ある自然観察会での出来事・・・親子の参加者たちに森の中で落ち葉をめくらせ、腐葉土の中の小さな虫たちを集めさせていた時のことです。
一人のお母さんが「○○ちゃん、汚いからお母さんがやってあげる」と子供を制し、母親自らが恐る恐る割り箸で落ち葉をひっくり返し始めました。その様子を目の当たりにして私たち指導者は「土は汚いのか・・・」と唖然としてしまったことがありました。そして「これだから土を素手で触れなかったり裸足で歩けなかったり、虫を怖がったりする子が増えているのだ」と嘆いてしまいました。
(自然観察会:文章と写真は関係ありません)
このような考え方が世に蔓延って、汚い・危険・きつい・気持ち悪い・無駄などなど人間にとって一見して嫌ったり役に立たなかったりしているものは全て排除して、綺麗で安全で楽しく暮らせるように変えてきてしまったのではないでしょうか。
でも、手や足が汚れる土も、落ち葉の下にいるミミズやヤスデ・ダニも、腐った葉や木も、川を流れる濁流も・・・全てが自然界の仕組みの中で大切なものなのです。
(ミミズ) (ヤスデ)
土で汚れないようにアスファルトで覆ってしまったり、排水のために水路を張り巡らしたり、街中の落ち葉などをゴミとして埋め立ててしまったりと様々なことが行われ、街中の土は乾燥し、腐葉土も作れず、比較的樹木の多い公園でさえ堅くて栄養分の少ない土になってしまっています。
このようなことが積み重なって自然が築き上げてきた仕組みを台無しにして、森も川も海も貧血状態になってしまい生物多様性が無くなってきて、巡りめぐってアユなど魚たちにも影響を及ぼしているのではないかと思えるのです。
確かに人間生活の安全安心のために必要なこととは思うのですが、もう少し自然に優しいものにならないかなと思うことが多々あります。
「牡蠣の森を慕う会代表」の畠山重篤氏が「山に木を植えても育つのに50年はかかるが、人は20年で育つ。人を育てる方が早いのです。だから教育が大切」と言っていましたが、人を教え育てるのも非常に難しいのですよね。
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