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バーニー・サンダースが語る、トランプ政権の今後とは

2016-11-19 23:59:58 | 政治 選挙 

意見をつなぐ、日本が変わる。BLOGOShttp://blogos.com/article/198380/より転載

バーニー・サンダースが語る、トランプ政権の今後とは

記事 ローリングストーン日本版

2016年11月17日 12:00


『ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア』に出演したバーニー・サンダーズ上院議員


米TV番組『ザ・レイト・ショー』のインタビューにて、バーニー・サンダースがアメリカ合衆国と民主党の未来について語った。他にも、サンダースは民衆党をより大衆に根ざしたものにするための政策をコルベアとの対談で言及した。

月曜日『ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア』に戻ってきた上院議員バーニー・サンダーズは、2016年アメリカ合衆国大統領選挙の結果と今後の民主党の政策について語った。「これからどうすればいいの?と皆に毎日聞かれます」サンダースは言う。「僕たちがしなくてはならないことは、政治のプロセスにもっと踏み込んでいくこと。何百万という人が立ち上がって戦えば、声は届く」


トランプ政権の今後の経路を、サンダースは二通り予測する。「トランプは現実指向だ」サンダースは論じる。「何百万もの人が"ミスター・トランプ、そっちには行かないでおこうよ"と言った時、彼がそれに耳を傾けるかもしれないことは良いニュースだ」

しかし、サンダース曰く、トランプ政権が辿り得るもうひとつの道は暗澹としている。「最悪のシナリオは、トランプ自身ではなく、彼の周りにいる人たちがこう言いだすこと:"下院、上院、ホワイトハウスは僕たちの支配下にある。ゆくゆくは最高裁も。では、ゲームのルールを変えて、僕たちが二度と負けないようにしてしまおう"」共和党が「政権を永続的に握るため」選挙資金に関する法律を排除し、有権者に対する抑圧を進めていくかもしれない、とサンダースは案じる。


サンダースは、トランプ政権への対抗を勢いづけるために民主党を一新したいと言う。「僕たちは、どうして負けているのだろうか?」サンダースは問う。「何かが根本的におかしい。僕が今しようとしていることは、民主党を大衆に根ざしたそれにするために再構築すること」「民主党は、これまでのようにリベラル派のエリートの管轄下にあってはならない」と、サンダースは続ける。「彼らは敵ではないが、民主党は大衆に開かれているものに変容する必要がある–労働者、低所得者や若者の痛みを感じることのできる政党でなくてはならない」

サンダースはアメリカの将来に希望を持っているようだ。「トランプの意見は少数派のものだ」サンダースは言い放つ。また、当上院議員は、民主党の予備選挙の最中に見た光景に元気付けられているようだ。「美しい人たちに出会った、それもたくさんの・・・黒人、白人、ラテン系・アジア系アメリカ人、アメリカインディアン、本当に美しい人たち、皆がアメリカという国を、それが成り得るものにしたいと思っている」サンダースはコルベアに言う。「偏見を一掃するためだけではない。経済を1パーセントの人のみに有利なものではなく、皆にとって良いものに創り上げるために、だ」
 
<!-- Bernie Sanders: The Democrats Have To Become A Grassroots Party  -->



Translation by Yuko Inoue

 

 

 

 


<トランプの米国>◆格差への怒り、限界 軌道修正を!(インタビュー ジャーナリスト・堤未果)2016.11.19

2016-11-19 23:52:44 | 労働 生活一般

東京新聞電子版  2016.11.19

 

 

中日新聞 朝刊 2016年11月19日 

http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2016111902000080.html

<インタビュー トランプの米国> ジャーナリスト・堤未果さん

◆格差への怒り、限界

 -大方の予想に反してドナルド・トランプ氏が次期米大統領に決まりました。

 「日本国内でもショックを受けた人が多かった。それは日米ともに民主党のクリントン氏に好意的な報道が多かったから。米国の国民が何に怒りを感じているのか、ほとんど伝わらなかった」

