思いつくまま深く考えもせず物事を何げなくやった結果、思いもよらぬ困った事態に立ち至ることがある。人は、それを軽はずみと言い、お小言(こごと)を漏らして愚痴ることになる。
朝からゴチャゴチャとパソコンを弄(いじ)くっていた小松は、とうとうパソコンを怒らせてしまった。要は、フリーズ[凍りついたように動かなくなる状態]させてしまったのである。最初のうちは軽く弄くっていた小松だったが、「ウン!」とも「スン!」とも言わず、画面も消えて黒くなったパソコンを前に焦(あせ)りだした。そして20分後、顔つきは必死の形相(ぎょうそう)へと変化した。
「何してるの? もう朝ごはんよ?」
キッチンから現れた妻の直美は、そんな小松を遠くから窺(うかが)い、訝(いぶか)しげに声をかけた。
「んっ? ああ…。今、いくよ」
そして、また15分ばかりが過ぎた。
「今、いくって、全然こないじゃないっ! 先に食べるわよっ!! 私、今日、出かけるんだからっ!」
膨(ふく)れっ面(つら)の直美がキッチンからまた現れて愚痴った。この声を聞きながら、俺としたことが軽はずみだった…と小松は後悔した。
「ああ、食べて…」
心、ここにない小松は、パソコンのキーをああでもない・・こうでもない・・と叩(たた)きながら、感情のない言葉を返した。
それから数日後、そのパソコンがどうなったか? は読者のご想像にお任せしたい。^^ 軽はずみは保険を付けないと危険をともなうのである。
完
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