今日はクリスマス。クリスチャンでもない私も、ご多分にもれず本来の意味も考えずに商戦にのって適当に楽しんでいるのですが、この本を再読しました。
というのも、過日、友人がこの本の朗読会に行ったと話してくれました。その時には高校の頃に、兄から同じ作者の「二都物語」と一緒に勧められたことや、後年、新潮文庫で読んで子どもに話してやったことを思い出したものの、詳しいストーリーは忘れていました。
この朗読の話を聞きながら、友人の話もうまかったこともあり再読してみたくなり、集英社版を入手しました。
ケチで冷酷な老人のスクルージは幽霊によって自分の過去、現在、未来を見せられます。そこには、・・・・。内容は書きませんが、大金持ちほどケチということはよく言われていますね。六億の年俸とか、数十億の豪邸などの話はさておき、この文庫はわずか170数ページです。
文豪チャールズ・ディケンズが19世紀に子どもたちのために書いた物語ですが、大人にとっても身につまされる話でもあります。
私が入手した集英社文庫は中川 敏訳のカラフルな表紙、詳しい年譜、木村治美氏の鑑賞も付いています。
それによると、この本は1843年作者31歳の作品です。
この前後の世界史はと見ると、
1836年イギリスに経済恐慌
1840年アヘン戦争、この前後にはイギリスでは幼児少年の労働などが多し。
1845年アイルランドに大飢饉、エンゲルスの「イギリス労働者階級の現状」。
1848年にはマルクス・エンゲル「共産党宣言」、フランスは2月革命という時代でした。
1853年には作者が自ら「クリスマス・キャロル」の公開朗読会をやって喝さいを浴びたそうです。
12歳で靴工場で働かなくてはならなかった作者の貧しく苦しい経験が下敷きになっており、当時の児童労働に反対し、社会的・経済的な不公平を批判して多くの作品を著したといいます。現在にも通じる普遍的な課題ですね。
日本でも、本や映画、歌にも取り上げられているのですが・・・・。
この本を読んで、ケチな私でも毎年している国境なき医師団への寄付を今年もわずかですが続けようと思いました。
各社から出ている「クリスマスキャロル」
①集英社文庫 中川 敏訳 476円+税
②新潮文庫 村岡花子訳 389円+税
③光文社文庫 池央耿訳 440円+税
④岩波少年文庫(新書版) 脇明子訳 672円+税
⑤講談社青い鳥文庫(新書版)こだまともこ訳 599円
④⑤は小学生から読めるような活字。そのほか、豪華本や、絵本、英語本がたくさん。
先輩の話に刺激された矢先でした。
物語は、人としてするべきことを示唆しています。
スクルージと違い、お金が無くても他人のためにすべき
方法はいろいろあります。
自分が何を選び、行動するのか。
そんな勇気を与えてくれる物語でした。
確かに今はお金だけではなく、さまざまな方法がありますね。
過日は福島の原発事故で仮設に入っている人がお金を少しぐらいもらったって、帰るべき故郷を失い、家族ばらばらで生活しなければならないことが悔しいし悲しいといっていました・・・・。こんな思いを再びすることがないようにしなければと思いますね。