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知っていますか?「非正規公務員という問題」

2015年01月22日 | 本・文芸
「非正規公務員という問題」上林陽治著 岩波ブックレット 
2013年第3版  500円 63ページ
 
 この本を読むまで知らなかったことがいっぱいありました。

 次のようなことは、皆さんは知っていましたか?

 ①地方公務員の 三人に一人は非正規公務員であること。
 
 ②非正規公務員は、賃金は生活できない水準で、常に雇止めの危機にさらされている不安定雇用であること。(いわゆる  ブラック企業で働く労働者とあまり変わらないこと)
 
 ③住民の多くは、この事に気付いていない。なぜか?非正規公務員が上記のような無理をしながら、その質と量を提供し  つづけているからである。


 この本は、学校に臨時の先生が多くなっているという話があり、実態はどうなのかという問題意識で読み合いました。以下その一部を紹介します。

*定数内臨時教員

 臨時の先生が担任しているクラスでも、仕事は全く正規と同じです。
同じ勤務時間(8時~7時過ぎ)、同じ指導内容(ホームルーム、授業、給食指導、クラブ指導、遠足などの行事)、明日の授業の準備、更に学校・学級事務(職員会議・学年打ち合わせ・成績評価、指導要録作成・・・・)、親との関わり(学年、学級通信発行・家庭訪問・面談・PTA活動)などのほか、教育実習生の受け入れなどがあります。
 これらの仕事は正規の給与の半分に満たない非正規教員によって担われています。非正規教員は11万人にもなりますが、これは正規58万人に対して、16パーセントにあたり、公立小中学校の教員六人に一人は非正規となります。
 これらは、子どもの人数に応じて定数がある教員を臨時によって賄うという教育政策によって生み出されたものです。
 ちなみに、北海道内の非正規教員のワーキングプア層のボーダーラインである年収200万円未満は14パーセント、300万円未満は43パーセントという実態があります。(2009、北海道・非正規労働者白書)
 そういえば、夏休みなどにはアルバイトや親の援助によって生活を維持している例もあると言います。
 公教育の分野で貧困を構造化して、臨時教員を都合よく使うシステムをつくりあげたもので、民間の非正規労働者問題と同じものです。

 
*非正規公務員がすすめる生活保護行政
 
 
 また、生活保護行政を進める公務員も、非正規が多く、生活保護行政を進めるケースワーカーの仕事は過重になっていると言います。
 今、生活保護を受ける所帯が増え100万所帯を越えていますが、それに合わせてケースワーカーの仕事が増えており、これらを担っているのが増大する非正規公務員です。
 この分野では生活保受給者へのバッシングなどがあり、注目されていますが、ここで働いているのはサービスのみ求められるが自身は正規の給与の半分に満たない給与で働いている非正規労働者です。

 こうして住民の「福祉増進」を図ることが任務の公務員ですが、自身の権利も保障されていない公務員によって担われていることが、常態化しています。
 つまり、ブラック企業ならぬブラック学校、ブラック市役所で、賃金や権利の面で劣悪な条件で働いている公務員が増えているのです。

 対策も書いてありましたが、わたしの感想にかえます。

 一部の悪例を引き合いにして、公務員バッシングをする例があります。これは本当は団結しなければならない働く者を分断するもので、次のように社会全体の貧困化を進めることになると思います。

 ①公務員と言えども労働者である。彼らの賃金がワーキングプア並に低いままだと、生活困難になり、まともな生活がで  きなくなるなど多くの問題が生じる。

 ②安易な公務員攻撃に乗るのではなく、個々の公共サービスについては地域住民と当該役所と協同で解決すべきである。

 ③公務員の給料は民間と連動している。公務員の給与が下がることは民間に働く人の給与もやがては下げることになる。 (だから経営側はいつも官民分断しようとする。)

 ④何より、官民を問わず労働条件の悪さを放置することは、社会全体の貧困化と格差を一層進めることになる。


 *関連図書(岩波ブックレット)
 『非正規労働の向かう先』 鴨 桃代著
 『格差社会をこえて』 暉峻 淑子著


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