水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

分析ユーモア短編集  <50>  満足感

2019年01月19日 00時00分00秒 | #小説

 物事が達成された…と感じる満足感は個人によってその程度が異なる。ある人は酒を五合は飲まないと飲んだ気がしないだろうし、別の人は缶ビール一本で満足することだろう。^^ 要は、その人の身体(からだ)の感じ方の違いによるものだから、どうこう言っても致し方がない。致し方はないが、その満足感の違いを分析するのも面白い。などと書けば、怒られる方もあろうから、面白いとは言わず、興味が増す・・とでも書いておきたい。^^
 とある列車に乗り込んだ二人の旅行客が席に座って話し合っている。
「この列車、遅いと感じませんか?}
 せっかちな性分(しょうぶん)のAは、腕を見ながら言った。どうも時間が気になる様子である。
「? …そうですか? 私はこれくらいの方が満足感が…。鈍行ですからっ! ははは…」
 Bはのんびり派なのか、すぐに全否定した。
「そうでしょうか? いくらなんでも、この速度じゃ…。ちゃんと着きますかね、時間に」
「ええ、そらもう時刻表どおりに着くと思いますよ」
「そうかなあ~?」
 Aは、なおも列車の速度に不満感が募(つの)った。Bは、『この人、なぜ鈍行を選んだんだろう? 新幹線で行けばいいのに…』とは思ったが、口には出さず、思うに留(とど)めた。共(とも)にするこれからの旅を気拙(きまず)いものにしたくなかった・・という事情もある。孰(いず)れにしろ、両者の満足感には違いがあった。二人は満足感の違いで楽しい旅とはならなかった。
 旅は満足感の感じ方が近い者と共にした方が楽しい・・というのが満足感の分析結果となる。^^

                                


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