水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

助かるユーモア短編集 (52)頑張り過ぎ

2019年08月09日 00時00分00秒 | #小説

 頑張り過ぎっ! と自分に強く言い聞かせるようにすれば、なんとか休めたりなんかして助かる。^^ 別にズルをする訳ではなく、暑い盛りなどは非常に重要なことである。これをしないで炎天下についフラフラと出て、しなくてもいい雑事をやった挙句(あげく)、頑張り過ぎてブッ倒れ、病院搬送・・なんてことになる。要は、チ~~ン! と鳴らすのではなく鳴らされる憂(う)きに遭(あ)うということだ。これでは頑張れない。^^
 とある老舗(しにせ)の魚屋である。
「朝から暑いねぇ~! こんな早くから店、開けるの?」
 通りかかった男が店の主人に訊(たず)ねるでなく窺(うかが)った。
「いやぁ~お客さん! こう暑くっちゃ商売になりませんからねぇ~。なにせ、お客さんが昼日中は買いに来やしない。夏場冬場はダメでしてね」
「朝、早いと来るの?」
「…ええ、まあ。ご近所の常連さんがいらっしゃいますんでねぇ~」
「昼間はどうしてるの?」
「昼間ですか? 昼間は、ははは…頑張り過ぎないように冬眠ですわっ!」
「冬眠? そりゃ、いい…」
「冷凍庫の別室へ入ってグ~スカとっ!」
「昼寝ねぇ~。いいご身分だっ! ははは…あやかりたいねぇ~、それじゃ!」
 通りかかった男は流れる汗を拭(ぬぐ)いながら店前から消えた。
「確かに…こう暑くっちゃ、頑張り過ぎはよくないな」
 そう呟きながら、男の足は残業で頑張り過ぎている職場へと向かっていた。
 皆さん、頑張り過ぎて助かる命が助からないことにもなりますから注意しましょう! 頑張り過ぎ注意報、発令です。^^

                                


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