かわ遊び・やま遊び雑記

アユ・ワカサギ・ヒメマスなどの釣り情報と自然観察や山菜採りなど自然の中で遊び回った記録や雑記

ぐんまのアユ事情: アユ種苗は一長一短

2009年11月02日 | 釣り一般
釣り人に取って良いアユとは何でしょうか・・・たぶん、良く釣れる・引きが強い・姿形が良い・食べて美味しいと言うことになるのでしょう。そして漁協など河川関係者にとっては、冷水病に強い・再生産の可能性が高い・遺伝子の多様性が高いなどでしょうか。

(今年の碓氷川は9月末の閉漁まで釣れ、尺超えの大アユが何匹も釣れました。写真は友人のK君が釣った大アユです。碓氷川のような中小河川で、解禁当初から形も数も良いのが釣れ、釣れる期間も長く、大きく育ったと言うことは、種苗が良かった・川の環境が良かった・管理が良かったの三拍子が揃ったということだと思います。)


では、このような条件を持ったアユ種苗が存在するかと言うと、全ての条件を満足する種苗は見あたらないのが現状でしょうが、比較的近いのが海産の天然アユだと思います。

海産の天然アユは川の生産力や綺麗さにもよりますが、引きは強く、姿形も良く、食べて美味しく、冷水病に比較的強く、再生産ができ、遺伝子の多様性も高いと言われています。
ただ、群馬県に限って見ると遡上河川である利根川が水利面で高度に利用されているため河川構造物が多く遡上の妨げとなって資源量があまりにも少ないことが問題となります。そして近年の傾向としてナワバリを作るアユの割合が減ってきている傾向も見受けられ、これが「ナワバリを作らない=追いが悪い=釣れない」という構図になっていると思われます。このような問題は
高知県友釣連盟のホームページで高橋勇夫氏が心配している現象でもあります。そして、あまり遠く離れた地域からの移植は遺伝子の攪乱の恐れがあるとも言われています。

次に湖産アユです。釣れ具合や姿形は申し分ないのですが、冷水病のキャリアーになりやすいこと・再生産が出来ないという致命的な欠点があって、県によっては放流を禁止している事例もあるほどなのです。最近、特に心配されているのが冷水病もさることながら再生産の面です。湖産アユは産卵期が早いため孵化が早く、仔魚が海に下っても海水温が高くかつ塩分濃度が高いとほとんど死滅してしまうと言われ、また天然アユと交雑して仔魚が生まれても同じように死滅し再生産がきかないため天然アユの再生産をも妨げてしまっているのではないかと心配されているのです。

そして人工産アユです。様々なタイプが出ていますが、最近は基本的に「良く釣れる」「冷水病に強い」という点に重点を置いて作られていて、実際に良い結果も出ています。(群馬県水産試験場の研究報告)

(温川の釣獲試験・水試の新規種苗)   (今年の碓氷川の試し釣り・人工種苗)
  

しかし、人工産アユにも問題点はあって、特に「再生産」と「遺伝子の多様性の減少」は注意しなければならないでしょう。人工産アユは、何代にもわたって飼育していると産卵期が早まって湖産アユと同じ傾向になって仔魚が海で死滅してしまうことが心配されています。また、親魚の数が少ないため遺伝子の多様性が少なくなってしまい、何代も続けていくとクローンに近くなってしまう恐れも出てくるのです。そうすると、冷水病などへの耐病性も低下することも心配されてくるのです。

こうやって各種苗の特徴をみてくると・・・将来的なことも考えれば、天然アユを増やすことが一番なのでしょうが、それが無理ならば天然アユの汲み上げ放流(供給量が安定しない問題があります)、若しくは天然アユを親魚とした人工産アユ、それも継代年数が少ないものを放流していくべきと考えるのですが、どうでしょうか?


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