青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

昭和・平成 ~良き時代の「街の景色」がここにあります。

池田映劇 ~あの“かき峰”は映画館だった!

2022-03-14 | 昭和の映画館

地元の歴史というものは、時間と共にあっという間に埋もれてしまいます。昔と違って人の出入りが激しいこともあってか、「街の顔」と言うべき存在すら、忘れ去られて行きます。

池田市には僕が知っているだけでも、「池田映劇」「明治座」「アゴラシネマックス」「池田中央シネマ1~3」「石橋劇場」と7つの映画館があり(現在は全て閉館)、池田中央シネマ1と2に至っては、2010年に閉館したばかりです。それでも人々の記憶からは消えて行きます。

池田駅前の「かき峰」と言えば、かなりの遠方の方でもご存知の「かき料理」の名店で、1年中営業している訳ではなく、かきの食べ頃の季節だけ営業している高級店です。

写真の左の建物が「かき峰」です。正面のサンシティを抜けると阪急宝塚線・池田駅です。このかき峰、名店の誉れが高いために、さぞや古くから城下町・池田の「この場所」で営業をされていたのだろうと多くの人が思っていますが、ここは昭和59年(1984年)までは「池田映画劇場」という映画館でした。

「池田映画劇場」は昭和14年(1939年)に、この場所に開館した東映系の封切り館でした。駅前再開発により、周辺のお店や家が取り壊されてサンシティ池田が誕生した時、池田映画劇場は閉館し、逆にサンシティ池田の建った場所にあった老舗料理店「かき峰」と、現在の「日本キリスト協会池田」が、池田映画劇場跡地に引越しして現在の姿になりました。

そして、池田映画劇場は昭和62年(1987年)に暫くのお休みを経て、サンシティ池田の1階、上の写真で自動車の左後方に青い看板が見える位置で営業を再開しました。

ドルビーシステムを完備した131席の東映封切館でした。しかし、同じ池田で「池田中央シネマ1と2」(現在では大衆演劇・呉服座になっています)を営業していた近畿興行に経営権が移り、1990年代後半に「池田中央シネマ3」と改称されました。そして2008年2月3日に閉館し、現在では池田市に映画館は1軒も残っていません。