 -トランプ氏勝利の背景に、米国の格差問題があると指摘されています。

 「もし、トランプ氏が八年前にオバマ大統領と争っていたら勝てなかった。オバマ氏は上院議員も経験したベテランで、スピーチも感動的だった。国民は格差の拡大で疲弊した社会を変えてくれると期待していたのは確か。でも、できなかった。ウォール街や富裕層など国民のわずか1%から金をもらって業界に取り込まれたからだ。『チェンジ』は幻想で、三十年も続く金権政治は変わらなかった」

 「チェンジへの失望が、トランプ氏を押し上げた。きれいごとを言わない姿が自分たちに近いと。大統領選挙の民主党の候補者選びではサンダース氏も支持を集めたが、二人とも業界からお金をもらっていない。党が違うのに、サンダース支持者がトランプ氏に票を入れた」

 -そんなに格差を感じる層が広がっているのですか。

 「親が大卒なのに、国民の三分の一は経済的理由で大学に通えない。お金もないから、十九~二十四歳の二人に一人は親と同居している。将来不安から高卒以下の中年白人男性の自殺も急増した。トランプ氏の主張を『保護主義』というと否定的だが、米国民がまともに職につけるようにすると言っているだけだ」

 -トランプ大統領の誕生は日本に吉と出るのでしょうか。

 「環太平洋連携協定(TPP)をやめると言っているが、日本はクリントン氏が勝つという前提で急いできた。もう一回、ゆっくり議論する時間ができた」

 「米軍駐留経費では撤退をちらつかせながら、日本の負担を増やすことを求めるかもしれない。日本では『それはできない』として、安全保障の議論が急激に進む可能性がある。戦後七十一年にして、米国の考え抜きで自分たちの足で立つチャンスだ」

 (聞き手・桐山純平)

 

 <つつみ・みか> 東京都出身。45歳。ニューヨーク市立大大学院で国際関係論学科修士号を取得。国連、野村証券などを経て国際ジャーナリストに。日米を往復し貧困問題を取材する。著書の「沈みゆく大国アメリカ」(2部作)は計25万部を突破している。

 

 

 

 


政府検討案はダメ!ホンモノの奨学金を~学生たちが国会前で声あげる 〔レイバーネット2016.11.19 〕

2016-11-19 23:47:11 | 教育 教科書

LNJ Logohttp://www.labornetjp.org/news/2016/1118kinositaより転載

政府検討案はダメ!ホンモノの奨学金を~学生たちが国会前で声あげる

    木下昌明

 

動画(学生の訴え 14分)

 11月18日金曜日、反原発抗議行動の日、官邸前から国会前に到着すると、道路の反対側のエリアで何か大きなコールが鳴り響いていた。行ってみると「学費を下げろ」「NO DEBT」「ホンモノの奨学金を」のプラカードの文字が目に入った。学生たちが声を上げたのだ。しかし、彼らは昨年みかけたシールズのメンバーでも今年みかけたティーンズソウルのメンバーでもなく、初めてみる顔ぶれだった。が、彼らのコールはあのシールズの牛山さんが編み出したラップ調のひざを屈伸させてのコールである。

 コールの言葉は「学ぶ権利に利子をつけるな」「ローンにならない奨学金を」「ぼくらは自由に学びたいんだ」「奨学金は借金ではない」等々と。スピーチも奨学金に苦しみ、アルバイトに明けくれる学生たちの苦境を訴えていた。法人税を下げたり、オスプレイを買ったりする安倍政権の金の使い道を批判する声もあった。日本では学費が世界一高く、奨学金で企業が儲けるリフジンさ。スピーチは、高校生から大学生、弁護士、ママの会、大学の名誉教授と多彩。

 ――この学生による国会前の抗議集会は、今月中に給付型奨学金の政府案が発表されることへのデモンストレーションなのだ。学生の願いと政府案では大きな開きがある。

 原発再稼働といい、南スーダンへの自衛隊派遣といい、TPP問題といい、沖縄基地問題といい、この奨学金問題といい、国会を囲んでの人々の抗議の声は止むことを知らない。この日の主催は新しくできた学生グループ「Rights to Study」だった。

〔追記〕なお国会前の反原発抗議集会では、双葉町の避難者・亀屋幸子さんがアピールし、横浜の中学一年生イジメ問題を語った。亀屋さんの発言動画(3分)はこちらから。

 

 


カリフォルニアで廃炉に追い込んだ...反原発運動のスピーチ~『粘り強く続く、原発再稼働反対!首相官邸前抗議 222回』…柏崎市長選:竹内えいこ候補を応援!

