渡辺謙さん主演の映画「沈まぬ太陽」は3時間を超す長編(途中休憩あり)ながら、終始手に汗握る思いで観ました。安全を望む要求に背を向け、気に入らなければ組合を9つもに分裂させ、海外にまで配置転換を繰り返す手法には、怒りを感じました。日本を代表する航空会社での主人公恩地への不当な差別と、それに屈せずに生き抜く恩地の生き方には、人間には出世や金に換えられないものがあると教えられました。主人公とは対照的な生き方をして出世する者の卑屈さも描かれ、これも人間の真実であると思いました。会社はその経営により、ついにはあの御巣鷹山上空での墜落事故を招いてしまいます。この上映により大きな反響があったようですが、会社再建のためにならぬという会社関係者の意見には驚きました。あの事故から学ぶことはないとしたら犠牲者は浮かばれません。働く人を大切にしない会社に利用者の命を大切にする思想は生まれるのでしょうか。それとともに、私の30数年に及ぶ勤務の中にも、主人公に似た思いもちょっぴりあったとほろ苦くも思い出しつつ一人映画館を後にしました。働く人、特に若い人にはぜひ薦めます。
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