水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

世相ユーモア短編集 -88- ややこしい

2025年02月17日 00時00分00秒 | #小説

 ややこしい世相になってきた。世界情勢、景気、政治問題etc.どれ一つとっても、ああ、嫌だっ! と、世の中から逃げ出したくなる人々も多いに違いない。まあ、私はそこまで…とはいかないものの、それでも住みにくくなっていることに変わりはない。誰が悪いのか? は、変えてくれない、変えられない議員さん達だ、とまではは言わないが、ムニャムニャ…。^^
 とあるスーパーである。セルフレジばかりになり、多くの人の列が出来ていた。一人の男が、いっこう進まない列に業を煮やし、通りかかった店員に訊ねた。
「おいっ! 何とかならんのかっ、何とかっ!!」
「す、すいません…。なにぶん、今日は特売日ですので…」
「特売日だから、どうだっていうんだっ! 私は急いどるんだっ! おいっ、店長を呼べっ!」
「そ、そう言われるあなた様は?」
 店員は恐る恐る訊き返した。
「私は、この会社の執行役人だっ!!」
『わ、分かりましたっ!』
 店員は内線電話のある受付係へと急いだ。しばらくすると、店員が戻ってきた。
「どうだった?」
「五階へお上がり下さい。店長がおられるようです…」
「ああ、そうか。春原さんはおったか…」
 男は威厳めいてそう言うと、エスカレーターに乗り、昇り去った。
 その後、どうなったのか? まで、私は聞いていませんが、レジの人員配置が復活したところを見ると、強(あなが)ち男の言い分もややこしい話にならなかったようです。^^

                   完


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