2016-11-19 14:08:26 | 福島、原発

★首都圏反原発連合 ‏@MCANjp
222回【再稼働反対!首相官邸前抗議】終了、約750人が参加しました!
冒頭でも触れたように、明後日20日は柏崎刈羽原発が立地する柏崎市で市長選が投開票です。
首都圏反原発連合は再稼働反対の竹内えいこ候補を応援します。竹内候補を当選させ、闘いを前進させましょう!
#金曜官邸前抗議

目良 誠二郎さんFBより

昨夜の官邸前抗議行動には
カリフォルニアから帰国中のNONUKESMORELOVEの仲間である元気いっぱいのMiki Bayさんが参加。
国会前エリアでは
カリフォルニアのすべての原発を廃炉に追い込んだ...反原発運動についてスピーチをして大きな拍手を浴びました。
抗議行動が終わった後は
Mikiさんを交え15、6人で大いに酒食と歓談を楽しみました。

3.11原発大震災の悲劇によって生まれた唯一の救いは
その悲劇と真正面から向き合いたたかおうとする内外のこうした市民のつながりです。
昨夜は改めてそれを実感できる一夜でした。
Mikiさん、ありがとう!
だんなのAlexによろしくね!今度は一緒に来てね!



 

米国で市民が原発を廃炉に追い込んだ理由 | 震災と復興 | 東洋経済 ...


<関連記事>http://sharetube.jp/article/3612/より転載 

2016年07月18日
福島第一原子力発電所の事故をきっかけに脱原発の動きが起きたのは、すべての原発の廃炉を決めたドイツだけではない。世界で最も多くの原発が立地する米国でも、原発が相次いで廃炉に追い込まれている事態になっている・・・その日本はどうして再稼働なのか?


 カリフォルニア州でのサンオノフレ原発を廃炉に追い込む活動で、中心的な役割を果たした住民代表と、福島原発事故当時に米国原子力規制委員会(NRC)で委員長を務めた人物が来日
ジョンソン氏は2011年3月11日の福島原発事故をきっかけに、カリフォルニア州で最大規模の原発の廃炉を求める運動を開始。2年後の13年6月4日には、ヤツコ氏や日本の菅直人元首相らを招いて、「福島:カリフォルニアへの現在進行中の教訓」と題した講演会を開催した。その3日後、サンオノフレ原発の廃炉を、電力事業者のサウス・カリフォルニア・エジソン社が決定。現在、廃炉に向けての作業がスタートしようとしている。

廃炉に追い込まれたサンオノフレ原発2号機および3号機(ともに出力108万キロワット、加圧水型軽水炉)が運転を停止したのは12年のことだった。同年1月に3号機で三菱重工業製の蒸気発生器から放射能漏れが見つかったことがきっかけだった。ただ、トーガン氏によれば、「蒸気発生器の不具合は廃炉に向けての最後の一撃であり、稼働の停止はカリフォルニアの住民が原発なしで生活できる証拠となったもの」。同氏は「福島原発事故直後からの住民による粘り強い運動が原発を廃炉に追い込む原動力になった」と述べている。

米国でも、原発と立地自治体との関係は日本と似通っているようだ。ジョンソン氏によれば、雇用の確保を理由に立地自治体が原発の維持を求める構図は米国でも存在しており、福島原発事故直後の時点では「選挙で選ばれた人たちは原発問題にまったく関係を持ちたくないという姿勢を見せていた」(ジョンソン氏)という。

また、福島事故以前の情報の多くは電力会社から提供されたものであり、「原発はクリーンであり、安全で信頼性が高く、コストも非常に安いという楽観的な情報ばかりだった」(同氏)。「電力会社のPR部門のトップが地域の開発計画を担当する行政組織のトップを務めていたことや、地元の商工会議所、NGOや環境団体にまで寄付をしていたことも後になってわかった」ともジョンソン氏は述べている。

