『分かればいい。そんなことだから、待機してなさいっ! ヘリが近づいたら電話がかかるはずだっ!』
「それはいいんですが、僕や所長を研究所へ移送して、いったいどうするってんですっ!?」
『そんなこと決まってるじゃないかっ! 研究を続けさせるためさっ!』
「研究してる時間があるんですかねぇ~? 僕は他の対策を考えた方がいいと思うんですが…」
『いや、それは私も考えたよ。しかし、だっ! 蟹岡君の話だと内閣が、すでにパニックになってるらしい…』
「内閣がパニクってちゃダメでしょ!」
『いや、それはそうなんだが…。どうも、打つ手なし・・ってとこらしい』
「打つ手なしって、そんな無責任なっ!!」
『無責任だが、どうしようもないんだろ。それで、私達になんとかしろっ! てとこじゃないか』
「なるほど…。話は分かりました。いや、僕も今、今後の食糧をどうしようかって考えてたとこなんですよ、実は…」
『そりゃ戒厳令が発令されてんだから、誰だってそれを考えてるさっ!』
「大丈夫なんですかね?」
『なにが…』
「研究を続けても、モレフ以上の薬剤ができるって保証は全然ないんですよっ!?」
『保証があろうとなかろうと、彼らにすりゃ私たちに研究させとく以上に、打つ手がないんじゃないか…』
「そういう投げやりな考えですか。政府はっ!」
『私に愚痴ったって仕方ないじゃないか…』
「そりゃまあ、そうなんですが…」
『蟹岡君の電話じゃ、すでにヘリは飛んだって話だ』
「そうなんですか? こりゃ、こうしちゃいられないっ! とにかく、着替えをっ!」
『馬鹿だねぇ~君はっ! そんなこたぁ~どうだっていいんだよっ!』
「よかぁ~ないでしょ!」
海老尾は思わず怒れてきた。
続