水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

☆時代劇シナリオ・影車・第九回☆追っ手(1)

2009年01月14日 00時00分00秒 | #小説

      影車      水本爽涼          
     第九回 追っ手(1)

   あらすじ
 抜け忍の過去を持つ、お蔦。その、お蔦に伊賀・忍び、丸陣(風丸、土丸、
 火丸)と呼ばれる三人の刺客が迫る。今回は、伊賀・忍び、丸
陣という追
 っ手に、世直しどころではなくなった、お蔦を手助けする影車の面々と、
 伊賀・忍び、丸陣の三人衆が繰り広げる一大活劇を、新春の江戸の街
 を背景に描く異色作、第二段である。
 
   登場人物

   板谷仙二郎 41 ・ ・ ・ ・ 御家人(北町奉行所 定町廻り同心)
      留蔵 32 ・ ・ ・ ・ 鋳掛け屋(元 浪人)
      又吉 31 ・ ・ ・ ・ 流し蕎麦屋(元 浪人)
      伝助 18 ・ ・ ・ ・ 飛脚屋(町人)
      お蔦 30 ・ ・ ・ ・ 瞽女(元 くの一 抜け忍)
      (※ 以下 略)


1. 江戸の街通り(一筋の広い道)・昼
    タイトルバック
    正月風景の街並み。親子連れで初詣に向かう途中の両親と娘、
    紋付袴姿で年始挨拶をする商家の旦那衆、その他、街路で凧
    揚げをする男児達、羽子板を撞く女児達で賑わっている。そ
    んな浮かれた雰囲気が漂う街路の中を、仙二郎と宮部が漫(そ
    ぞ)ろ歩いている。門付けで商家や各家を巡り歩く獅子舞の一
    行が正月気分を盛り上げている。講社連中の吹き鳴らす笛、
    鉦に合わせて、二匹(雌雄の連獅子)がユーモラスに舞い踊
    る。見物する町衆や子供達。
   仙二郎「正月は気分が華やいで宜しいですなあ…(獅子踊りを横
        目に見ながら)」
   宮部  「そうですね。何がどうだっていう訳じゃないんですけ
        どねぇ」
   仙二郎「はい…。そこん所(とこ)が、不思議といやぁ不思議なん
        ですが…」
    陽気に語り合い漫(そぞ)ろ歩く二人。響く笛や鉦の音が賑やか
    に続き、活気づく街通り。仙二郎の前に羽子板を撞いていた子
    供の羽根が飛んできて舞い落ちる。立ち止まって拾い、女児へ
    笑顔で手渡す仙二郎。
   宮部  「去年は悪い事件が多い一年でしたから、今年こそ、いい
        年になって欲しいですね(走り去る女児を見遣った後、
        歩き出し)」
   仙二郎「(歩き出し)そうですなあ…」
    と、一応は愛想を振り撒いて、その実、夕餉の惣菜のことを考
    えている。遠ざかる仙二郎と宮部の後ろ姿を、カメラ、俯瞰し
    て撮る。
   N   「晴らせぬ怨み、晴らします。今日は東へ、明日は西。北も
        南もワル次第。表じゃ消えぬ世の悪を、裏に回って晒しま
       
す…」
    タイトル「影 車」、テーマ音楽など 

               流れ唄 影車(挿入歌)   

           水本爽涼 作詞  麻生新 作編曲

            なんにも 知らない 初(うぶ)な星…
             健気に 生きてる 幼(おさな)星…
              汚れ騙され 死ねずに生きる
                悲しい女の 流れ唄

              酒場で 出逢った 恋の星…
             捨てられ はぐれて 夜の星…
              いつか倖せ 信じてすがる
                寂しい女の 流れ唄

             あしたは 晴れるか 夢の星…
            それとも しょぼ降る なみだ星…
              辛い宿命を 嘆いて越える
                儚い女の 流れ唄


※ レイアウトの関係で絵コンテは掲載しておりません。

※ S.E=サウンド・イフェクト、C.I=カット・イン、C.O=カット・オフ、N=ナレ-ション、オケ=オ-ケストラ


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