ネイチャーゲーム&自然・趣味

ネイチャーゲームで知った自然。テニスやハーモニカ、ウォーキングなど遊びの世界。

「養生訓」の世界:その2=今と似ていた健康ブームの時代(元禄期)

2018年08月11日 | 本・文芸
 益軒の時代は元禄期で、江戸開幕以来ほぼ100年たち、戦争や国のことから個人の健康や寿命へ目が行く余裕が出てきたと言われます。それは医療の民衆化の始めとも言われ、今日につながる多くの現象がみられる社会になりました。

 ①一般の庶民が医者にかかれるようになってきたこと。医者の免許は厳しくなかったので、医者には誰  もなれる時代であった。その分怪しい医者もずいぶんいたようである。
  =現代人の何かあればすぐ医者というぐらいの医者好き。

 ②薬ブーム。富山の薬売りが始まったのもこの頃だし、薬屋や薬のコマーシャルまで始まった。
  =現代もTVや新聞でも薬やサプリメントなどの宣伝がたくさんで人々もよく服用する。

 ③養生書がたくさん出回りベストセラーになった。
  =今はあらゆるところで健康書。健康法を書いた本が出版されている。

 また、この時代よく「養生」ということがいわれましたが、今日の病後の手当などの狭い意味ではなく、心身を含む生き方についての言葉だったと言います。益軒は「人間の体はこのうえ無く貴重なもので、全世界にも代えられない。・・・・、身を慎み、命を大事にするのは人間最大の義務である。」と総論で命の尊さについて述べています。

 この時代は貧しいながらものんびりした時代。今でいうとスロ-ライフとも言え、自然の動きとともにゆったりと時間も進み、考え方もゆったりしたものでした。
 
 このような時代には今と反対に若者よりも年寄りの方が知恵や知識も豊富であるとして尊ばれていました。年寄りが尊ばれ、老いてからの楽しみを願う時代は、自然の理にかない人にも自然にもやさしい社会であったと言われます。落語の世界でもよく長屋のご隠居が登場しますね。
 
 この時代は綱吉の時代で「生類憐みの令」によって命が大事だという感覚が染み渡っていったことも関係あるのでしょうか。本来は犬だけではなく人間の「子棄て」や「姥捨て」にも目を配るたくさんの法令でしたが、後に極端になって犬ばかりが話題になっているので誤解されているようですが。

 今はどうでしょうか。「若返り願望」とか「少しでも若く見られたい」という発想が一般的ですね。
 また、政治や社会的にも「年寄りはお荷物」のような風潮がつくられているような面があります。過日の自民党の議員の言うように「生産性のない」人々の群れに数えて平気な政治家が多く、若者と対立するような政策的な面も見られるのはおかしいですね。誰もが行く道ですのに。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