こんな夢って、見たことありますか？ 「雲隠れ宗衛門」

　≪彼はここ数日憂鬱な気持ちのままに過ごしてしまった。
なにしろ、大事な人を迎えての講演の折に、大失敗し、みんなの前で上司に叱られたのである。その後のみんなの視線の冷たかったこと。いや彼が一人そう感じたのかもしれないが、誰かが話していると自分ことではないかと思ったり、視線が合うと笑っているように思えたりするのであった。その度に自分を責めるのであった。
　
　数日前、同僚が「今度来る講師は言葉にうるさいそうだ。」「そうそう講師の名前を雲隠れ宗右衛門と書いたら聴衆の前で怒鳴ったそうだよ。」と話しているのを聞いて厄介だなと思っていたのであった。
というのも、今回の講演の演題や講師の名まえを書いて掲示する役目に当たっていたのであった。

　講演の当日、彼は自分の書いたはずの演題と講師名を見てびっくりした。自分の字ではなく他の人の字で書いてあるではないか。それに、あのうるさい講師名も、予め言われたのとは違って「雲隠れ宗衛門」と書いてあるのだ。彼は、急いで筆を持ってきて、「雲隠れ宗右衛門」と右を脇に書き足した。いよいよ講演が始まるちょっと前に気付いてよかったとホッとした。

　所が、講師は講演が始まるや自分の名前が違って書かれていると言い始めたのである。
講師は名前が違っていると講演の最初に怒りをあらわに注意しつつ、不機嫌な顔で話したものだから、上司たちも恐れ入って聞いている。
　講演が終了して、担当の彼が上司に呼びつけられて、みんなの前で「こんなことさえミスを犯す。まったく使えん奴だ。」と悪罵を浴びたのであった。
　彼は、なまじ古文書をよんだことがあるうえに、数日前の同僚の話を聞き間違えていたのである。古文書などでもよくある名前は確かに「○○右衛門」であるが、講師は「○○衛門」なのである。あぁああ・・・、失敗しちゃったと、そそっかしい自分にあきれながら、憂鬱な気分のままにうとうと・・・・。≫

そう、この話は昨夜、夢に見たことなのです。目覚めても憂鬱な気分がしばらくは続いていたのでした。
　こんなに鮮明に覚えているなんて不思議だと急いでメモをしていたのでした。講師の名前も、おかしい名前で、どうしてそんな名前が出てきたのでしょう。何の講師かは不明です。
　創作のような名前と顛末を考えながら、過日TVで夢をよく覚えているのは、とても疲れている時だと心理学者が言っていたことを思い出しました。
　そういえばここ数日眠りが浅く、朝の目覚めが悪かったのでした。夢見る夢というのは、子どもの頃に戻って怖いものに追いかけられ捕まりそうになることや、学校の仕事をしている最中のことが多いのに・・・・。ばかばかしいことなのですが、余りにも鮮明なので書いてみました。楽しい夢を見たいなあ。