲法下で平和を保ってきた素晴らしさを再確認です。
ところが、今これらは反故にされようとしています。一人の改憲に執念を燃やす首相と強大な自公政権によって。
さてY氏の報告に触発されて、私もかつて購入し書棚に眠っているコスタリカ関係の本を探したら、2冊ありました。数年前に購入したものです。
*「平和をわが手に」-コスタリカ大統領のノーベル平和賞 感動の伝記―竹井博友著1988年(昭和63)発行 1987年にアリアス大統領がノーベル平和賞を受賞した時に、「平和に国境はない」「平和は強制されるものではない」などと二回にわたって演説をしています。その中でも、自由の大切さや、民主主義がいかに大切であるかを訴え、非暴力による平和の実現を述べています。
*「母と子で見るー軍隊のない国コスタリカ」早乙女勝元編 草の根出版会1997年(平成9)発行。
「軍隊のない国」があるとは!という驚きから、氏自身がコスタリカを訪問して子どもにも分かるように書いた写真本です。
私はコスタリカについては前から関心がありましたので、聞いてきました。
Yさんは、写真をもとに話してくれました。まず国の概要を話してくれました。面積5万平方キロ(九州+四国ぐらい)、人口460万(神奈川の半分)北にニカラグア、南にパナマが接しており、かつては紛争地帯でした。町を歩くと、オフィスは朝が早く、8時から16時までの業務。残業はないので、8時間労働が普通とのことでした。
①刑務所
犯罪の原因は「与えられるべきものが与えられなかった」という考えに基づいているということでした。低い鉄条網のなかに、農園、運動場、自炊部屋、などがあり、かなり個人的な生活が保障されているとのこと。尊厳、教育、職業などの更正プログラムは民間ボランテイアも関わっているとのことでした。再犯率は20パーセントで、日本の40数パーセントと比べるとかなり低いことが分かります。
また、「愛の部屋」というものがあって、夫や妻のどちらかが入所している場合には、訪問した時は数時間個室が保障されているとのこと!なお、囚人にも日本にはない選挙権もあり、死刑は1889年に廃止されているということです。
②教育
義務教育は10年間。学校と地域の連携が進んでおり、移民などが多くなって親自身の教育のための「夜間中学」もある。道徳という授業はなく、個性を伸長させることに重点があり、小学校一年よりしっかり教えられるのは「人は誰でも平等」という考えだそうです。また、軍隊の予算は教育の方に振り分けるという考え方であるとも。それでも、移民などが多くなっており、貧困層が20パーセントぐらいあり、いじめ、不登校もあるということでした。「対話・寛容・解決=歩み寄り」の三点で対処しているそうです。
③医療
国公立病院の医療費は無料。私立病院もあるのでこちらは有料。前者は混んでいるとのことでした。また、どんな人でも受け入れているということでした。多くのボランテイアの人たちも活動しているようでした。
④裁判
日本と同じ三審制です。憲法判断は最高裁一審のみ。人権を侵害された人は誰でも訴訟でき、費用は無料とのことでした。訴訟は年間1万5千件です。
(註:訴訟数は日本は400万~500万件で、人口比を考えると日本の10分の1ぐらいでしょうか。)大統領がアメリカのイラク戦争に加担する判断をした時に訴訟を起こされ、大統領は判決で戦争支持は間違いと判決されたこともあったそうです。
⑤国会
4年に一回の選挙。連続再選禁止により、権力の一部の者への集中を避ける。議場はガラス張りで傍聴者からよく見える。57議席。選挙活動はなんと4か月でこの間、対話中心で日本のように大声でやらない。ただし支持者の集会はまつりのようににぎやか。このような長い期間に広く選挙の大切さや争点が分かり、投票率は80%以上。現大統領は女性。比例代表制。
また、「選挙最高裁判所」というのがあって、司法行政立法の三権と並ぶ4つ目の権限を持っている。選挙府という役所で、住民登録や選挙全般を仕切る。18歳以上に選挙権。事前に子ども選挙などの模擬選挙があり、この役所で集計発表までする。子どもの家から政治への関心を高める努力をしている。公開討論会開催や情報提供などをして、国民の関心を高める活動をして選挙日を迎える。投票用紙には立候補者の顔写真も付いていて間違わないようになっている。そのような中で、ほとんどの人が投票し、80%以上という結果になる。