福島原発事故はそうした地域社会のあり方に、根本的な転換を迫るきっかけになった。原発事故から2週間しかたたないうちに、8800キロメートルも離れたジョンソン氏の地元で売られていた牛乳からも放射性物質が検出された。ジョンソン氏が立ち上がるきっかけとなった。「3人の幼い子どもを持つ親として、妻と私は日本で起きている原発災害の実情や、私たちの家から48キロメートルしか離れていないサンオノフレ原発の安全性を調べた」とジョンソン氏は述べている。

出典:米国で市民が原発を廃炉に追い込んだ理由 | 震災と復興 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 
米国も日本と似た原発推進構造がありながら米国では廃炉に追い込めた理由とは?極論は<民意の違い!>だ。米国では市民活動が市民権を持つが日本では政府行政しか、あるいはマスコミとか大企業などという<長いものには巻かれろ>など権威しか信じないという民意の低さがある。マスコミなど信じない、嘘ばっかり言ってる・・・という野次や愚痴はネットに氾濫しているが、個人の資格で名前をあげ住所を示し顔写真も公開している情報など誰も耳を傾けない、そしてマスコミの報道なら愚痴やヤジを飛ばしながらでも殆どの人々が耳を傾けコメントをUPするのげ現状!!まるで思考停止のゾンビ社会だ

ジョンソン氏ら住民の働きかけにより、ロサンゼルス市を含む地元自治体の議会が相次いで再稼働への反対を表明。連邦上院の環境公共事業委員会でも住民を支持する意見が多く上がった

欧米には市民活動、市民運動というのがあちこちにあり様々なテーマで多くが活動している。市民活動に寄付が集まり政治家も市民運動からの意見や情報を積極的に取り入れている・・・ところが日本には社会認知されている市民活動が殆どない。ハッキリ言おう、日本社会では市民活動そのものを知らない。規模が誕生し少し信用が出てくると、すぐに選挙の票取りに、どこかの政党が取り込みを始める。そして党利党議で骨抜きにされてしまう

「避難の計画が非常に脆弱だった」

福島の様子を見て、「避難の計画が非常に脆弱だった」と専門家が認めている。日本の放射能は安全だ!日本人は放射能に強いとまで世界が驚くことまで流布する日本の政府行政やマスコミ、そして御用学者とは大違いだ

「新しい基準は、福島原発事故の教訓に合致したものでなければならない。いかなる事故であれ、ただの一人であっても避難を強いられる人が出る事態に陥らせてはならないし、原発の敷地外や海が汚染されることになってはならない。日本の悲劇から学ぶ機会を生かして、今までとは異なるエネルギー政策、安全基準を実施していく必要がある」とヤツコ氏は力を込めて語った

福島の教訓を生かしている海外と、福島在住者に放射能汚染を風評被害とまで言わせる日本社会との違いは人間とサルの程に隔たりが大きいのはなぜなんだろう?
 
 
 
 
 
 
カリフォルニア州唯一の原発廃炉決定!日本でこそ廃炉でしょ!
Shutting Diablo Canyon’s reactors reflects California’s energy future  さんから
 
 
 
 
 
【米西部の原発廃炉へ 原発から撤退の動き続く】アメリカ・カリフォルニア州にある原子力発電所が、再生可能エネルギーへの転換を理由に9年後までに運転を停止して廃炉になることが決まり、アメリカでは、原発から撤退する動きが続いています。

 

 

 

 


この国はどこへ行こうとしているのか トランプという嵐 社会思想家・白井聡さん 〔毎日新聞特集ワイド 2016.11.18〕

2016-11-19 01:52:58 | 政治 選挙 

毎日新聞http://mainichi.jp/articles/20161118/dde/012/030/002000cより転載

この国はどこへ行こうとしているのか トランプという嵐 社会思想家・白井聡さん

 
=京都市左京区で、川平愛撮影

 

 

今こそ「従属」から脱却を 米国の「暴力性」を直視せよ

 社会思想家で京都精華大専任講師の白井聡さん(39)は昨年、仕事の拠点と共に住まいも東京から京都に移した。「東京を離れてみると、人の多さなど異常さが分かりますよ」と、赤や黄に色づき始めた街並みを見渡した。静けさを重んじる古都には、思索にふける時間が存在する。

 
 
