振り駒で後手番になり相矢倉に。
森下システムの定跡形。10年以上も前から指されている形で▲1五歩△7三桂▲9六歩△9四歩が普通の進行。
森下九段は図で▲9八香と新手。矢倉から穴熊に組み換えるのは僕が大好きな手なのですが、気が付きませんでした。△6五歩の位が将来の△6六香や△6六桂を見ていて価値が高いので▲8八玉から▲9九玉とすることによって、その価値を下げようという意味です。これに対して淡々と指すと
参考図のようになります。△6六歩は突けましたが、穴熊に対してはそれほど響きません。▲5四歩が絶好の突き出しなので△6五銀や△6五桂は不可ですし、△8六歩▲同歩△8五歩の端攻めも△8四角が端に利いていないどころか、△8二飛の利きを妨げる邪魔駒になっているので、攻めになりません。
黙っていると▲5四歩△同金▲3五歩のような攻めで崩壊してしまいます。参考図にすると相当勝てないと思ったので▲9八香に△5八歩と垂らしましたが丁寧に▲3七角と受けられて困りました。
△2五銀と食いちぎって△6六桂と打ち込み。部分的には厳しいのですがこの食いちぎり方は先手の2筋の歩を伸ばすのでこの程度の桂打ちでは追い付きません。△1四歩が突いてあれば▲1五桂がないので▲2四歩にも耐えられるのですが。
案の定、図で「両取り逃げるべからず」の格言通りに▲2四歩と突かれて困りました。飛を取っても▲2三歩成△同金▲6四角とされると4枚の金銀の連結が良くて攻め合い負け。
かなり苦しいと思っていましたが、森下九段にミスが出て、チャンス到来。どんなに苦しい将棋でも1回はチャンスが来るんですね。今、▲7五銀と角を取ったところ。
「飛がもらえるなんて望外の展開だ」と大喜びしながらノータイムで△5八銀成と飛を取りましたが▲9六歩と突かれて寄らない形に。同じようでも銀不成ならば▲9六歩に△6九銀不成として△5八飛~△7八銀不成があるので全然違いました。本譜は成ってしまったので、成銀が7八まで来ても遅いのです。
プロなんだから、飛をもらえるくらいで大喜びしないで成か不成かを考えて欲しいですね。呆れます。▲9六歩以下はチャンスなしでした。
銀不成としていても、互角くらいで、勝ちという局面はなかった一局。完敗と言えます。
天彦氏に「▲9八香は俺と森下先生の練習将棋の感想戦で出た手なんだよ、竜王には申し訳ないことしなぁ」と同情されましたが、▲9八香はそんなに難しい手ではなく、研究段階で発見できなかった自分のミスです。研究の甘さを痛感しました。
感想戦終了後C級2組順位戦を観戦。天彦氏は早々に勝ち。3連敗スタートで大ピンチだった戸辺氏は大熱戦の末、3連勝の佐藤(和)四段を破りました。
2人を連れて帰宅。僕は夕飯を食べていなかったのですが、戸辺氏はお疲れ、天彦氏は元来少食なのでコンビニで買い物をして家で食べることに。唯一負けた僕に気を遣っておごってもらったのは良いのですが、和室で畳におでんの汁をこぼされました。くっ。
悪い流れになっていますが、竜王戦も近いですし、なんとか踏ん張りたいです。次の対局は明後日21日の順位戦です。
本日19日は竜王戦挑戦者決定戦第3局。いよいよ挑戦者が決まります。中継は竜王戦中継サイトにて。