⑥歴史
1949年 内戦後、平和憲法制定。
当時は、「兵士の数だけ教師を!」を合言葉にして、軍隊廃止。
1980年 中米戦争があり、83年には、巻き込まれないように、「積極的、永世、非武装中立」宣言。中南米での紛争も多いが、国是を守るために、国連の平和大学を設置したり、中米の人権裁判所を設置したりして積極的に活動。
要約すると以上のような内容でした。
コスタリカとともに日本も平和憲法を定めている世界の先進として、誇るべき国です。中米のコスタリカは「軍隊のない国」として知られていますが、これは軍備を持たないと憲法で決めて、そのとおり実施しているからです。わずかの数の警察はあるものの軍隊はないのです。イギリスで発行されている軍備年鑑などでも、「軍隊はない」となっています。
紛争が多く、それにアメリカの介入が加わり、困難の多い中南米にあって、このような国を作り上げてきていることに驚きます。
いろいろな面で日本とは単純には比較できませんが、学ぶべきことも多いと痛感しました。
Y氏の話からは次のようなことを考えました。
①医療や教育費についての考えと無料
軍事費を減らして、教育や福祉に多くの予算をまわす。そのことが結果的に国を豊かな安定したものにしていく。
②人権教育の徹底
小さいうちから、差別をなくし、人権の大切さを学ぶ機会に。そのことが学校や社会的ないじめ防止や寛容な社会の実現、憲法の大切さを広めることにもなる。
③比例代表という選挙制度および連続立候補禁止
今の日本の民意を反映しない小選挙区制では、少数の得票で多数議席を占め、独裁的な政治が実現し、危ない。
また、争点隠しなどで国民を欺くような選挙活動の制限を改善し、自由と啓発運動による選挙により、投票意欲を高め、投票率を高くする。
世襲制など、一部の者が何年にもわたって権力を握る仕組みを変えることが必要ですが、親子代々…というのが多いなあ。
④対話・寛容・歩み寄りの解決など民主主義的な雰囲気「対話や寛容、歩み寄り」などの不足から、秘密保護法などを制定し、できるだけ情報を隠すという世界の流れにも逆行する日本、ヘイトデモや、アンネの日記破損、はだしのゲンの本を閉架式にするなどの、自由を制限する社会の雰囲気が自主規制あるいは意図的になされるようになってきている。
これらのことは、本当は世界に誇る日本国憲法をその通り実行すれば解決していく問題なのですが・・・。
なにしろ日本国憲法には一番大事という「自由」「人権」「民主主義」が盛り込まれて、「平和」に徹すると世界に宣言しているのですから。
戦後60余年にわたって、日本は世界で戦いの血を流さないできました。また、武器を輸出することもせずにきました。いずれも九条の力です。
世界各国から日本がすばらしい国として認められてきたことです。
コスタリカの素晴らしいところに学びつつも、長い間、日本の戦後の憲法下で平和を保ってきた素晴らしさを再確認です。
ところが、今これらは反故にされようとしています。一人の改憲に執念を燃やす首相と強大な自公政権によって。
さてY氏の報告に触発されて、私もかつて購入し書棚に眠っているコスタリカ関係の本を探したら、2冊ありました。数年前に購入したものです。
*「平和をわが手に」-コスタリカ大統領のノーベル平和賞 感動の伝記―竹井博友著1988年(昭和63)発行 1987年にアリアス大統領がノーベル平和賞を受賞した時に、「平和に国境はない」「平和は強制されるものではない」などと二回にわたって演説をしています。その中でも、自由の大切さや、民主主義がいかに大切であるかを訴え、非暴力による平和の実現を述べています。
*「母と子で見るー軍隊のない国コスタリカ」早乙女勝元編 草の根出版会1997年(平成9)発行。
「軍隊のない国」があるとは!という驚きから、氏自身がコスタリカを訪問して子どもにも分かるように書いた写真本です。
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