米軍普天間飛行場の移設が計画されている名護市辺野古周辺。白井さんは「アメリカの暴力性が封じ込められている」と語る=本社機「希望」から竹内幹撮影

 敗戦から現代日本を分析した「永続敗戦論 戦後日本の核心」を出版したのは2013年だった。戦後日本は敗戦の事実を否認し続け、米国の保護下で平和と繁栄を得たことで、その責任について無自覚になった--と説いた。「対米従属」というキーワードで日本の構造を問題視し、石橋湛山賞を受賞したことでも話題になった。著書を通し、国家としての本質的な「自立」を求め、3年半がたった。

 「世紀の大番狂わせ」。ドナルド・トランプ氏(70)が米大統領選で勝利し、東京・永田町は動揺が続く。日米安保体制の見直しや日本の核保有容認といった持論をむき出しにする異端児が大統領に就任する目前なのに、私たちは、またも「無自覚」のままでいるのか。

 その問いを発すると、白井さんは目線を合わせて答えた。「トランプさんが大統領になる影響を懸念するばかりで、日本のあるべき姿が語られることがない。やはり無自覚なのでしょう。アメリカの指導者が誰になろうが、大切なのは我々がどうしたいか。ビジョンがあって初めて、相手がどう出てくるのかという議論が生まれるはずです」

 想定外だったトランプ氏当選で、日本の政財界が右往左往している。日米同盟はどうなるのか、円安を促してきた経済政策はどうなるのか、と憂慮する声が広がっている。

 そんな日本にあって、例外は「沖縄県民」だと見る。「自分たちがどうあるべきか本気で考えているのは、今の沖縄の人々
 
沖縄と本土は歴史が違います。本土側は沖縄に戦後の矛盾を閉じ込めることで、それを見ないようにしてきた。沖縄は、軍事力だけを頼りに国の独立性を保つことなどできようがないことを、歴史から学んでいる」。太平洋戦争で唯一、国内で地上戦の舞台となった沖縄では住民約9万4000人の命が奪われた。戦後71年たった今、住民の怒りを無視するかのように、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設などが進められている。犠牲を強いられないと、私たちは自ら考えることはできないのか。

 沖縄の現実を踏まえ、アジアの中の日本を意識する。「アジア地域で、常にアメリカが後ろにいる日本は信頼されていないし、真の友人がいないという状況が続いてきた。だからこそ、日米安保体制を相対化しなければならない。米国一辺倒から抜け出すのです。また、沖縄の人々が『沖縄を東アジアでの平和の象徴にする』というビジョンで活動していますが、空想的な理念ではない。日本が生き残っていく一つの手段です」

 一方、今後の日米関係を考える上で、トランプ氏のこの発言が忘れ去られることはないだろう。「我々が攻撃を受けても日本は助けに来なくていい。こんな取り決めは割に合うだろうか」

 白井さんは言う。「リアルに日米安保体制が大幅に変わる可能性はある。日本の右派はついに自主防衛しかないと活気づいています。でも、自分たちの国を自分で守る手法は、軍事力だけに限らない。諸外国と多角的に良好な関係を築き、国際社会で生きていく、そんな当たり前のことを想像できない人々がいる

 白井さんは「対米従属」を外交ではなく、日本国内の問題と位置付けてきた。自分たちが抱える問題を「外圧」によって解決してきたことに「日米関係のひずみ」があると考えている。「対米従属は戦後から71年染みついているわけですから、転換は容易ではないでしょうが」。深いため息をついた。

 身を乗り出して戦後の日米関係を振り返り始めた。注目したのは米国の「暴力性」だ。それが日本に向けられるようになった起点は、1980年代のロナルド・レーガン政権にあると主張する。同政権は軍事力を背景に「力による平和」を推し進めた。一方、日本との関係では中曽根康弘首相(当時)と「ロン・ヤス」と呼び合い、「情緒的な親密さを強調した」と言う。呼応するように、中曽根氏は日米同盟の強化を念頭に、日本列島を「不沈空母」と例えたことがある。

 「アメリカが一貫して持っている暴力性はしばしば覆い隠されてきた。その本質が誰の目にも明らかになったのはブッシュ・ジュニア時代です」。2001年に就任したブッシュ大統領(同)はイラクやイラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び、イラク戦争に踏み切った。小泉純一郎首相(同)は、米国を全面的に支持した。

