水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

☆時代劇シナリオ・影車・第八回☆不用普請(9)

2009年01月11日 00時00分00秒 | #小説

      影車      水本爽涼          
     第八回 不用普請(9)

24.  与太烏の茂平一家(小部屋)・夜
     茂平が一人、酒を飲んでいる。奥の間には慰み者にされた後の娘
     が布団に寝ている。満足げな茂平の顔。茂平、立つと厠(かわや)へ向
     かう。[テーマ曲のオケ1 イン]
25. 与太烏の茂平一家(厠)・夜
     気分よく小便をする茂平。茂平の真上の天井板が音もなくスゥーっ
     と開くと、鉄製の大丼鉢を持つ二本の腕が現れる。大丼鉢、茂平め
     がけて垂直に落下。(鐘の音S.E) 呻く茂平。頭へスッポリ被った
     大丼鉢。S.E=鐘楼で撞く鐘の音(グォ~~ン)
    [テーマ曲のオケ1 オフ]
26. 頭部のX線撮影されたレントゲン映像 C.I
     シャウカステン上のレントゲン撮影されたフィルム映像を、カメラ、
     アップ。
     C.O
27. 与太烏の茂平一家(厠)・夜
     茂平、大丼鉢を被った状態で暫し直立したまま氷結し、その後、真
     下へゆっくりと崩れ落ちる。
28. 病院の診察室・現代
     医師(配役は無名の外科医)が椅子に座ってカルテを書いている。カ
     メラ、医師の姿をアップする。医師、大欠伸をひとつ打った後、シャウ
     カステン上のフィルム映像を見て、カメラ目線で素人っぽく、
    医師  「いつもの、即死ですな。(頭を指で指し示して、笑いながら)それ
         より、私、過労気味なんですよ、医師不足でねぇ…。厚労省に云
         っといて下さい」
29. 与太烏の茂平一家(厠)・夜[テーマ曲のオケ1 再イン]
     天井板からスルスルっと降りる一本の縄。その縄を伝って厠へ降り
     る又吉。大丼鉢を背中の袋に納めると、また天井裏へと器用に縄を
     登る。入れ替わりに現れた伝助、茂平を担ぐと消え去る。
30. 与太烏の茂平一家(別部屋)・夜
     花札で遊び興じる子分、二人。
   子分①「おいっ、今なにか向こうで、音がしなかったか?」
   子分②「気の所為(せい)だろう…」
   子分①「(首を捻って)いや、確かに…。ちょいと、見てくらあ」
   子分②「鼠か、何かだと思うぜ」
     子分①、部屋を出る。
     [テーマ曲のオケ1 オフ]
31. 与太烏の茂平一家(厠前の廊下)・夜 [テーマ曲のオケ2 イン]
     廊下を歩く子分①。突然、天井より舞い降りる、お蔦。着地と同時
     に子分①の首(頚動脈)を居合い斬り。派手に吹き散る血しぶき。子分
     ①、もがき苦しんで崩れ落ちる。物音に気づいた子分②が駆けつけ、
     子分①を抱き起こすが、お蔦は天井に飛んでいる。そして、ふたた
     び舞い降りると、子分②も居合い斬り、瞬時に闇へと消える。
     [テーマ曲のオケ2 オフ]


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