「沖縄から愛をこめて」講談社文庫620円(税別)2017年10月
6月23日は沖縄の慰霊の日でした。本土の人でこの日を自覚した人は何人ぐらいいたでしょうか。私自身も毎年その確認をしてきたとは言えません。しかし今年は辺野古基地移設問題など否応なしに考えざるを得ない状況が相次ぎました。
私たち本土の人間は、意識的に学ばないと沖縄の現実を把握できない面があると思わされます。そんな中で手にしたのがこの本です。西村京太郎氏は十津川警部シリーズの作家として誰もが知っているのではないでしょうか。多くがTV化されています。15歳で終戦を迎えた氏の戦争への思いが実はこのシリーズにも反映しているといいます。特にこの著作は沖縄戦を直視して描いています。
帯には歴史に闇に挑むとして「陸軍中野学校出身の謀略の専門家は沖縄戦で何を見たのか?」とあります。
沖縄戦は日米の間で激戦が行われ、日本側将兵・軍属の志望者9万人、沖縄の民間人は9万にも及ぶ前例のない戦争でした。著者は大本営が沖縄戦を本土決戦に備えての時間稼ぎのための戦争にしたという従来の見解を紹介した後、フリーカメラマン木村の目を通してそれに異議を唱えています。
「時間稼ぎ」という発想自体が、沖縄を本土を守るための捨て石という差別的なものです。事実沖縄にいる兵士では守れないので県民を盾にして戦争をすることにして女子学生は「ひめゆり部隊」や14歳から17歳までの鉄血勤皇隊、17歳から45歳までは沖縄防衛隊とするなどすべての県民を動員しました。
この「時間稼ぎ」の残酷さに加えて、著者は「実はこの沖縄戦は本土決戦の予行演習(実験)」であったのではないのかという疑問を提起してその理由を明かしていきます。いずれの方針も県民の命を犠牲にして、将兵を守り国家を守るという点では変わらないのですが。そこで帯にある、「陸軍中野学校」です。同校出身者42名がひそかに沖縄へ送り込まれ、沖縄県民の思想調査、本土決戦に勝つ条件調査の二つを任務にして暗躍した事実を指摘し、実態を解明していきます。
このようにして、事実をもとに次のようなことを伝えてくれます。
・スパイ養成学校の陸軍中野学校 ・指揮をとった牛島司令官、長勇参謀総長の行為(特に長勇参謀長が南京事件での虐殺にもかかわる) ・沖縄の歴史をアイヌの歴史の共通点 ・集団自決の実相 ・日本軍の人命無視「軍人勅諭」「戦陣訓」(後退・捕虜を許さない!)
・玉砕とは?=七千万の日本人が死んでも二百万の将兵を守るともいわれる本土決戦の大本営の無謀 ・軍隊が国民を守るのか
等々多くの考えさせられる問題が提起されています。
軍隊として組織的な戦闘が司令官等の自決によって終えたという6月23日の慰霊の日を前に読んだ本はぐいぐい読んでしまう内容でした。今起きている沖縄の基地問題も、この本にある歴代政権の沖縄への視点を抜きにしては考えられないとおもいました。ぜひ手にしてみてください。
6月23日は沖縄の慰霊の日でした。本土の人でこの日を自覚した人は何人ぐらいいたでしょうか。私自身も毎年その確認をしてきたとは言えません。しかし今年は辺野古基地移設問題など否応なしに考えざるを得ない状況が相次ぎました。
私たち本土の人間は、意識的に学ばないと沖縄の現実を把握できない面があると思わされます。そんな中で手にしたのがこの本です。西村京太郎氏は十津川警部シリーズの作家として誰もが知っているのではないでしょうか。多くがTV化されています。15歳で終戦を迎えた氏の戦争への思いが実はこのシリーズにも反映しているといいます。特にこの著作は沖縄戦を直視して描いています。
帯には歴史に闇に挑むとして「陸軍中野学校出身の謀略の専門家は沖縄戦で何を見たのか?」とあります。
沖縄戦は日米の間で激戦が行われ、日本側将兵・軍属の志望者9万人、沖縄の民間人は9万にも及ぶ前例のない戦争でした。著者は大本営が沖縄戦を本土決戦に備えての時間稼ぎのための戦争にしたという従来の見解を紹介した後、フリーカメラマン木村の目を通してそれに異議を唱えています。
「時間稼ぎ」という発想自体が、沖縄を本土を守るための捨て石という差別的なものです。事実沖縄にいる兵士では守れないので県民を盾にして戦争をすることにして女子学生は「ひめゆり部隊」や14歳から17歳までの鉄血勤皇隊、17歳から45歳までは沖縄防衛隊とするなどすべての県民を動員しました。
この「時間稼ぎ」の残酷さに加えて、著者は「実はこの沖縄戦は本土決戦の予行演習(実験)」であったのではないのかという疑問を提起してその理由を明かしていきます。いずれの方針も県民の命を犠牲にして、将兵を守り国家を守るという点では変わらないのですが。そこで帯にある、「陸軍中野学校」です。同校出身者42名がひそかに沖縄へ送り込まれ、沖縄県民の思想調査、本土決戦に勝つ条件調査の二つを任務にして暗躍した事実を指摘し、実態を解明していきます。
このようにして、事実をもとに次のようなことを伝えてくれます。
・スパイ養成学校の陸軍中野学校 ・指揮をとった牛島司令官、長勇参謀総長の行為(特に長勇参謀長が南京事件での虐殺にもかかわる) ・沖縄の歴史をアイヌの歴史の共通点 ・集団自決の実相 ・日本軍の人命無視「軍人勅諭」「戦陣訓」(後退・捕虜を許さない!)
・玉砕とは?=七千万の日本人が死んでも二百万の将兵を守るともいわれる本土決戦の大本営の無謀 ・軍隊が国民を守るのか
等々多くの考えさせられる問題が提起されています。
軍隊として組織的な戦闘が司令官等の自決によって終えたという6月23日の慰霊の日を前に読んだ本はぐいぐい読んでしまう内容でした。今起きている沖縄の基地問題も、この本にある歴代政権の沖縄への視点を抜きにしては考えられないとおもいました。ぜひ手にしてみてください。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます