水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

☆時代劇シナリオ・影車・第九回☆追っ手(17)

2009年01月30日 00時00分00秒 | #小説

      影車      水本爽涼          
     第九回 追っ手(17)

    一瞬、出来た隙。仙二郎、その隙に動揺せず、折れた刀を離すと、刹那
    に脇差を抜き、風丸へと投げる。脇差、風丸の胸倉に突き刺さるS.E。
    S.E=ブシュ~っという、牛、豚などの肉会ををナイフ等で切り裂く音。
    風丸、ゆっくりと地へ崩れ落ちる。
   仙二郎「やれやれ…(溜め息を、ゆったりと吐き、地面上の折れた刀を拾
        い、鞘へと納め)高くついたな…」
    仙二郎、続いて風丸に刺さった脇差を抜くと、それも鞘へと納め、歩き
    始める。
    [テーマ曲のオケ3 オフ]
    様子を外で眺めていた伝助、
   伝助  「あっしの出番は、やはり無かったですねぇ…」
   仙二郎「(小笑いして)お前(めえ)の出番がありゃあ、偉(えれ)ぇことに
        なってるぜぇ。無くて、よかったのよ」
   伝助  「へぇ、そのとおりで…(殊勝に)」
    お蔦、又吉、留蔵も次々と現れる。
   留蔵  「手筈で皆が顔、揃えるこたぁ、そうあるめえ(小笑いして)」
   又吉  「…だな」
   お蔦  「皆、首が繋(つな)がってるから、そんな呑気なことが云えんのさ
        ぁ」
   仙二郎「(小笑いして)違(ちげ)ぇねえや…」
   お蔦  「そいじゃ、私ゃ、ひと足お先に失礼するよ(小笑いして)」
    と云うと、お蔦、素早い忍びの動きで走り去る。
   仙二郎「(懐[ふところ]から一枚の紙を出して)伝助、これを刺しておいて
        くれ」
    と、手渡して歩き始める。留蔵、又吉も、それぞれ違う方向へと歩き去
    る。
40. 街外れの廃屋(外)・昼
    事件現場へ行くよう命じられた仙二郎と宮部。二人、廃屋近くへと接
    近する。野次馬は、いつもより少ない。
   宮部 「何かの仲間割れだと聞きました」
   仙二郎「影車にしちゃ、いつもとは、ちょいと違いやしませんか?」
   宮部  「そんなこと、私に訊かれたって分かりませんよ」
   仙二郎「(小笑いして)はは…。そうでした」
    廃屋を取り囲む数人の下役人。御用棒を持ち、周囲を警戒している。
    仙二郎と宮部、廃屋に到着。風丸の死体が転がってるのを横目に、
    仙二郎と宮部、入口に至る。
   下役人「御役目、御苦労に存じます!」
    と云うと、二人を、サッと中へ通す。二人、廃屋へと入っていく。


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