マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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櫟枝八幡神社新穀感謝祭

2015年08月28日 08時20分20秒 | 大和郡山市へ
神嘗(かんなめ)祭とも呼ぶ新穀感謝祭が行われる大和郡山市の櫟枝町。

旧村の佇まいをみせる村であるが建て替えられて現代的な民家造りに移りつつある。

集落を歩いていたら屋根越しに萱葺きが見えた。

奈良盆地、平坦部にもあったのだと驚く。

実成りの柿の色が添えてくれていたので思わず撮らせてもらった。

氏子たちが参集する場は当家の座敷。

マツリの際にも拝見したが墨書がうっすらと残っている衣装箱が気になっていた。

「衣装箱」文字左横に並べて書いてあった年代記銘は「正徳(1711~)」だった。

年期は不明であるが、「櫟枝村 座中」や「一老 善吉」の名もある。

代々の氏子が300年間も引き継いできた村行事は近年において随分と簡略化されたそうだ。

御供を調整するのはかつて一老・・・・四老と呼ばれていた四人の手伝いさん。



コーヤドーフ、シイタケ、ドロイモ、ニンジン、リンゴ、バナナを盛った御供に稲刈りした稲穂を乗せる。

収穫した新穀に感謝するマツリに相応しい実った稲穂である。

稲穂は翌年2月に行われる「座」とも呼ばれる祈年祭においても供えられる。

御供には見慣れない二本の植物らしきものがある。

聞きそびれたがおそらくカヤの茎で作った一膳の箸であろう。

神さんに食べてもらうように置いていたのだ。

お神酒は新穀で酒造したにごり酒。

奈良県内ではどことも供えられる葛城酒造のお酒だ。

洗い米に水、塩盛りもある。

お椀に入れた粗塩に水を加える。

ひっくり返せば見事な形になった塩盛りである。

出発間際にタイも載せた御供を抱えてお渡りに出発する。



その茅葺民家が建つ筋も通って行くお渡り行列。

普段着姿で大御幣を持つ当家を先頭にお渡りだ。

快晴だったこの日。

絞り具合が難しい。

祓えの儀、献饌をするが、瑞垣周りの四隅にも神饌を供える。



当家の奉幣、祝詞奏上、玉串奉奠、撤饌などの神事が行われる。

滞りなく神事を終えた氏子たちは境内でゴザを敷いて直会をされる。

9月から11月の期間はいつもそうされる櫟枝町のマツリの在り方だ。



ツマミをアテににごり酒を飲んでしばらくの時間は直会。

神職は次の祭典場に急がねばならず早めに退席された。

(H26.11.30 EOS40D撮影)