 バラク・オバマ大統領で「暴力性」は断ち切れたのか。「核なき世界を目指したオバマさんにアメリカ国民は付いていこうと思ったが、結果的にチェンジチェンジ詐欺だった。暴力性を変革しようにも既に手の施しようがなかった。今回の大統領選はオバマ路線を継承するヒラリー・クリントンさんより、既成政治を批判したトランプさんの方を選んだということなのです」

 日米両国だけではなく世界各国が、トランプ氏当選に衝撃を受けているが、白井さんは違った。「さほど驚きではない。トランプさんの体現するものは、暴力性という意味でブッシュ氏とさほど違わないように見える。トランプ大統領の誕生でオブラートがはがれただけです」。そして日本の歴代政権は、「暴力性」に目をつむるかのように米国と協調してきた。

 では、私たち日本人はなぜ、米国の「暴力性」を見なくなったのだろうか。「アメリカには二面性があり、海兵隊に象徴される恐ろしいアメリカと同時に、ミッキーマウスが象徴する楽しく明るいアメリカもある。60年安保からベトナム戦争のころまでは、その二面性がはっきり見えていたと思うのですが」。転換の象徴となったのは、83年に開業した東京ディズニーランドだと指摘する。「80年代に入ると日本はアメリカの傘の下の繁栄を享受してきたことで、楽しいアメリカだけを消費する態勢ができあがってしまった。皮肉にもまさに同時に冷戦終焉(しゅうえん)を控え、アメリカが日本を庇護(ひご)してあげる動機が消えつつあったのに」。無自覚に「従属」を続けるばかりだった。

「偉大なアメリカ」という幻想

 「偉大なアメリカを取り戻す」

 トランプ氏が大統領選で声高に掲げたスローガンに、白井さんは一つの真理があったと見る。「この言葉は、アメリカは現に偉大ではないと認めています」。このスローガンに対し、オバマ大統領のミシェル夫人は「アメリカは既に偉大だ」と反論した。

 「これはトランプさんの方が正しい。ところで、アメリカが偉大な国であってほしいなんていう願望は、私にはない。いいかげん、そういう幻想を持つのはやめた方がいい」。「幻想」と言い切る根拠は、経済的な限界にある。

 「アメリカは外から広く人を受け入れ、オープンであることで活力をみなぎらせてきた。でも、経済が成長し続けない限り、オープンな国であり続けることは無理。開かれたアメリカから利益を受けてこなかった大衆の苦悩や反発が、反グローバリズムを掲げるトランプさんを勝たせたのです」

 安倍政権が「成長戦略の切り札」とし、オバマ大統領と進めてきた環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の行方は、トランプ次期大統領の決定に委ねられた。「TPPは死にましたね。日本の将来を左右する重要な政策でさえ、アメリカが完全に主導権を握っていることが今回の大統領選で露呈したのです」

 トランプ氏の勝利から10日が過ぎる。

 「トランプさんが勝ってしまったことについて、悲嘆に暮れている日本の知識人がいます。物理的な部分で対米従属の構造があるのは事実ですが、想像力の領域にまで及んでいるのは由々しきことです。もっと精神は自由にならなくてはいけない」

 17日にはニューヨークでトランプ氏と安倍晋三首相の直接会談が実現した。「日本の首相が当選後間もなく自らの元に駆け付けたことに、トランプさんは満足しているのではないでしょうか」。そう推察する。

 安倍首相はトランプ氏に、日本が目指すビジョンを伝えられたのだろうか。それとも「対米従属」のスタンスを継続するのか--。

 白井さんが繰り返していたこの言葉をかみしめた。「今こそ、我々一人一人が自分の頭で国の在り方を考えていくべきなのです」【鈴木梢】

      ◇

 「トランプという嵐」は随時掲載します。


 ■人物略歴

しらい・さとし

 1977年東京都生まれ。早稲田大卒、一橋大大学院博士後期課程修了。現在は京都精華大人文学部専任講師。著書に「未完のレーニン」、内田樹氏との共著に「日本戦後史論」など。=京都市左京区で、川平愛撮影