ご存知のとおり、天然遡上したり放流したりされたアユは石に着いた藻類(コケ)を食べて大きくなります。
川には珪藻や藍藻、緑藻などが生えていますが、アユはこのうちの珪藻と藍藻を食べていて、その量は毎日体重の半分くらいを食べると言われています。
特にアユは珪藻が好きでアユの香りや味を良くするのだと言われていますが、珪藻はガラス質のカラで包まれているために消化が遅く胃の中に残っているのでこれが主な餌だと思われているのだという説もあります。一方で、藍藻は窒素分が多く、たんぱく質をたくさん含んでいて、こちらの方がアユの成長に大きく貢献しているようです。
珪藻は黄色の色素が多くて川の中の石は茶褐色になりますが、アユに過度に食べられると再生産が追いつかなくなって、替わりに藍藻が繁茂してくるのだそうです。藍藻は黒っぽい色をしていてアユに頻繁に食べられても再生産する能力が強いため「アユが舐めた石は黒光りしている」と言われるのはこの藍藻のせいなのです。
さて、この藻類が生長する栄養源は、森林から供給されたり生活排水が流れ込んだりしたチッ素やリンの有機塩類で多くの生き物を育んでいるのですが、一方で量が多すぎると川の汚濁の原因ともなってしまうのです。
チッ素やリンは、地中で水に溶け込んで川に流れ込むほか、川の落ち葉などを水生昆虫などが食べて細かくして、それをさらに微生物が分解して供給されています。
そして植物である藻類は畑の野菜などと同じように、川の中にあるチッ素やリンを栄養として吸収し太陽の光を受けて育ちます。さらに水生昆虫や藻類を、アユなどの魚が食べて大きく育つことになりますが、その魚を釣り人が釣り上げるということは魚の骨や肉を作り上げているチッ素やリンを意識せずに川の外に出していることになるのです。
つまり、チッ素・リン→藻類→アユ(魚)→釣り人というような図式ができあがって、川の中の有機塩類が取り除かれる、つまり川がきれいになるのです。それも魚が多ければ多いほど、釣り人が多ければ多いほど、効果は大きいのですね!(釣り人の身勝手な論理とも言えるけど!)
と言うことは、魚を食べるカワウやサギ類も川をきれいにしていることになるのですね・・・。
ちなみに「ここまでわかったアユの本:築地書館:高橋勇夫+東 健作(著)」には、高知県の物部川での調査・試算では、アユが生息する5月から10月の間に川を流れたチッ素の1%、リンの20%が釣り人によって取り除かれるという結果が出たと書いてありました。
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